軌跡旅行

2キセイセ

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ウィーダム編

38.終炎

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俺は急いで走り続けた。そうしていたら、後ろに氷の壁ができた、マダラの能力だ。

「この氷は突破されない!さっさと船に乗れ!」

「……待って!父さんが!」

「死にてぇのか!?それに、後で行けばいい!今は逃げろ!」

俺達は走った、船に向かって…そして、無我夢中になりながら、船に乗り込んだ。すると、スペアが起き上がった。

「おい!大丈夫なのか?」

「ああ……少し火傷しただけだ……」

「スペア……」

その時、船が動き始めた。そして……氷の壁は突破された。

「逃げられたか……サキーラには期待してたんだがな、ウィーダムは捨てるか。」

ムアンがそう言った。

その時、ムアンは自爆した………ムアンの肉片がウィーダム全体に飛び散り、その肉片それぞれが炎を出し、あっという間に、ウィーダムは火の海だ。

「嘘だろ……こんなことって……」

俺は、その光景を見て呆然とするしかなかった。

「………これって…父は?」

「ウィーダムにいた奴らは、悲しいことに全員死んだよ……あれを見ろ」

俺はマダラの言う通りにウィーダムを見た、そこには死体の山とさっきできた廃墟だけがあった。

「お前の父もな……」

「……そうか」

「先に言っておこう、ムアンは生きてる」

「!?」

「あいつの体は不死身だ、手を燃やしたりしていただろう?」

「………どういうことだ?」

「やつの体は魔力と同じだ」

「えっ?」

「だから、体を燃やしたり、再生したりした。」

「……どうやって倒すんだよ……そんな化け物みたいな敵……」

「それはわからない。だが、この世に無限はない、それは命もそうだ。ムアンにも弱点があることだろう」

「それを見つければ勝てんのか!?」

「そういうことになるな。」

「てか…スペアは…」

スペアは気絶していた、足首を溶かす痛みに耐えられなかったのだろう。しょうがないことだ、よく戦ってくれたよ……本当に……

「ん?どうした?」

「いや……なんでもない……」

俺はそう言いながらも、スペアを見ていた。

「とりあえず、ウィーダムにはもう用は無い、さっさと行こう。」

「ああ……」…

……………

「さっきから黙ってどうした、マリン?」

マリンは酷く怯えていた、それも異常なほど。これまでとは比べ物にならなかった。

「いや……私の…トラウマというか……あの単眼が」

「単眼?」

「そう………私は…実験で作られたんだ。」

「………まあ、わかっていたよ。」

「その、実験の…主導者」

「……わかった。てか…この船どこに向かってんだ?マダラさん?」

「この船は……エルフの大陸に向っている、仲間が待ってんだ。」

「エルフか、今安全なとこなのか?」

「お前は知らないのか?エルフは滅びかけてるし、この世界は大変なことになっているんだぞ。」

「大変って……どんな風に?」

「まず、この世界には4つの種族があるのは知ってるか?」

「まあな」

「魔族、人間、エルフ、ドワーフがいるんだが…人間は魔族に支配されて滅んだ、エルフは魔族に支配されかけている。ドワーフの王は攻められたら降伏すると言ってるよ。」

「そうなんだな……じゃあ、これから行くところは安全じゃないのか?」

「仲間がなんとかしてくれるさ、一人はエルフの都市にある、港で待っている。」

「そうなのか……」

俺は少し安心した。まだ、敵だらけの世界にいるわけではないようだ。

「そろそろ着くぞ」

「おお、そうか」
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