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それぞれの想い
打ち明けるべき時
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「どうした?今日この後で良い?俺は構わないよ。」
「訓練を休んでってことですか?僕も大丈夫です。」
「訓練は、話の後だ。訓練の内容のことでもある。」
私の表情から、真剣な話だと感じとった二人は私との会話を優先してくれるようだ。
三人でテーブルを囲んで椅子に座り、改めて私が話をし始める。上手く伝えられるだろうか。どのような反応が返ってくるだろうか。嫌な緊張感に胸焼けを起こしたような不快感が襲う。
「予定を狂わせてしまってすまない。森での訓練が思いの外早く進んだ。もうステフなら獣相手に逃げ出す必要はないだろう。」
「そっかぁー。ステフ凄いな!」
「アイシュタルトがずっと教えてくれてるから。」
私が醸し出す深刻そうな雰囲気を払うように、二人がわざとらしく明るい声を上げた。
「今後は……」
言いづらさに声が詰まる。対人の訓練を始めることを話せば、それ以外のことまで全て話す必要が出てくるだろう。もし姫への気持ちまで打ち明けなければならない時がくるのであれば、それは今日が良い。
「アイシュタルト。」
次の言葉を発することができずにいた私に、見かねたようにルーイが声をかける。
「何だ?」
「また、ロイドが遊びに来いってさ。」
「ロイド?」
「あぁ。コーゼ出身の元旅商人。」
「え?!そんな人と知り合ったの?!僕も会いたい!」
ロイド。私が何も話さずとも、私の気持ちを的確に当てていた。彼との時間や言葉は間違いなく私の心を変えた。
「ステフも今度会いに行こう!」
「連れて行ってくれるの?行きたい!」
私も機を掴みにいく。
「ふぅっ。ステフ、会いに行こう。だが、その前に私と剣を交えよう。」
私は大きくため息を吐くと、一気に言葉を吐き出した。
「はい?」
「へ?」
ステフもルーイもそれぞれにひっくり返った声を上げた。さすがの二人にとっても予想外だったようだ。
「驚くようなことではないであろう?獣の相手が終われば、残すは人相手だ。」
「ぼ、僕が人に剣を向けることはないです!」
「これから、戦が始まる。そうすれば何があるかわからぬだろう?」
「ですが!」
「ステフ、まずはアイシュタルトの話を聞こう。」
ルーイが私に言い返そうとするステフを制し、私の話を促す。
「これから、コーゼが攻め入ってくる。カミュートのどこに向かってくるかはわからぬ。大半は都に向かうだろうが、その周辺の街や都までの通り道にある街は、間違いなく狙われる。もしコーゼの兵と出会ってしまった時に、少しでも逃げるための時間が作れれば良い。」
「うん。俺もそれは良いと思う。」
「そのためにも、人相手の訓練をしておくべきだ。」
「アイシュタルトの意見はそれで終わり?」
「あぁ。」
「ステフはどう思う?」
「僕は……人に剣を向けるなんて。やっぱり怖いよ。」
獣相手にでも目を瞑っていたステフのことだ。人を相手にするなど、怖いのも無理はない。
「そりゃそうだよなぁ。俺だって、兵士相手に構えるなんてできっこない。」
「だが、コーゼはこちらへ攻めてくるのだろう?それならば……」
「うん。なぁアイシュタルト。俺はさ、アイシュタルトの意見はわかるよ。兵士にただやられるだけにはならずに済む。だけどさ、アイシュタルトの言いたいことってこれだけ?ステフに人相手の訓練をさせたい理由、他にあるんだろ?」
ルーイの濁りのない青い目が私のことを真っ直ぐに見つめる。ここまできて、隠そうとしていたわけではない。
「アイシュタルトはその時、どこにいる?」
コーゼに入って行こうとしていることや、その理由まで、やはり話さずには終われないのか。
「訓練を休んでってことですか?僕も大丈夫です。」
「訓練は、話の後だ。訓練の内容のことでもある。」
私の表情から、真剣な話だと感じとった二人は私との会話を優先してくれるようだ。
三人でテーブルを囲んで椅子に座り、改めて私が話をし始める。上手く伝えられるだろうか。どのような反応が返ってくるだろうか。嫌な緊張感に胸焼けを起こしたような不快感が襲う。
「予定を狂わせてしまってすまない。森での訓練が思いの外早く進んだ。もうステフなら獣相手に逃げ出す必要はないだろう。」
「そっかぁー。ステフ凄いな!」
「アイシュタルトがずっと教えてくれてるから。」
私が醸し出す深刻そうな雰囲気を払うように、二人がわざとらしく明るい声を上げた。
「今後は……」
言いづらさに声が詰まる。対人の訓練を始めることを話せば、それ以外のことまで全て話す必要が出てくるだろう。もし姫への気持ちまで打ち明けなければならない時がくるのであれば、それは今日が良い。
「アイシュタルト。」
次の言葉を発することができずにいた私に、見かねたようにルーイが声をかける。
「何だ?」
「また、ロイドが遊びに来いってさ。」
「ロイド?」
「あぁ。コーゼ出身の元旅商人。」
「え?!そんな人と知り合ったの?!僕も会いたい!」
ロイド。私が何も話さずとも、私の気持ちを的確に当てていた。彼との時間や言葉は間違いなく私の心を変えた。
「ステフも今度会いに行こう!」
「連れて行ってくれるの?行きたい!」
私も機を掴みにいく。
「ふぅっ。ステフ、会いに行こう。だが、その前に私と剣を交えよう。」
私は大きくため息を吐くと、一気に言葉を吐き出した。
「はい?」
「へ?」
ステフもルーイもそれぞれにひっくり返った声を上げた。さすがの二人にとっても予想外だったようだ。
「驚くようなことではないであろう?獣の相手が終われば、残すは人相手だ。」
「ぼ、僕が人に剣を向けることはないです!」
「これから、戦が始まる。そうすれば何があるかわからぬだろう?」
「ですが!」
「ステフ、まずはアイシュタルトの話を聞こう。」
ルーイが私に言い返そうとするステフを制し、私の話を促す。
「これから、コーゼが攻め入ってくる。カミュートのどこに向かってくるかはわからぬ。大半は都に向かうだろうが、その周辺の街や都までの通り道にある街は、間違いなく狙われる。もしコーゼの兵と出会ってしまった時に、少しでも逃げるための時間が作れれば良い。」
「うん。俺もそれは良いと思う。」
「そのためにも、人相手の訓練をしておくべきだ。」
「アイシュタルトの意見はそれで終わり?」
「あぁ。」
「ステフはどう思う?」
「僕は……人に剣を向けるなんて。やっぱり怖いよ。」
獣相手にでも目を瞑っていたステフのことだ。人を相手にするなど、怖いのも無理はない。
「そりゃそうだよなぁ。俺だって、兵士相手に構えるなんてできっこない。」
「だが、コーゼはこちらへ攻めてくるのだろう?それならば……」
「うん。なぁアイシュタルト。俺はさ、アイシュタルトの意見はわかるよ。兵士にただやられるだけにはならずに済む。だけどさ、アイシュタルトの言いたいことってこれだけ?ステフに人相手の訓練をさせたい理由、他にあるんだろ?」
ルーイの濁りのない青い目が私のことを真っ直ぐに見つめる。ここまできて、隠そうとしていたわけではない。
「アイシュタルトはその時、どこにいる?」
コーゼに入って行こうとしていることや、その理由まで、やはり話さずには終われないのか。
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