軌跡旅行

2キセイセ

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帰還編

61.塊

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「なんだこれ……」

「もっとしっかり」

「……」

俺は無言になった。一人…一人いない。

「なあ……みんな……」

俺は小声で呼びかけた。すると、

「あの中に誰が入っていると思う?」

グラッドが俺に向かって話しかけてきた。

「…………は?」

俺は疑問を浮かべた顔のまま、声を発した。

「……けて!!だ…か!!」

包から声がすこし聞こえる……

「らしいな、正解発表」

グラッドは楽しげに言う。

「なんのことだよ……」

俺は聞いた。すると、グラッドは包を指さしてこう答えた。

「まあ、見てればわかるよ」

中からはすすり泣くような声が聞こえてくる。

「ほいっ」





















グシャ………


プチプチ……



ギュ……



ポトッ……




魔力の包が小さくなり消えた。




赤い、赤い、球状のアカリだったものが出てきた。

青い、青い髪が、赤い血で染った。

「うっ……ぁぁ……ああっ!!」

……………………

「うっ……ぁあああ!!」

「ぁあああああああ!!!」

………………………え?

「じゃあ、さよなら」

かえった…どこかにいった………

「うっ……ぁあ!!」

だれかのこえ……

「ぁぁぁあ!」

これは……
「ぁぁぁぁぁあ!!!!」

「あぁぁぁぁぁぁ……」















……









………










……………














……………………………












………落ち着いた……あれから何時間たっただろう?

グラッドはもういなかった。

「……スペア、マリン、サッチャーさん、無事か?」

俺は三人に声をかけた。

「うん……大丈夫」

「私も……」

二人は返事をした。サッチャーさんは……気絶してんのか。

「今……何時だ?」
俺はスペアに聞いた、スペアは時計を出してくれた。

……いつも通りの朝を迎えて、マイホーム作ろうとして、魔法の練習して、寝て…

村長が歓迎会も開いてくれたよな…

現在の時刻は午前12時、2時間前だ、2時間前で全てが変わった。


「なんで……なんで……こんなことに…」

俺は……なんで…神の魂なんか持っちゃったかな…

アカリが死んだ、肉塊となって死んだ。

俺が神の魂を持っていて狙われたから。

俺が神の……魂を…持っていて…

俺が神の……魂を……持ってて……

俺が神の……魂を……持っていなかったら……

俺が……

俺のせいで……

俺のせいだ…………………………

「……守れなかった。」

俺はボソッと呟いた。

「……」

スペアとマリンは何も言わなかった、何も言えない。

「特別な…特別な能力もらってんのに…なんで!!!なんで!!!一人も守れないんだよ!!!!」

村の地面だった、ただの地面を叩きながら。
俺は叫んだ、喉が痛くなるくらいに……

「……ふぅ」

少し落ち着いてきた。

「……」

スペアは黙って力強く拳を握りしめていた。

「……」

マリンは泣いている。

「……」

改めて思った、世界は魔族に支配されてるって。少しでも変える、変えたい。こんな惨劇を二度と繰り返さない。
……過激な手段となっても。

「サッチャーさん……俺、決めたよ。ゼロマジックに入る。」
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