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「どうだ。マリィに会えたか」
佐々木は尋ねた。初めて会った時と同じ接客室で、僕と佐々木は向かい合っていた。
「会えました」
僕は答えた。
「けれどもマリィは私が捜しているのとは別の人物でした」
「そいつは残念だったな」
佐々木は肩を竦めた。
「だけど俺は鈴村が言ったことを、そのままおまえに伝えただけだ。俺の責任じゃないぜ」
「それはわかっています」
僕はふと佐々木に打ち明ける気になった。
「不思議なことがあるんです」
「ほぅ、どんなことだ? おまえに取っちゃ、この世界は不思議だらけだろうけどな。もう少し頭を使えよ」
僕は佐々木の言葉を受け流した。
「黙示録の子羊に関わる全ての事柄がネット上から消えている」
「なに…」
佐々木は僕の話に興味を持ったようだった。
「そんな筈はないだろう」
佐々木はノートパソコンを暫く弄っていたが「なるほど…」と頷いた。
「確かに消えているな…痕跡すら残さずに。見事なものだ」
僕は「黙示録の子羊」に潜入し、そこで体験したことを佐々木に話した。佐々木は黙って僕の話を聴いていたが
「面白い…消えたカルトか…」
口の端を歪めて笑った。
「幸か不幸か最近、仕事が暇でな。坊主にでもなろうかと思っていたところだ。退屈凌ぎにおまえの捜査に協力してやるよ」
「私は刑事ではないので捜査ではありません。それにあなたは元僧侶ではありませんか」
「そうだったな」
佐々木は苦笑した。
「それに依頼人は失踪してしまいましたから無報酬ですよ」
最もそれは僕も同じだったが。
「まあ、いい。俺がタダ働きするなんて初めてだぜ」
佐々木は尋ねた。初めて会った時と同じ接客室で、僕と佐々木は向かい合っていた。
「会えました」
僕は答えた。
「けれどもマリィは私が捜しているのとは別の人物でした」
「そいつは残念だったな」
佐々木は肩を竦めた。
「だけど俺は鈴村が言ったことを、そのままおまえに伝えただけだ。俺の責任じゃないぜ」
「それはわかっています」
僕はふと佐々木に打ち明ける気になった。
「不思議なことがあるんです」
「ほぅ、どんなことだ? おまえに取っちゃ、この世界は不思議だらけだろうけどな。もう少し頭を使えよ」
僕は佐々木の言葉を受け流した。
「黙示録の子羊に関わる全ての事柄がネット上から消えている」
「なに…」
佐々木は僕の話に興味を持ったようだった。
「そんな筈はないだろう」
佐々木はノートパソコンを暫く弄っていたが「なるほど…」と頷いた。
「確かに消えているな…痕跡すら残さずに。見事なものだ」
僕は「黙示録の子羊」に潜入し、そこで体験したことを佐々木に話した。佐々木は黙って僕の話を聴いていたが
「面白い…消えたカルトか…」
口の端を歪めて笑った。
「幸か不幸か最近、仕事が暇でな。坊主にでもなろうかと思っていたところだ。退屈凌ぎにおまえの捜査に協力してやるよ」
「私は刑事ではないので捜査ではありません。それにあなたは元僧侶ではありませんか」
「そうだったな」
佐々木は苦笑した。
「それに依頼人は失踪してしまいましたから無報酬ですよ」
最もそれは僕も同じだったが。
「まあ、いい。俺がタダ働きするなんて初めてだぜ」
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