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ロイスナーに来て、二度目の冬
再び雪が降り積もる 10
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「アマーリエ。お返事くださってありがとう。あんな無理なお願い、受け入れていただけないかと思って」
「リーゼのお願いを断るわけがないわ」
案内された場に到着し、馬車を降りると以前のようにアマーリエが出迎えてくれる。いつでも変わらないアマーリエの笑顔が、リーゼロッテの心も和ませた。
「さぁ、まずは中に入って。急いでるのはわかるけど、さすがに庭先で帰すわけにはいかないもの」
離れと呼ばれたその屋敷は、城に比べこじんまりとしていて、造りも幾分簡素に見えた。だが、中に入ってみれば趣味の良い装飾物によって彩られており、こだわりをもって整えられていることがわかる。
「今お茶を持って来させるわね。そちらにお座りになって」
通された応接室は伯爵が利用するには可愛らしくもあり、誰のために用意されたものか、想像がついた。
「この屋敷は?」
「ここはわたくしの為に建ててもらったものなの。お父様の目から離れて、独りになりたいときもあるでしょう? それぐらいしてもらわないと。あんな婚約者をあてがわれるのだから」
春に訪れた時に出会ったアマーリエの婚約者だった人物を思い出す。
「あの方とは?」
「もちろん。あの日以来会っていないわ」
当たり前のことを話すようなアマーリエの態度に、リーゼロッテが唖然としてしまう。
「よ、良かったの?」
「えぇ。さ、そんなことよりもお手紙に書かれていたことよ。大変だったのね」
「無理を言ってごめんなさい。アマーリエしか頼れる方がいなくて」
「嬉しい! リーゼは昔から何でも一人でやってしまうから。わたくしのこと思い出してくださったのね」
アマーリエはそう言うと、お茶を用意した執事に目配せをする。
すぐに二人の目の前に大量の食糧が運ばれてきた。
「こんなに?」
「もう少し時間があれば、もっと買ってきたのだけど。これで足りるかしら?」
「十分よ! ねぇ。アルベルトさん?」
目の前に広がった光景に興奮したようで、リーゼロッテがついいつもの調子で、後ろに控えるアルベルトへと声をかけた
「アルベルトさんって?」
リーゼロッテの口から出た名前をアマーリエが聞き逃すはずもなく、アマーリエの視線はリーゼロッテの後ろに立つアルベルトに注がれる。
「ディースブルク伯爵令嬢。初めてお目にかかります。このような場所に同席させていただく無礼をお許し下さい。ロイエンタール家執事長を務めます、アルベルトと申します」
「わたくし、アマーリエ・ディースブルクです。リーゼとは国立学院で一緒に学んでおりました」
アルベルトが恭しく頭を下げれば、アマーリエもそれに丁寧に返事をする。それは伯爵令嬢が執事に対するには丁寧過ぎるもので、リーゼロッテが後々何か言われることのないように、アマーリエなりの気遣いだとわかる。
侍女は見張りだった過去。何か粗相があればすぐにでも国王へと報告される生活。それを知ってるアマーリエだからこその気配り。
「アマーリエ、そろそろお話を……」
そんな過去をアルベルトに知られたくないリーゼロッテが、話を切り上げようと声をかけた。
「リーゼ、それもそうね。ごめんなさい。これで足りるのなら、全て持っていってもらって構わないわ」
「全て? そうだとしたら、ディースブルク伯爵にもお礼を申し上げないと」
「大丈夫よ。今回の件はお父様は知らないもの」
アマーリエはさらっと答えるが、リーゼロッテにとっては信じられない出来事で。伯爵の許可もなくこれだけたくさんのものを用意したとは、一体どういうことなのだろうか。
「知らないって?」
「リーゼからお手紙をいただたのに、お父様のお許しを待っていたら間に合わないもの。これはわたくし個人が用意したものよ。だから、全て持っていってもらっても、何も困らないわ。持っていってもらわないと、返って困ってしまうかも」
そう言って見せるアマーリエの表情はわざとらしく悩んでいるようで、その顔にリーゼロッテの表情もつい綻んでしまう。
「そ、そしたら全部いただいて帰るわ。本当にありがとう。どれだけ、お支払いすれば良いかしら」
「支払いだなんて。贈りものではダメなの?」
「ダメよ! こういうことはきちんとしなくては」
