そのステップは必要ですか?  ~精霊の愛し子は歌を歌って溺愛される~

一 ことり

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第1部

光になる(第1部 完)

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 ※※※※※※※※※※※※※

 本文前にお目汚し失礼します。
 ネタバレになるためにタグにいれられなかった言葉があります。
 いれられなかった言葉がありますが、このお話は梛央が幸せになるお話です。

 ※※※※※※※※※※※※※

 

 王城の地下には何層にもわたる牢がある。

 深いところにある層の1つの狭い牢。石壁で囲まれたその牢には明かりはほとんど届かない。

 身を横たえるだけで精一杯の簡素な寝台に一人の男が横たわっていた。

 髪の毛は固まり、地肌に張り付いている。

 牢に入れられた時点で身に着けていたものはすべてはぎ取られ、代わりに囚人用の粗末な白いシャツとズボンを与えられていたが、それも元の色がわからないほどに黒ずみ、ところどころが裂けていた。

 執拗な、時には拷問まがいの尋問を受けても、その目はうつろで、何物にも焦点を合わさず、まともな答えは何一つ得られなかった。

 与えられる責め苦にも怒りや怯え、悲哀など、一切の感情を見せることがなかった。ただ体に与えられる痛みに反射的に声をあげるだけだった。

 その精神はすでに現身にはなく、口から出るのは言葉にならない呻き声のようなものだけだった。

 満足に与えられない食事や水にすら手をつけなくなって久しい体はやせ細り、皮膚も黒ずんでいる。

 ただ死を待つ男-シモン-がひっそりと体を横たえる暗い牢に一層暗い塊ができたかと思うと、やがてそれは人の形を成した。

 フードを目深にかぶったローブ姿のその人物は、

 「楽にしてやろう」

 シモンに小さなビンを差し出した。

 エンゲルブレクトに言われて王妃と王太子の命を狙ったが、王妃への毒殺は側近が身代わりとなり、王太子の命を狙った落下物も、あわやというところでシモンが窮地を救った。

 その時はエンゲルブレクトの望みに従っただけだったが、今回は己の明白な意志でローブ姿の者は動いていた。

 忘れられない憎しみの再燃だった。

 「あ……う……」

 言葉の意味が直接シモンの脳に届く。

 シモンは枯れ木のようになった手を震えながら伸ばしてビンを受け取り、それを口元に運ぶ。

 震える手でビンを傾け、中身を飲み干すと、その手からビンが滑り落ちる。同時に声にならない咆哮がその口から発せられた。

 黒いローブの男はシモンに剣を投げ与えると、現れた時と同じように靄の塊になり、消えた。




 彫刻の施された柱に囲まれた上にドーム状の屋根の乗った東屋は奥城の庭園の中にある。

 梛央は洗礼式の衣装のままテュコとオルドジフに挟まれて庭園を歩き、その後ろにサリアン、クランツ、フォルシウスが追従している。

 「ナオー!」

 東屋にはベルンハルドとヴァレリラルド、サミュエルがすでにいて、いち早く梛央の姿に気づいたヴァレリラルドが、近寄る梛央を待てずに駆け寄る。

 大きくなったら結婚を申し込みたいと言ったヴァレリラルドに、洗礼式の白い衣装がウエディングドレスみたいだと言った梛央。

 それが、将来自分との結婚の儀式に臨む衣装のように感じたヴァレリラルドは、どうしても梛央の衣装が見たいと思った。

 東屋に向かって歩いてくる、清楚な白い洗礼式の衣装を着た梛央は、婚礼の儀式を受ける者のようにとても綺麗だった。

 絶対にナオを将来の伴侶にする。必ず結婚の儀式をあげる。その思いがヴァレリラルドの心を激しく高鳴らせていた。

 梛央に向かって駆け出したヴァレリラルドに、ケイレブ、イクセル、クルームがそのあとを追いかけたが、奥城の中であること、ヴァレリラルドと梛央の2人の空間を持たせたいという気持ちが距離を空けさせていた。

 それはオルドジフやテュコ、サリアンたちも同じで、少し距離を空けて、駆け寄るヴァレリラルドと早足で近寄る梛央を見守っている。

 ヴァレリラルドと梛央が距離を詰め、手を伸ばせば触れ合えるところまで来たとき、突風が梛央の身体を持ち上げ、飛ばす。それは突風と言うより見えざる巨大な手のような動きだった。

