軌跡旅行

2キセイセ

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帰還編

59.黒

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グラッドはニヤリとした笑みを浮かべながら、俺たちに向かって歩き出した。

「ま、まずい……逃げよう……」

俺は焦った、三魔天を軽くあしらった男だ…勝てるわけがない……

「サッチャーさん、ゼロマジックは見つかると交戦になるかもしれない、どこかに隠れておいてください」

「ああっ……わかった。」

サッチャーさんも了承してくれた。

「なら、時間…を稼ごう」

スペアが言った。

「あ…あの…グラッドさん?」

スペアは震えた声で話しかけた。

「なんだ?」

そう言って、グラッドは立ち止まった。

「えっと……その……フレインとかいう…魔族にとって超絶重要な人物をにがす理由ってなんですか?」

スペアは勇気を出して言った。

「……邪神、サーデス様のために。」

グラッドは言った。

「…………なるほど」

スペアはそう言うと、グラッドに近づいた。

「…おっ…俺たちも邪神が好きなんだ」

スペアはグラッドの目をみてそう言った。

「……なるほど、お前らもか……」

グラッドはそう呟いた。

「あぁ、そうです」

その後、グラッドとスペアの会話は何分間か続いた。

グラッドはしばらく首を傾げながら、こういった。

「………ムアンの命令…フレイン殺しを果たさないといけないんだな…」

グラッドはそう言うと、少し悩んだような顔をした。

「誰かをぐちゃぐちゃにしたらムアンも間違えるか?」

……どういう意味だろう?そんなことを考える暇もなくグラッドは言った。

「闇は怖いよ」

次の瞬間、グラッドの手から黒い何かが出てきた。それを落とした瞬間、黒い何かが広がった。どんどん広がった。果てが見えないぐらい広がった。

そして俺たちを包み込んだ。

「うわぁぁっ!!」

何も見えない。

俺は叫んだ、この黒いの…ムアンの攻撃に似ている、何か共通の魔法なのか? 

「なんだ?」

「おい!助けてくれぇぇ!何も見えないんだ!」

「誰か!誰かいるなら返事して!!お願い!!」

村の住民は酷く怯えていた。

「な、何これ……」

アカリも怯えていた。俺はとっさに拳を構えた。

「これは…魔力自体だ…」

ブチブチッ、何かを千切るような音が聞こえる。そんな中サッチャーがそう言った。

「……は?」

俺はサッチャーに聞いた。

「つまり、こいつは魔力そのものを自在に動かしてるんだ。」

サッチャーがそう答えた。

「スペア!とりあえず光をだせ!!」

俺は指示を出した。

「わかった……」

スペアがそう言った直後、俺たちの周りに光が差した。

「よし!見えた!」

俺はそう言った。

「アカリ、見えるか?」

スペアが聞いた。

ガッシャンっ!!多くの建物が崩れているようだ。

「……」

しかし、返事がない。

「……とりあえず!抵抗しろ!」

俺はみんなに言った。
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