「そう? そこまで言うのなら。どれだけって言われても、全部持っていってもらいたいというのはわたくしの勝手なのだし、リーゼに任せるわ」
アマーリエの私財は、これぐらいの負担はどうってことないのだろう。ロイスナーとは、リーゼロッテとは違う財政事情に、羨ましさを感じなくもない。
(これが普通なのかもしれない)
ただ、領地に縛られた不自由さを思えば、単純に羨ましがることもできないのだが。
「そしたら、こちらを」
リーゼロッテが差し出したのは小さな魔力石。それを五つ、クッションの効いた皿に乗せてアマーリエの前に遠慮がちに差し出した。
「貨幣を用意できなくてごめんなさい。わたくしが用意できるものはこれだけで。もし、魔力石ではお嫌なのであれば、ベルンハルト様が目覚めた後にご相談するわ」
「貨幣だなんて! 魔力石がどれだけ高価なものかリーゼはご存知ないの?」
「知って……いるつもりだけど」
アルベルトとアマーリエから聞いた話を知識として知っているだけだ。
リーゼロッテ自身が魔力石の世話になることもなく、ヘルムートはあんなに毎日自然にそれを使っている。価値を実感することはなかった。
「それを五つも! わたくしがお渡ししたものでは釣り合いが取れないわ。もっとご用意しなければならなかったのね」
「いいえ! お手紙にも書いたけど、今のロイスナーでは食糧を用意することができないの。魔力石よりも食事の方が大切よ」
「ふふっ。確かに食事は大切だけど。そんな風に比べたことなかったわ」
リーゼロッテの言葉に、アマーリエが楽しそうに笑う。それを見たリーゼロッテもつい顔が綻ぶ。
「もし、魔力石が多すぎるというのならば、今回はお近づきのしるしに、受け取ってちょうだい」
二人ひとしきり笑い合った後、リーゼロッテは今回の取引を締めようとした。
いつまでもアマーリエと話をしていたいが、ロイスナーではベルンハルトもヘルムートも待っているだろう。
「お近づきね。またこのようなことがあれば、いつでも仰ってちょうだい」
「えぇ。で、でもね、そんなにたくさんの魔力石を持っているわけではないわ」
アルベルトの忠告を受けたリーゼロッテが、アマーリエに一言付け加える。
「そう。それならこれはわざわざお父様に報告することもないわね。継続するかどうかもわからない取引なのだから」
リーゼロッテの言葉と表情から、意図を汲んでくれたのかもしれない。アマーリエの口から、リーゼロッテが望んだ言葉が紡がれる。
「よろしく、お願い致します」
「リーゼのお願いを断るわけがないわ」
案内された場に到着し、馬車を降りると以前のようにアマーリエが出迎えてくれる。いつでも変わらないアマーリエの笑顔が、リーゼロッテの心も和ませた。
「さぁ、まずは中に入って。急いでるのはわかるけど、さすがに庭先で帰すわけにはいかないもの」
離れと呼ばれたその屋敷は、城に比べこじんまりとしていて、造りも幾分簡素に見えた。だが、中に入ってみれば趣味の良い装飾物によって彩られており、こだわりをもって整えられていることがわかる。
「今お茶を持って来させるわね。そちらにお座りになって」
通された応接室は伯爵が利用するには可愛らしくもあり、誰のために用意されたものか、想像がついた。
「この屋敷は?」
「ここはわたくしの為に建ててもらったものなの。お父様の目から離れて、独りになりたいときもあるでしょう? それぐらいしてもらわないと。あんな婚約者をあてがわれるのだから」
春に訪れた時に出会ったアマーリエの婚約者だった人物を思い出す。
「あの方とは?」
「もちろん。あの日以来会っていないわ」
当たり前のことを話すようなアマーリエの態度に、リーゼロッテが唖然としてしまう。
「よ、良かったの?」
「えぇ。さ、そんなことよりもお手紙に書かれていたことよ。大変だったのね」
「無理を言ってごめんなさい。アマーリエしか頼れる方がいなくて」
「嬉しい! リーゼは昔から何でも一人でやってしまうから。わたくしのこと思い出してくださったのね」
アマーリエはそう言うと、お茶を用意した執事に目配せをする。
すぐに二人の目の前に大量の食糧が運ばれてきた。
「こんなに?」
「もう少し時間があれば、もっと買ってきたのだけど。これで足りるかしら?」
「十分よ! ねぇ。アルベルトさん?」
目の前に広がった光景に興奮したようで、リーゼロッテがついいつもの調子で、後ろに控えるアルベルトへと声をかけた
「アルベルトさんって?」
リーゼロッテの口から出た名前をアマーリエが聞き逃すはずもなく、アマーリエの視線はリーゼロッテの後ろに立つアルベルトに注がれる。