 数メートル飛ばされて花の咲き誇る植込みに投げ出される梛央。

 「ナオ!」 

 梛央に駆け寄るヴァレリラルド。

 異変に気付いた、少し離れたところで警備していた王族と梛央の護衛騎士は、東屋の屋根の上に立つフードをかぶった黒いローブの人影に気づいて笛を吹く。

 先ほどまで晴れていた青い空が急に暗い雲に覆われてあたりが暗くなる。

 梛央はすぐに起き上がったが、自分を助けに来たヴァレリラルドのすぐ後ろに黒い靄のかかったような人影が立っているのを見つけた。

 肌が黒く、ボサボサの髪をしてボロボロの服を着た、ゾンビのような男は剣を持っていた。




 少し前。

 ベルンハルドとサミュエルと同席する東屋での男だけのお茶会で、ヴァレリラルドはそわそわと星見の離宮の方向を見ていた。

 「ヴァレリラルド、落ち着け。落ち着きのない男は好かれないぞ」

 からかうようにベルンハルドに言われても、ヴァレリラルドは「はい」とうわの空で返事をした。

 「ナオ様に断られたとは言え、エンゲルブレクト殿下が結婚の申し込みをされておられます。うかうかしていられないと思われるのも仕方ないことです」

 「母上も私たちの結婚を望んでくれている。ナオも、私が大きくなったら結婚を申し込んでもいいと言ってくれたんだ」

 うかうかしている時期は終わったことをヴァレリラルドは勝ち誇った顔でサミュエルに告げた。

 「それはおめでとうございます」

 梛央のことだから、あまり考えずに将来の結婚の申し込みを許可したのだろうとサミュエルは推測したが、機嫌のいいヴァレリラルドに指摘することはなかった。

 「あ……」

 星の離宮からオルドジフらとともに歩いてくる、白い衣装を着た梛央の姿が見えると、ヴァレリラルドは立ち上がり、

 「ナオー!」

 梛央の名を呼び、待ちきれずに駆け出す。

 梛央も駆け寄るヴァレリラルドに気づいて早足になった。

 見ていて微笑ましい光景に、

 「ナオとヴァレリラルドがゆくゆくは結婚してくれるといいな」

 「ええ、お似合いだと思います。そうなればこの国は安泰でしょう」

 ベルンハルドとサミュエルは目を細める。

 衛兵や近衛兵、近衛騎士たちに護られた王城の、さらに奥にあるプライベート空間で育まれる子供たちの可愛らしい愛情。

 それを梛央とヴァレリラルドの護衛や護衛騎士たちも優しい目で見ていた時、梛央の身体がふいに見えないものに操られたように宙を飛ぶ。

 その後で不自然に渦を巻くような強風が吹く。

 「ナオ!」

 花の中に飛ばされた梛央に駆け寄るヴァレリラルド。

 ケイレブとサリアン、護衛騎士たちも一斉に護衛対象に向かって駆け出す。

 緊急時を知らせる笛が鳴り、にわかに空模様が急変する。

 強風が吹き荒れ、花や葉、枝を舞い上がらせる。

 視界を奪われた一瞬の隙に、梛央に駆け寄ったヴァレリラルドの背後に黒い人影があった。



 
 梛央は咄嗟にヴァレリラルドに飛びつくと、自分の体でヴァレリラルドの盾になった。

 「ナオ?」

 突然抱き着いてきた梛央に頭を抱えられて、ヴァレリラルドは梛央の肩口に顔を押し付けられた。

 梛央の髪や体からはいい匂いがした。

 「ヴァル……大好きだよ」

 穏やかな、優しい声音でナオが囁く。

 ヴァレリラルドが幸せな気持ちになったのも一瞬で、自分を抱きしめていた梛央の身体から力が抜けてゆっくりと崩れ落ちていく。

 「ナオ?」

 それを抱きとめて地面に座り込む形になったヴァレリラルドは自分の手に温かいものが触れたのに気付いて自分の手を見る。その手には血がべっとりとついていて、自分の腕の中の梛央を見る。

