253 / 492
第3部
父舅問題
しおりを挟む
サミュエルもオルドジフも、16歳になったアシェルナオを見て昔を思い出し、感涙にむせんでいる。
アシェルナオは自分が何かしたのだろうかと不安になって、隣に座るヴァレリラルドを見た。
「心配いらないよ。みんなは今、ナオの成長する姿を見ていくことができる幸せをかみしめているところだ」
ヴァレリラルドはアシェルナオの手を握る。
「そうなんだ。前は16歳で死んじゃったからね」
そのことに後悔のないアシェルナオは、ヴァレリラルドの手を握り返して、てへ、という感じで可愛く微笑む。
「16歳になったナオ様は、精霊の泉に現れたのと同じ年になりました。これからのナオ様がどんなふうに成長されていくのか。想像すると感慨深いです」
シルヴマルク王国に来たばかりで寝台にこもることが多かった梛央に、『あーん』をしたことを思い出したサミュエルが目頭を押さえる。
「おっさん、年を取って涙もろくなっちまったなぁ。まだ耄碌してもらったら困るぜ」
「そうですよ。私たちはナオ様の成長を今度こそ見届けないと。サミュエル殿も、まだまだ現役でお願いしますよ」
ケイレブとサリアンに言われ、
「当たり前だ。まだまだうちの騎士団の連中には負けん」
涙もろくはなったが、まだ耄碌にはほど遠いぞ、とサミュエルが睨みをきかせる。
「ナオ、誕生日おめでとう。私たちは本当に、ナオがこれからどんな大人になっていくか、どこまで綺麗になるのか、それをそばで見ることができるのが嬉しいんだよ」
オルドジフの顔がいつにもまして怖い顔になっているのは、溢れる温かい感情を抑えようとしているからだと知ってるアシェルナオは、席立つとその前に進み出た。
「僕も、これから1つずつ年を取るところをみんなにみてもらえるのが嬉しいよ。これからもずっと見ていてね、ドーさん」
「もちろんだとも」
オルドジフは両手を広げるアシェルナオの腰をつかみ、自分の膝の上に座らせる。
「ドーさんの抱っこ、久しぶりだね」
「初めてナオを抱っこしたときのことを思い出すよ」
近距離で見つめあい、嬉しそうに笑みを浮かべる2人。
「アシェルナオ、父様はちょっと嫉妬してしまうよ。父様のお膝にもおいで」
その仲睦まじさに、オリヴェルはアシェルナオを手招きする。
「ドーさんは特別だもん。ねぇ」
飛竜に攫われた梛央をソーメルスの砦で救出しただけではなく、心の闇からも献身的な看病で救い出してくれたオルドジフに、アシェルナオは心からの信頼を寄せていた。
「ああ」
初めて会った梛央に父親の愛情を求められたオルドジフもまた、実の父親の気持ちでアシェルナオに接していた。
「兄上とナオ様の絆に、私とロザーリエは入れませんね」
一人娘のロザーリエも5歳になり、さらに落ち着きを増したフォルシウスが苦笑する。
「フォルとロザーリエなら入れる。クランツは入れなくても入ってくるだろう」
オルドジフなりの義理の弟への愛情に、アシェルナオも苦笑した。
「ナオ、ちょっとこっちに来てくれないか?」
ベルンハルドに手招きされ、アシェルナオはオルドジフのお膝から降りて素直にその前に立つ。
「なに? ベルっち」
「大事な話があるから、おいで」
そういうとベルンハルドはアシェルナオを自分の膝の上に乗せた。
「大事な話だと膝の上に乗るの?」
膝に座らせられたまま、ベルンハルドを見上げるアシェルナオ。
「父上、私のナオに何を」
「陛下、うちの子に何を」
「怒るな、ヴァレリラルド。オリヴェル。ナオとヴァレリラルドが結婚したら、ナオは私の子供になるんだぞ?」
「ベルっちがお父さん……。じゃなくて、お舅さん? ん?」
「ナオ。婚約して3年。そろそろ婚約者を公表しろと周りがうるさくなってきた。特にエンゲルブレクトがな。それに、年が明ければヴァレリラルドも25歳になる。婚約の進捗を心配する年齢になってきたのは間違いないんだ。だから、ナオ。デビュタントが終わったらヴァレリラルドと婚約式をしてくれないか? そしたらエンゲルブレクトもエクルンド公国の公女か公子と結婚すると言っている」
エンゲルブレクトの名に、アシェルナオの顔が青ざめる。
「ナオ、嫌ならしなくていいんだよ」
顔色が悪くなるアシェルナオに、本当はそれを望んでいないのではないかと、オリヴェルが声をかける。
「陛下、兄弟げんかにナオ様の婚約式を絡めないでください」
テュコが冷ややかに告げる。
「したくないなら無理にとは言わないよ、ナオ」
自分と婚約式をすることが嫌なのかと不安にかられるヴァレリラルドだが、それを感じさせない柔らかい響きでアシェルナオの名を呼ぶ。
「ううん……。僕も婚約式、したい」
エンゲルブレクトの名を聞くと心がざわつくアシェルナオは、婚約式をすることでエンゲルブレクトが誰かと結婚するのならしたいと思った。
「嬉しいよ、ナオ。でも、本当に大丈夫?」
