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その夜は、ぼくの歓迎会ということになった。
たくさんの料理がテーブルにところせましと並んだ。
「さあ、遠慮しないでどんどん食べてね。おばさん、腕によりをかけて作ったから」
「とりあえず、乾杯だ! 乾杯! 亮ちゃんもビール飲むよな」
「また、あんたは!」
おばさんが、おじさんをにらみつけた。
「ははは! じゃあ、ジュースで乾杯!」
ひとしきり、食べて飲んで盛り上がった。
ぼくは気にかかっていたことを切り出した。
「車で話していた竜の話なんだけど」
「竜神山の伝説か。なんだ? 亮ちゃんはあの話に興味があるのか」
ぼくはうなずいた。
「赤済はどんなふうに竜を封じ込めたの?」
「赤済は、竜と化した黒姫を封じ込めるのに、赤い竜を操ったとされているな」
「あら? 黒姫は竜と化したんじゃなくて、二頭の竜を操ったんじゃなかったかしら?」
おばさんが首をかしげた。
「まあ、そのあたりは言い伝えだからな」
「そうか…」
「だけど、亮ちゃんはどうしてこの話に興味があるんだい?」
「夢に見るんだ」
ぼくは正直に言った。
「黒い竜が、大きな口を開けてぼくに迫ってくる。そんな夢なんだ」
小さい頃から繰り返し見た夢だ。
「それに、その夢にはおじさんが昼間話していた黒姫も登場するんだ」
「夢か」
おじさんがぽつりとつぶやいた。
「夢には意味があるそうだよ。亮ちゃんの夢には、どんな意味があるんだろうな?」
電灯のあたりで、小さな蛾が羽ばたいていた。
たくさんの料理がテーブルにところせましと並んだ。
「さあ、遠慮しないでどんどん食べてね。おばさん、腕によりをかけて作ったから」
「とりあえず、乾杯だ! 乾杯! 亮ちゃんもビール飲むよな」
「また、あんたは!」
おばさんが、おじさんをにらみつけた。
「ははは! じゃあ、ジュースで乾杯!」
ひとしきり、食べて飲んで盛り上がった。
ぼくは気にかかっていたことを切り出した。
「車で話していた竜の話なんだけど」
「竜神山の伝説か。なんだ? 亮ちゃんはあの話に興味があるのか」
ぼくはうなずいた。
「赤済はどんなふうに竜を封じ込めたの?」
「赤済は、竜と化した黒姫を封じ込めるのに、赤い竜を操ったとされているな」
「あら? 黒姫は竜と化したんじゃなくて、二頭の竜を操ったんじゃなかったかしら?」
おばさんが首をかしげた。
「まあ、そのあたりは言い伝えだからな」
「そうか…」
「だけど、亮ちゃんはどうしてこの話に興味があるんだい?」
「夢に見るんだ」
ぼくは正直に言った。
「黒い竜が、大きな口を開けてぼくに迫ってくる。そんな夢なんだ」
小さい頃から繰り返し見た夢だ。
「それに、その夢にはおじさんが昼間話していた黒姫も登場するんだ」
「夢か」
おじさんがぽつりとつぶやいた。
「夢には意味があるそうだよ。亮ちゃんの夢には、どんな意味があるんだろうな?」
電灯のあたりで、小さな蛾が羽ばたいていた。
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