 梛央は体から力を抜いたぐったりとした様子で目を閉じていた。

 その時になって、抱き着いてきた梛央で遮られていた視界が開け、目の前にボロボロの男が血の付いた剣を握っているのが見えた。

 ヴァレリラルドの驚愕した瞳が男の視線とぶつかる。

 「シモン……」

 かつて自分の侍従だった男の変わり果てた姿だった。

 「殿下!」

 「ナオ様!」

 駆けつけたケイレブが剣を抜いてシモンの体を袈裟懸けに斬り捨てる。

 そのあとから駆けつけたイクセルたちがシモンを取り押さえる。

 ヴァレリラルドが腕の中で抱きかかえている梛央の背中から夥しい血が流れ出ていた。

 「ナオ!」

 「ナオ!」

 「ナオ様!」

 「フォルシウス、早く癒しを!」
 





 気が付くと梛央はずっと恋しいと思っていた自宅のリビングにいた。

 うつろな目で、何かを見ているのか考えているのかわからない表情をした晃成と琉歌がソファに座っていた。

 晃成が家にいる時はほとんどの時間を書斎で過ごして次のコンサートの準備をしていたのに、何もせずにぼんやりとリビングにいるのは、梛央のいた頃にはめずらしいことだった。

 琉歌も、仕事がない日は普段できない分の家事をしたり食事の準備をしているはずだった。

 晃成の顔には無精ひげが伸び、頬がこけていて、琉歌の顔は化粧っけがなく、やつれている。そんな2人を見たことがない梛央は、後悔と申し訳なさでいっぱいになった。

 「父さん」

 その言葉を口にした途端、溢れる思いが胸に押し寄せてきて、涙が次々に流れ落ちる。

 その声に、晃成が驚愕の表情で梛央を見る。

 「梛央!」

 呼ぶと同時にソファから立ち上がり、しっかりと梛央を抱きしめた。

 「父さん、ごめんなさい。ごめんなさい」

 「梛央、帰って来てくれだんだな。死んでいなかったんだな!」

 自分に言い聞かせるように言葉を吐き出しながら梛央をきつく抱きしめる。

 「ごめんなさい、父さん、大好きだよ。ずっと、ずっと言いたくて、会いに来たんだ。父さん、大好き。大好きだよ」

 「梛央!」

 琉歌も梛央を抱きしめる。

 ずっとそうしてきてくれたように、優しいぬくもりで、愛情をしめすようにぎゅっと。

 「母さん、悲しませてごめんなさい。僕が悪かったんだ。何も相談しないで勝手に決めて、本当にごめんなさい。母さん、大好きだよ。僕をずっと愛してくれてありがとう」

 普段のハグよりもきつく、子供の頃していたように甘えて頭をすりつける。

 「帰って来てくれたんでしょう? もうどこにも行かないで。梛央は何も悪くないの。梛央がいないと母さん寂しい、つらい。お願い梛央、もうどこにも行かないで」

 琉歌の涙ながらの懇願に、同じくらい涙を流しながらも、梛央はそっと愛する母の胸から離れる。

 「父さん、母さん。僕は死んでないよ」

 梛央の言葉に、晃成と琉歌の顔が歓喜で満ちる。

 「ああ、神様」

 「梛央が生きてるって信じていたわ」

 「死んでないけど、こことは別の世界で生きてるんだ。精霊のいる世界で、僕は精霊に導かれてその世界に行ったんだ」

 そう言うと、「これ、精霊神殿で洗礼の儀式に着る服なんだ」

 付け足すようにそう言って、梛央は白い衣装をよく見えるように広げて見せる。

 「精霊……」

 「僕が生きるためには、たぶんそこに行かないといけなかったんだと思う。でも、父さんに大嫌いだって言ったままだったのが心残りだったんだ。父さん、大好きだよ。父さんがどんなに僕を大事にしてくれていたのか、最近思い出せなくなっていてごめんなさい。父さん、ありがとう。大好きです。心から尊敬しています。母さんも、ずっと僕に愛情を注いでくれてありがとう。ね、僕ね、母さんが僕に聞かせてくれる歌が大好きだったんだ。僕も母さんがしてくれたように、精霊のいる世界で歌を歌っているんだよ。母さんみたいに愛情をこめて、思いを込めて歌っているから、そこの人たちはみんな僕の歌を褒めてくれるよ。僕が褒められると、母さんが褒められているみたいで、嬉しくなるんだ。……精霊の世界の人たちは家族みたいに僕を大事にしてくれているから、優しくしてくれているから、安心して」