「うん。ヴァルと結婚するのは僕だもの。ヴァルが他の人と婚約式とか結婚式とかするの、いやだもの」
アシェルナオの言葉に歓喜して、
「ナオ!」
父の膝から奪って、ヴァレリラルドは愛しい婚約者をきつく抱きしめる。
ピッ。
強めに笛を吹いてから、
「ナオ様が殿下の婚約者だと公表すれば、学園生活が送りにくくなりませんか?」
テュコは懸念事項を口にした。
「むしろ、王太子の婚約者に告白する者はいないし、警護がしやすくなるそうだ」
「そういうことなら……」
シーグフリードに言われて、不満は残るもののテュコは口をつぐむ。
「学園生活が送りにくくなったら、その時はすぐに結婚しようか」
「えぇ……それもいやじゃないけど……」
はにかむアシェルナオ。
「大変。年が明けてすぐなら、アルテアンに急いで衣装を作らせないと。まだいるかしら?」
決まったことならば、公爵家として最高のものを準備させたいとパウラがテュコに尋ねる。
「おそらく帰ったと思います。明日出直させます」
「ええ、そうして」
「婚約式だから、ナオの衣装はこの服と同じ、私の瞳の色だよ。私はナオの瞳の色の黒い服を着る」
嬉しそうにアシェルナオの服に触れるヴァレリラルド。
「ラルはもともと黒い服ばかり着ているから、代わり映えしないな」
シーグフリードに言われてヴァレリラルドは悠然と微笑む。
「私はずっとナオ一筋だからな。やっとそれが叶うってことだ」
「ヴァル、あのね……。僕、婚約式にリクエストがあるんだ」
微笑むヴァレリラルドを見上げながら、アシェルナオは一つの願いを口にした。
アシェルナオは自分が何かしたのだろうかと不安になって、隣に座るヴァレリラルドを見た。
「心配いらないよ。みんなは今、ナオの成長する姿を見ていくことができる幸せをかみしめているところだ」
ヴァレリラルドはアシェルナオの手を握る。
「そうなんだ。前は16歳で死んじゃったからね」
そのことに後悔のないアシェルナオは、ヴァレリラルドの手を握り返して、てへ、という感じで可愛く微笑む。
「16歳になったナオ様は、精霊の泉に現れたのと同じ年になりました。これからのナオ様がどんなふうに成長されていくのか。想像すると感慨深いです」
シルヴマルク王国に来たばかりで寝台にこもることが多かった梛央に、『あーん』をしたことを思い出したサミュエルが目頭を押さえる。
「おっさん、年を取って涙もろくなっちまったなぁ。まだ耄碌してもらったら困るぜ」
「そうですよ。私たちはナオ様の成長を今度こそ見届けないと。サミュエル殿も、まだまだ現役でお願いしますよ」
ケイレブとサリアンに言われ、
「当たり前だ。まだまだうちの騎士団の連中には負けん」
涙もろくはなったが、まだ耄碌にはほど遠いぞ、とサミュエルが睨みをきかせる。
「ナオ、誕生日おめでとう。私たちは本当に、ナオがこれからどんな大人になっていくか、どこまで綺麗になるのか、それをそばで見ることができるのが嬉しいんだよ」
オルドジフの顔がいつにもまして怖い顔になっているのは、溢れる温かい感情を抑えようとしているからだと知ってるアシェルナオは、席立つとその前に進み出た。
「僕も、これから1つずつ年を取るところをみんなにみてもらえるのが嬉しいよ。これからもずっと見ていてね、ドーさん」
「もちろんだとも」
オルドジフは両手を広げるアシェルナオの腰をつかみ、自分の膝の上に座らせる。
「ドーさんの抱っこ、久しぶりだね」
「初めてナオを抱っこしたときのことを思い出すよ」
近距離で見つめあい、嬉しそうに笑みを浮かべる2人。
「アシェルナオ、父様はちょっと嫉妬してしまうよ。父様のお膝にもおいで」
その仲睦まじさに、オリヴェルはアシェルナオを手招きする。
「ドーさんは特別だもん。ねぇ」
飛竜に攫われた梛央をソーメルスの砦で救出しただけではなく、心の闇からも献身的な看病で救い出してくれたオルドジフに、アシェルナオは心からの信頼を寄せていた。
「ああ」
初めて会った梛央に父親の愛情を求められたオルドジフもまた、実の父親の気持ちでアシェルナオに接していた。
「兄上とナオ様の絆に、私とロザーリエは入れませんね」
一人娘のロザーリエも5歳になり、さらに落ち着きを増したフォルシウスが苦笑する。
「フォルとロザーリエなら入れる。クランツは入れなくても入ってくるだろう」
オルドジフなりの義理の弟への愛情に、アシェルナオも苦笑した。
「ナオ、ちょっとこっちに来てくれないか?」
ベルンハルドに手招きされ、アシェルナオはオルドジフのお膝から降りて素直にその前に立つ。
「なに? ベルっち」
「大事な話があるから、おいで」
そういうとベルンハルドはアシェルナオを自分の膝の上に乗せた。
「大事な話だと膝の上に乗るの?」
膝に座らせられたまま、ベルンハルドを見上げるアシェルナオ。
