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別れと再会
サポナ村での報告
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「アイシュタルト!おかえり!って、おい、何連れてきたんだよ。」
私たちの足音を聞きつけたのか、ルーイが外に出て私たちを出迎える。
視線は私とフェリスを通り過ぎ、ジュビエールに釘づけだ。まさか他の騎士を連れてくるとは、思ってもいなかったのだろう。
「ジュビエールはカミュートの騎士だ。私に用があるらしい。事情も知っているから、気にするな。」
「気にするなって言われたって……」
ルーイが気にしてるのは態度だろうか。姫と7日間も一緒にいたのだ。もう何も心配する必要もないだろう。
「クリュスエント様は?」
「中にいるよ。アイシュタルトのこと、待ってる。」
私ではなく、姫が待ってるのはフェリスだろう。あの客室に置き去りにしてきてしまったのだから。
フェリスがクラムから降りるのを待って、二人で家の中に入る。
「フェリス!大丈夫でしたか?わたくしだけ先に逃げてしまって、ごめんなさい。」
姫がフェリスに駆け寄って、その手をとった。そして、大粒の涙を流す。
「姫さま、大丈夫です。アイシュタルト様が助け出して下さいましたから。それに、大活躍だったのですよ。」
「そ、そうなのっ?」
「えぇ。リーベガルド様はアイシュタルト様が捕らえて下さいました。姫さまはもう、何も心配しなくていいのですよ。」
「アイシュタルトが?捕らえた……」
姫の涙は止まることがなく、フェリスにすがり付いてこれまで我慢してた分まで、泣いているようだ。
「クリュスエント様。大変お待たせ致しました。やるべきことを全て終え、戻って参りました。」
私の挨拶にも、頷くばかりで声も出せないご様子。それも仕方あるまい。フェリスのこと、心配だったのだろう。
「アイシュタルトが捕らえたって?」
「あぁ。」
姫とフェリスの会話を聞いていたルーイが私の方を向き直る。
「そしたら、もう戦は終わる?」
「終わる。近いうちにカミュート王からの発表があるはずだ。それより、こちらは大丈夫だったのか?」
「はい。様子を見に来ていた兵もいたようですが、問題になるような出来事はありませんでしたよ。」
私の質問に答えてくれたのはステフだ。ずっと、姫を守っていてくれたんだな。顔全体に疲労感が浮き出ている。
「ステフ。苦労をかけた。本当にありがとう。今夜は私が見張りを代わる。しっかり、休んでくれ。」
「本当ですか?助かります。」
「アイシュタルト、これからどうするの?」
ルーイの言葉に、姫やフェリスまでもが私に注目する。明日以降の話をしなくてはいけないな。
「明日、カミュートとシャーノの国境門に向けて出発します。私とジュビエールでクリュスエント様とフェリス様をお送りします。そしてお二人はシャーノへ戻って下さい。」
「アイシュタルトは?どうするの?」
「お二人がカミュートから出られた後は、今回の件の報告に、城へ出向かなければならない。王を捕らえた報告には、本人がいかなくてはな。」
そして、多分その時にジュビエールが騎士団への入団を進言するつもりだろう。王の判断によっては、そのまま城内に留まることになる。
「それで?いつここに戻るの?」
「……ジュビエールは、私を騎士団に引き入れたいそうだ。そのためについてきている。私も働く先を世話してもらえるのであれば、その方が良いと思ってな。」
「騎士団に入るの?もう、戻ってこないってこと?」
「そうなるな。騎士が私の本来の職だ。そろそろ戻るのも良い。戦果をかざして、騎士団への入団を交渉できれば良い。」
「俺との旅は?ここで終わり?」
「すまないな。私は騎士に、戻る。」
気づかれるな。私が少しでも気持ちを残していれば、二人が何をするかわからない。
二人には私から離れ、平和な生活を返そう。