 「いやよ、梛央。帰って来て。母さんを置いていかないで。梛央がいないと母さん歌えないの」

 琉歌は首を振って、今生の別れを口にしようとする梛央を拒む。

 「精霊の世界にいても、父さんと母さんに届くように心をこめて歌うから、父さんと母さんも僕に届くようにまた、演奏と歌を続けて。そしたらきっとまた会えるから」

 梛央とて好きで別れを告げているのではない。本当は別れたくない。ずっとそばにいたい。その気持ちは痛いくらいに梛央から溢れていた。

 「梛央は、そこに行かないと、生きていられないんだね」

 梛央の気持ちが伝わった晃成は、辛さを堪えて、穏やかに言った。

 「うん……。ごめんなさい……。僕がきちんと父さんの愛情を受け止めていればよかったのに……」

 「梛央は、母さんに似ていて可愛くて、可愛いから嫌われたくなくて、うまく伝えられなかった。謝るのは父さんだ。梛央を悩ませて、辛い思いをさせたな。父さんを許してくれるかい?」

 「謝るのは僕だよ。今なら父さんの愛情がわかるよ。これからは一緒にいられないけど、でも、遠くにいても父さんと母さんをずっと、ずっと愛してるから。父さんと母さんに届くように歌うから。きっと、また会えるから」

 「ああ。母さんと薫瑠は、父さんが守っていくから。素晴らしい演奏と歌が梛央に届くように頑張るから。だから心配しなくていいんだよ、梛央。安心してお行き。だが、必ずまた会いに来てほしい。離れていても、梛央は私たちの可愛い息子だよ」

 「ありがとう……」

 やっと心残りが解消されていく。辛いけれど、お互いの思いが通じ合った安堵に包まれた梛央の耳に、

 「ナオ!」

 甲高い薫瑠の声が聞こえた。

 音大から帰ってきた薫瑠は、そこに、すでにこの世には存在しないはずの弟が天使のような衣装を身に着けて、以前より綺麗になった姿で両親の前に立っているのを信じられない思いで見つめていた。

 「カオル。意地悪もされたけど、いつも僕の心配をしてくれて可愛がってくれたのはカオルだったね。ありがとう。父さんと母さんをお願いします」

 驚いた顔の薫瑠に、梛央はそう言うと頭を下げた。

 「なんなのよ、そんな他人行儀に! そりゃ意地悪もするわよ! 男のくせに母さんに似て綺麗だから羨ましかったのよ! でも可愛いに決まってるじゃない、私の弟だもの! だからもうどこにも行かないでよ、ナオ」

 自分に駆け寄る薫瑠の右手を取り、琉歌の右手を取り、晃成の右手を取る。

 それを1つに重ねると、それを自分の両手で挟んだ。
 
 「みんな、大好きだよ。これからもずっと、ずっと大好き。きっとまた会えるから。母さんと父さんとカオルの音楽が僕に届くのを待ってるから。僕も精霊の世界で歌を歌うよ。父さんと母さんとカオルを思って歌うから」

 穏やかに美しい笑みを浮かべる梛央の身体がキラキラしたもので包まれていく。
 
 梛央の言葉を噛みしめる家族の前で梛央の身体は光とともに消えていった。



 ああ、よかった。伝えられた。

 父さん、母さん、カオル。

 いつか、きっとまた、会おうね。

 梛央は満ち足りた微笑みを浮かべた。




 「ナオ!」

 ヴァレリラルドが腕の中の梛央を、だんだんと蒼白になっていく梛央の美しい顔を、自分のもとに繋ぎとめるように叫ぶ。

 「ナオ!」

 「ナオ様!」

 オルドジフとテュコが駆けつけてその傍らで信じられないようにその光景を見た。

 梛央の顔は蒼白ながら、穏やかな表情で微笑みを浮かべていた。

 そのまま目を開けて、大丈夫、と言いそうで、それを人々は心から希《こいねが》っていたが、その黒曜石の瞳は瞼に閉ざされたままだった。

 「フォルシウス、早く癒しを!」

 サリアンの声でフォルシウスが駆けつける。が、梛央の身体にキラキラした光が集まっていた。

 「兄上……」

 それは、キラキラしているが、今までになく弱弱しい悲し気な光で、自分より鮮明に精霊の姿を見えているはずのオルドジフは絶望の色を滲ませていた。

 やがて梛央の身体全体がキラキラした光で覆われる。

 その光がゆっくりと空に昇っていった。

 暗い雲は光に押しのけられて消散し、青空が戻る。

 やがて光が消えた時には梛央の姿も消えていた。

 「嘘だ……なぜナオが……消えるんだ……ナオ……ナオオオオオオオオッ」

 両腕が空を抱いたまま、ヴァレリラルドの絶叫が奥城中に響き渡った。
 
 
 
 え……? あ、あれぇぇぇ……? あれぇぇぇ…………? めっ、めがみさまあ……?
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