「父上、私のナオに何を」
「陛下、うちの子に何を」
「怒るな、ヴァレリラルド。オリヴェル。ナオとヴァレリラルドが結婚したら、ナオは私の子供になるんだぞ?」
「ベルっちがお父さん……。じゃなくて、お舅さん? ん?」
「ナオ。婚約して3年。そろそろ婚約者を公表しろと周りがうるさくなってきた。特にエンゲルブレクトがな。それに、年が明ければヴァレリラルドも25歳になる。婚約の進捗を心配する年齢になってきたのは間違いないんだ。だから、ナオ。デビュタントが終わったらヴァレリラルドと婚約式をしてくれないか? そしたらエンゲルブレクトもエクルンド公国の公女か公子と結婚すると言っている」
エンゲルブレクトの名に、アシェルナオの顔が青ざめる。
「ナオ、嫌ならしなくていいんだよ」
顔色が悪くなるアシェルナオに、本当はそれを望んでいないのではないかと、オリヴェルが声をかける。
「陛下、兄弟げんかにナオ様の婚約式を絡めないでください」
テュコが冷ややかに告げる。
「したくないなら無理にとは言わないよ、ナオ」
自分と婚約式をすることが嫌なのかと不安にかられるヴァレリラルドだが、それを感じさせない柔らかい響きでアシェルナオの名を呼ぶ。
「ううん……。僕も婚約式、したい」
エンゲルブレクトの名を聞くと心がざわつくアシェルナオは、婚約式をすることでエンゲルブレクトが誰かと結婚するのならしたいと思った。
「嬉しいよ、ナオ。でも、本当に大丈夫?」
「うん。ヴァルと結婚するのは僕だもの。ヴァルが他の人と婚約式とか結婚式とかするの、いやだもの」
アシェルナオの言葉に歓喜して、
「ナオ!」
父の膝から奪って、ヴァレリラルドは愛しい婚約者をきつく抱きしめる。
ピッ。
強めに笛を吹いてから、
「ナオ様が殿下の婚約者だと公表すれば、学園生活が送りにくくなりませんか?」
テュコは懸念事項を口にした。
「むしろ、王太子の婚約者に告白する者はいないし、警護がしやすくなるそうだ」
「そういうことなら……」
シーグフリードに言われて、不満は残るもののテュコは口をつぐむ。
「学園生活が送りにくくなったら、その時はすぐに結婚しようか」
「えぇ……それもいやじゃないけど……」
はにかむアシェルナオ。
「大変。年が明けてすぐなら、アルテアンに急いで衣装を作らせないと。まだいるかしら?」
決まったことならば、公爵家として最高のものを準備させたいとパウラがテュコに尋ねる。
「おそらく帰ったと思います。明日出直させます」
「ええ、そうして」
「婚約式だから、ナオの衣装はこの服と同じ、私の瞳の色だよ。私はナオの瞳の色の黒い服を着る」
嬉しそうにアシェルナオの服に触れるヴァレリラルド。
「ラルはもともと黒い服ばかり着ているから、代わり映えしないな」
シーグフリードに言われてヴァレリラルドは悠然と微笑む。
「私はずっとナオ一筋だからな。やっとそれが叶うってことだ」
「ヴァル、あのね……。僕、婚約式にリクエストがあるんだ」
微笑むヴァレリラルドを見上げながら、アシェルナオは一つの願いを口にした。
93
あなたにおすすめの小説
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
使用人と家族たちが過大評価しすぎて神認定されていた。
ふわりんしず。
BL
ちょっと勘とタイミングがいい主人公と
主人公を崇拝する使用人(人外)達の物語り
狂いに狂ったダンスを踊ろう。
▲▲▲
なんでも許せる方向けの物語り
人外(悪魔)たちが登場予定。モブ殺害あり、人間を悪魔に変える表現あり。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
僕、天使に転生したようです!
神代天音
BL
トラックに轢かれそうだった猫……ではなく鳥を助けたら、転生をしていたアンジュ。新しい家族は最低で、世話は最低限。そんなある日、自分が売られることを知って……。
天使のような羽を持って生まれてしまったアンジュが、周りのみんなに愛されるお話です。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。
ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。
異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。
二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。
しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。
再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる