かやりの風

関谷俊博

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そして秋はきた。稲の中身は、ほとんどが空っぽだった。恐れていたことが現実になったのである。
「どうする? わずかに採れた米も、みんな年貢に取られてしまった」
「俺たち富士講は、毎年、国家の安寧を祈願してきた。それがこの仕打ちか!   俺たちは死ぬ。皆、飢えて死ぬんだ!」
「このままでは、すまさん!   ただ飢えて死ぬのを待つことなど、できるものか!」
「どうするつもりだ?」
「富士講には、呪詛の法があると聞く。オンバアならきっと知っているはずだ」
「それなら、これからオンバアの所へ談判に行こう」
男たちは、肩を怒らせて、オンバアのうちへ押しかけていった。
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