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別れと再会
ルーイとステフの来訪
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「アイシュタルト!久しぶり!」
「ルーイ?!どうやって?ここはシャーノ国内だ。」
「そりゃあ、ステフの力に決まってるだろ。」
旅商人見習いとでも偽って入り込んだのか。サポナ村村長とまでなった男が。
「ロイドから、また文句が出るだろうな。」
「それがですね。今回はロイドも納得済みなんですよ。」
「何かあったのか!?」
「今回はクリュスエント様に用事が……」
そう言ってステフがルーイの顔を見た。
「そうなんだよ。アイシュタルトじゃなくてな。」
私がこの湖のほとりで姫と共に生活を始めてから既に数ヶ月が経った。姫の居場所は、きちんと城に報告され、渋々といった形で王にもこの生活を認められている。
認められていると言うのか、許可を脅し取ったというのか。一国の王と王女がそのせいで親子喧嘩を繰り広げるなど、信じられぬ。
王が許可したことで、姫の生活は安定しているし、騎士団長やフェリスも度々様子を見にやってきている。私も改めてシャーノの騎士団に所属することを許可され、要請があればそちらに出向くといった形で勤めることができた。
ステフの仕事に合わせて、ルーイが顔を出すこともある。
全てがうまくいっていた。
たった一つ、ここに様子を見にきた全員が、等しくため息を吐いて帰路につく以外は。
「わたくしにご用とは、何ですか?」
二人を家の中に迎え入れると、姫が早速話を切り出した。
「クリュスエント様に用があるのは兄さんなんです。僕はアイシュタルトにお願いしたいことがあって」
「ルーイが?わたくしに?」
「うん。ちょっとクリュスエント様に相談したくてさ。」
「まぁ。そういうことなら喜んで。」
「クリュスエント様に相談するようなことでもないんだけどさ……」
ルーイらしくもなく、なかなかはっきりとは口にしない。
「アイシュタルト。僕の頼みごとも聞いてくれますか?」
「何だ?」
ルーイが口にするのを勿体ぶっているうちに、ステフが私に話しかけた。
「手合わせしてもらいたいんです。しばらく体を動かしていなかったら、動きが鈍くなっているようで。カミュートでは誰にもお願いできないものですから、よろしくお願いします。」
「構わぬ。だが、手合わせなどジュビエールに頼め。」
「ジュビエール様は騎士団長です!そのように気軽に頼むことなどできませんよ。」
騎士団長だろうが何だろうが、あの者ならば楽しんで受けてくれそうだが。
「アイシュタルトに稽古をつけてもらってきた。とでも言えば受けてくれるだろう。」
私がシャーノに来ることになった時に、一番心配していたのは手合わせの相手だったからな。
「わかりました。それでは、稽古をつけてもらっても良いですか?」
「あぁ。外に出るか。」
「俺はクリュスエント様への用を済ませておくから、二人で行ってこいよ。」
ステフと私の会話を耳にして、それに乗っかるようにルーイが口を挟む。
私に聞かれたくはないことだろうか。
姫への相談だと言っていたからな。それも仕方のないことだ。
「アイシュタルト。すいませんが、付き合ってください。」
私とステフはそのまま外に出て、お互いに剣を振るう。
しばらく体を動かしていないと言ったステフはそれでも充分に動けていて、私だけを外に出すための方便だったのだろうと思う。
しばらくステフと手合わせをしていれば、話が終わったルーイと姫が家から出てきた。
心なしか姫の頬が赤く染まっているようにも見えるが、ルーイは一体、何を話したのか。
確認しようにも、ルーイとステフ相手に言葉では太刀打ちできぬ。二人が皆と同じように、ため息を吐いて私たちの家を後にした。
「ルーイ?!どうやって?ここはシャーノ国内だ。」
「そりゃあ、ステフの力に決まってるだろ。」
旅商人見習いとでも偽って入り込んだのか。サポナ村村長とまでなった男が。
「ロイドから、また文句が出るだろうな。」
「それがですね。今回はロイドも納得済みなんですよ。」
「何かあったのか!?」
「今回はクリュスエント様に用事が……」
そう言ってステフがルーイの顔を見た。
「そうなんだよ。アイシュタルトじゃなくてな。」
私がこの湖のほとりで姫と共に生活を始めてから既に数ヶ月が経った。姫の居場所は、きちんと城に報告され、渋々といった形で王にもこの生活を認められている。
認められていると言うのか、許可を脅し取ったというのか。一国の王と王女がそのせいで親子喧嘩を繰り広げるなど、信じられぬ。
王が許可したことで、姫の生活は安定しているし、騎士団長やフェリスも度々様子を見にやってきている。私も改めてシャーノの騎士団に所属することを許可され、要請があればそちらに出向くといった形で勤めることができた。
ステフの仕事に合わせて、ルーイが顔を出すこともある。
全てがうまくいっていた。
たった一つ、ここに様子を見にきた全員が、等しくため息を吐いて帰路につく以外は。
「わたくしにご用とは、何ですか?」
二人を家の中に迎え入れると、姫が早速話を切り出した。
「クリュスエント様に用があるのは兄さんなんです。僕はアイシュタルトにお願いしたいことがあって」
「ルーイが?わたくしに?」
「うん。ちょっとクリュスエント様に相談したくてさ。」
「まぁ。そういうことなら喜んで。」
「クリュスエント様に相談するようなことでもないんだけどさ……」
ルーイらしくもなく、なかなかはっきりとは口にしない。
「アイシュタルト。僕の頼みごとも聞いてくれますか?」
「何だ?」
ルーイが口にするのを勿体ぶっているうちに、ステフが私に話しかけた。
「手合わせしてもらいたいんです。しばらく体を動かしていなかったら、動きが鈍くなっているようで。カミュートでは誰にもお願いできないものですから、よろしくお願いします。」
「構わぬ。だが、手合わせなどジュビエールに頼め。」
「ジュビエール様は騎士団長です!そのように気軽に頼むことなどできませんよ。」
騎士団長だろうが何だろうが、あの者ならば楽しんで受けてくれそうだが。
「アイシュタルトに稽古をつけてもらってきた。とでも言えば受けてくれるだろう。」
私がシャーノに来ることになった時に、一番心配していたのは手合わせの相手だったからな。
「わかりました。それでは、稽古をつけてもらっても良いですか?」
「あぁ。外に出るか。」
「俺はクリュスエント様への用を済ませておくから、二人で行ってこいよ。」
ステフと私の会話を耳にして、それに乗っかるようにルーイが口を挟む。
私に聞かれたくはないことだろうか。
姫への相談だと言っていたからな。それも仕方のないことだ。
「アイシュタルト。すいませんが、付き合ってください。」
私とステフはそのまま外に出て、お互いに剣を振るう。
しばらく体を動かしていないと言ったステフはそれでも充分に動けていて、私だけを外に出すための方便だったのだろうと思う。
しばらくステフと手合わせをしていれば、話が終わったルーイと姫が家から出てきた。
心なしか姫の頬が赤く染まっているようにも見えるが、ルーイは一体、何を話したのか。
確認しようにも、ルーイとステフ相手に言葉では太刀打ちできぬ。二人が皆と同じように、ため息を吐いて私たちの家を後にした。
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