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自宅で
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「明は家に帰ってきても、部屋に閉じこもってばかりね。」
「あ、うん。ごめん。」
「パソコン、寮で使う?持って行っても良いのよ。」
自宅に帰ってきた僕は始終パソコンの前にかじりついていた。スマホではもう埒があかない。パソコンで一気に検索して、解決したいことがあったんだ。
そんな僕の様子を見て、母さんが気を遣ってくれた。寮に入って5年間、そんな夏休みを過ごしたことはなくて、いつもは夏休みの間中、リビングのテレビの前のソファが僕の指定席だった。
そこにいればいたで、邪魔扱いされるんだけどな。僕は急いで検索履歴を消して、パソコンの電源を落とした。
「ううん。スマホあるし、寮に持って行ったら邪魔だよ。」
「そう?そんなに調べものがあるなら、あちらで困るでしょう?」
「今だけだよ。進路とかそういうの、夏休みの間に決めておきたくて。」
「そのまま上がるんでしょう?違うの?」
「学部とか、学科とか。色々決めないといけないんだ。」
「そう、それなら良いのよ。ごめんね。邪魔して。」
「僕も、ごめんね。せっかく帰ってきてるのに。」
本当に、ごめんなさい。全部、嘘だ。僕が調べていたこと、進路なんて嘘っぱちだ。誰にも相談できないから、ネットに頼るしかなかったんだ。
「今夜のご飯は何にしようか?」
「うーん。ハンバーグ!ハンバーグ食べたい!!」
「ハンバーグ?小さい子みたいなメニューね。」
「母さんの作ったやつ、久しぶりだから。」
「そう。そしたらお買い物に行ってくるわ。お留守番、お願いね。」
「うん。いってらっしゃい。」
母さんが部屋を出て行って、僕はすぐにパソコンをもう一度立ち上げようとする。電源を入れようとして、少し躊躇った。
今日はもうスマホの方が良いかな。またパソコン使ってるのを見られたら、さすがに怪しまれるよね。
僕はこれまでの自分の指定席に陣取って、今度はスマホにかじりつく。
僕がこんなに必死になって調べてることはたった一つ。涼との今後のことだ。もちろんそれは、進路とかそういうことではなくて、涼ともっと深く、そういう関係になりたいって、そんな僕の一方的な欲望によるものだ。
涼がそんなこと考えてるかどうかもわからない。こんなこと、必死になって考えてるのは僕だけかもしれない。
それでも、涼の声に、体温に、あんなに反応してしまう自分のことを抑え続けられる自信がない。男同士でどうすればいいのか、曖昧にしかわからなかった僕はネットに助けを求めた。
もし必要な準備があれば、夏休みのうちに。そう思ってスマホに視線を向ける。
その時、スマホがメッセージの受信を告げた。
『明、夏休みどうしてる?俺は暇すぎてやることがない。だから今度、花火大会に行かないか?』
涼は僕と違って、健全なんだ。
「あ、うん。ごめん。」
「パソコン、寮で使う?持って行っても良いのよ。」
自宅に帰ってきた僕は始終パソコンの前にかじりついていた。スマホではもう埒があかない。パソコンで一気に検索して、解決したいことがあったんだ。
そんな僕の様子を見て、母さんが気を遣ってくれた。寮に入って5年間、そんな夏休みを過ごしたことはなくて、いつもは夏休みの間中、リビングのテレビの前のソファが僕の指定席だった。
そこにいればいたで、邪魔扱いされるんだけどな。僕は急いで検索履歴を消して、パソコンの電源を落とした。
「ううん。スマホあるし、寮に持って行ったら邪魔だよ。」
「そう?そんなに調べものがあるなら、あちらで困るでしょう?」
「今だけだよ。進路とかそういうの、夏休みの間に決めておきたくて。」
「そのまま上がるんでしょう?違うの?」
「学部とか、学科とか。色々決めないといけないんだ。」
「そう、それなら良いのよ。ごめんね。邪魔して。」
「僕も、ごめんね。せっかく帰ってきてるのに。」
本当に、ごめんなさい。全部、嘘だ。僕が調べていたこと、進路なんて嘘っぱちだ。誰にも相談できないから、ネットに頼るしかなかったんだ。
「今夜のご飯は何にしようか?」
「うーん。ハンバーグ!ハンバーグ食べたい!!」
「ハンバーグ?小さい子みたいなメニューね。」
「母さんの作ったやつ、久しぶりだから。」
「そう。そしたらお買い物に行ってくるわ。お留守番、お願いね。」
「うん。いってらっしゃい。」
母さんが部屋を出て行って、僕はすぐにパソコンをもう一度立ち上げようとする。電源を入れようとして、少し躊躇った。
今日はもうスマホの方が良いかな。またパソコン使ってるのを見られたら、さすがに怪しまれるよね。
僕はこれまでの自分の指定席に陣取って、今度はスマホにかじりつく。
僕がこんなに必死になって調べてることはたった一つ。涼との今後のことだ。もちろんそれは、進路とかそういうことではなくて、涼ともっと深く、そういう関係になりたいって、そんな僕の一方的な欲望によるものだ。
涼がそんなこと考えてるかどうかもわからない。こんなこと、必死になって考えてるのは僕だけかもしれない。
それでも、涼の声に、体温に、あんなに反応してしまう自分のことを抑え続けられる自信がない。男同士でどうすればいいのか、曖昧にしかわからなかった僕はネットに助けを求めた。
もし必要な準備があれば、夏休みのうちに。そう思ってスマホに視線を向ける。
その時、スマホがメッセージの受信を告げた。
『明、夏休みどうしてる?俺は暇すぎてやることがない。だから今度、花火大会に行かないか?』
涼は僕と違って、健全なんだ。
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