巻き込んでしまった借りは、いつか必ず返す。
これまで生きてきた中で、これほど丁寧に顔を作り上げたことはなかった。
私たちの足音を聞きつけたのか、ルーイが外に出て私たちを出迎える。
視線は私とフェリスを通り過ぎ、ジュビエールに釘づけだ。まさか他の騎士を連れてくるとは、思ってもいなかったのだろう。
「ジュビエールはカミュートの騎士だ。私に用があるらしい。事情も知っているから、気にするな。」
「気にするなって言われたって……」
ルーイが気にしてるのは態度だろうか。姫と7日間も一緒にいたのだ。もう何も心配する必要もないだろう。
「クリュスエント様は?」
「中にいるよ。アイシュタルトのこと、待ってる。」
私ではなく、姫が待ってるのはフェリスだろう。あの客室に置き去りにしてきてしまったのだから。
フェリスがクラムから降りるのを待って、二人で家の中に入る。
「フェリス!大丈夫でしたか?わたくしだけ先に逃げてしまって、ごめんなさい。」
姫がフェリスに駆け寄って、その手をとった。そして、大粒の涙を流す。
「姫さま、大丈夫です。アイシュタルト様が助け出して下さいましたから。それに、大活躍だったのですよ。」
「そ、そうなのっ?」
「えぇ。リーベガルド様はアイシュタルト様が捕らえて下さいました。姫さまはもう、何も心配しなくていいのですよ。」
「アイシュタルトが?捕らえた……」
姫の涙は止まることがなく、フェリスにすがり付いてこれまで我慢してた分まで、泣いているようだ。
「クリュスエント様。大変お待たせ致しました。やるべきことを全て終え、戻って参りました。」
私の挨拶にも、頷くばかりで声も出せないご様子。それも仕方あるまい。フェリスのこと、心配だったのだろう。
「アイシュタルトが捕らえたって?」
「あぁ。」
姫とフェリスの会話を聞いていたルーイが私の方を向き直る。
「そしたら、もう戦は終わる?」
「終わる。近いうちにカミュート王からの発表があるはずだ。それより、こちらは大丈夫だったのか?」
「はい。様子を見に来ていた兵もいたようですが、問題になるような出来事はありませんでしたよ。」
私の質問に答えてくれたのはステフだ。ずっと、姫を守っていてくれたんだな。顔全体に疲労感が浮き出ている。
「ステフ。苦労をかけた。本当にありがとう。今夜は私が見張りを代わる。しっかり、休んでくれ。」
「本当ですか?助かります。」
「アイシュタルト、これからどうするの?」
ルーイの言葉に、姫やフェリスまでもが私に注目する。明日以降の話をしなくてはいけないな。
「明日、カミュートとシャーノの国境門に向けて出発します。私とジュビエールでクリュスエント様とフェリス様をお送りします。そしてお二人はシャーノへ戻って下さい。」
「アイシュタルトは?どうするの?」
「お二人がカミュートから出られた後は、今回の件の報告に、城へ出向かなければならない。王を捕らえた報告には、本人がいかなくてはな。」
そして、多分その時にジュビエールが騎士団への入団を進言するつもりだろう。王の判断によっては、そのまま城内に留まることになる。
「それで?いつここに戻るの?」
「……ジュビエールは、私を騎士団に引き入れたいそうだ。そのためについてきている。私も働く先を世話してもらえるのであれば、その方が良いと思ってな。」
「騎士団に入るの?もう、戻ってこないってこと?」
「そうなるな。騎士が私の本来の職だ。そろそろ戻るのも良い。戦果をかざして、騎士団への入団を交渉できれば良い。」
「俺との旅は?ここで終わり?」
「すまないな。私は騎士に、戻る。」
気づかれるな。私が少しでも気持ちを残していれば、二人が何をするかわからない。
二人には私から離れ、平和な生活を返そう。
巻き込んでしまった借りは、いつか必ず返す。
これまで生きてきた中で、これほど丁寧に顔を作り上げたことはなかった。
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