「ディースブルク伯爵令嬢。初めてお目にかかります。このような場所に同席させていただく無礼をお許し下さい。ロイエンタール家執事長を務めます、アルベルトと申します」
「わたくし、アマーリエ・ディースブルクです。リーゼとは国立学院で一緒に学んでおりました」
アルベルトが恭しく頭を下げれば、アマーリエもそれに丁寧に返事をする。それは伯爵令嬢が執事に対するには丁寧過ぎるもので、リーゼロッテが後々何か言われることのないように、アマーリエなりの気遣いだとわかる。
侍女は見張りだった過去。何か粗相があればすぐにでも国王へと報告される生活。それを知ってるアマーリエだからこその気配り。
「アマーリエ、そろそろお話を……」
そんな過去をアルベルトに知られたくないリーゼロッテが、話を切り上げようと声をかけた。
「リーゼ、それもそうね。ごめんなさい。これで足りるのなら、全て持っていってもらって構わないわ」
「全て? そうだとしたら、ディースブルク伯爵にもお礼を申し上げないと」
「大丈夫よ。今回の件はお父様は知らないもの」
アマーリエはさらっと答えるが、リーゼロッテにとっては信じられない出来事で。伯爵の許可もなくこれだけたくさんのものを用意したとは、一体どういうことなのだろうか。
「知らないって?」
「リーゼからお手紙をいただたのに、お父様のお許しを待っていたら間に合わないもの。これはわたくし個人が用意したものよ。だから、全て持っていってもらっても、何も困らないわ。持っていってもらわないと、返って困ってしまうかも」
そう言って見せるアマーリエの表情はわざとらしく悩んでいるようで、その顔にリーゼロッテの表情もつい綻んでしまう。
「そ、そしたら全部いただいて帰るわ。本当にありがとう。どれだけ、お支払いすれば良いかしら」
「支払いだなんて。贈りものではダメなの?」
「ダメよ! こういうことはきちんとしなくては」
「そう? そこまで言うのなら。どれだけって言われても、全部持っていってもらいたいというのはわたくしの勝手なのだし、リーゼに任せるわ」
アマーリエの私財は、これぐらいの負担はどうってことないのだろう。ロイスナーとは、リーゼロッテとは違う財政事情に、羨ましさを感じなくもない。
(これが普通なのかもしれない)
ただ、領地に縛られた不自由さを思えば、単純に羨ましがることもできないのだが。
「そしたら、こちらを」
リーゼロッテが差し出したのは小さな魔力石。それを五つ、クッションの効いた皿に乗せてアマーリエの前に遠慮がちに差し出した。
「貨幣を用意できなくてごめんなさい。わたくしが用意できるものはこれだけで。もし、魔力石ではお嫌なのであれば、ベルンハルト様が目覚めた後にご相談するわ」
「貨幣だなんて! 魔力石がどれだけ高価なものかリーゼはご存知ないの?」
「知って……いるつもりだけど」
アルベルトとアマーリエから聞いた話を知識として知っているだけだ。
リーゼロッテ自身が魔力石の世話になることもなく、ヘルムートはあんなに毎日自然にそれを使っている。価値を実感することはなかった。
「それを五つも! わたくしがお渡ししたものでは釣り合いが取れないわ。もっとご用意しなければならなかったのね」
「いいえ! お手紙にも書いたけど、今のロイスナーでは食糧を用意することができないの。魔力石よりも食事の方が大切よ」
「ふふっ。確かに食事は大切だけど。そんな風に比べたことなかったわ」
リーゼロッテの言葉に、アマーリエが楽しそうに笑う。それを見たリーゼロッテもつい顔が綻ぶ。
「もし、魔力石が多すぎるというのならば、今回はお近づきのしるしに、受け取ってちょうだい」
二人ひとしきり笑い合った後、リーゼロッテは今回の取引を締めようとした。
いつまでもアマーリエと話をしていたいが、ロイスナーではベルンハルトもヘルムートも待っているだろう。
「お近づきね。またこのようなことがあれば、いつでも仰ってちょうだい」
「えぇ。で、でもね、そんなにたくさんの魔力石を持っているわけではないわ」
アルベルトの忠告を受けたリーゼロッテが、アマーリエに一言付け加える。
「そう。それならこれはわざわざお父様に報告することもないわね。継続するかどうかもわからない取引なのだから」
リーゼロッテの言葉と表情から、意図を汲んでくれたのかもしれない。アマーリエの口から、リーゼロッテが望んだ言葉が紡がれる。
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