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目撃する女、佐奈
01.神様仏様どうかお願いします
しおりを挟む初めまして、近藤佐奈(こんどうさな)と申します。
えっと、あとなにをすればいいのかな?ああそうだ、簡単に自己紹介させて頂きます。この前友達に「美人か可愛いかで分けるなら佐奈は可愛い、だわ」という微妙な評価を貰いました。
……はい、本題に入らせて頂きます。
私には悩みが一つあります。
それは──目撃してしまうこと。
なにって、色々です。
鳥の糞が肩に落ちてしまうという小さな瞬間や、告白の場所、苛めの現場、教師に叱られている現場、誰かから誰かにフラグが立つ瞬間──色々です。
本当勘弁してほしい。嫌なんです。
最初こそは『おおまた見ちゃったよ~』なんて軽いノリで済ませられましたけど、何度も続けば頭を抱えます。心臓に悪いんです。隠れなきゃいけない緊張感にその場にいる罪悪感でもう私の心臓はボロボロです。
人間なにも知らずにいたほうが幸せだって私は思うんです。気がつかずにいたほうがね、いいんですよ。そう思いません?でしょう?
でも私は見てしまうんですよ!
どう思います?!
今まで私なりに対策を立てましたよ!まずなにも気がつかないように外を歩くときは音楽を聴いたり、予感がしたら目を閉じたり、辺りを見渡しすぎないようにしました。
それでも耳が聞こえなけりゃ目の前で起きるし、目を閉じてもぶつかってきてまで存在をアピールしてきたり、なにも気がつかないようにしても……気がつきますし!
どうしようもないんですよ……。
目撃してしまうときって大抵私一人だけだから友達から離れないようにもしました。でも結局友達道連れにして目撃してしまうんですよ!打つ手が、ない!
私としては見るつもりじゃないんですよ……っ!あ、疑われるけど本当です!心から誓って!ええ、ええっ!
だからもう心の中で皆さんにお願いしてるんです。お願いですから他の場所でしてください。私が見つけてしまわないように隠れてして下さい、って。
見てるだけで大袈裟とお思いおかもしれませんが、さきほどお話ししたように緊張感と罪悪感で心臓パンッ、ですよ……。
それにですね?見てしまっている状況になる――これはまあよしとしても、それがバレるときの瞬間といったら……。人の眼ってあんなに大きく見開くんだねってビックリするんですよ。
とにかくこれ以上寿命を縮めたくないんです。
中学校の間だけでも数年寿命を縮めたと自負しています。そんな自慢なんてもうしたくありませんし、明日から始まる新しい生活でもそんな自慢はしたくありません。私は素敵な高校生活を送りたいんです。
だから、お願いです。
変な場所に居合わせるとか、とにかく、目撃するようなことがありませんように。
心からお願い申し上げます!
神様仏様!……あれ?ここって神社だっけ?お寺だっけ?…………お願い申し上げます!私に平和な高校生活を!素晴らしい青春を!なにより心ささくれない平和な平和な日常を!私に!!お願いします!!
止めにお金を賽銭箱に投げいれてもう一度お願いしておく。
願いが叶う場所って聞いたとはいえ往復1080円もの大金を投資するだけじゃなく、お賽銭(155円)を追加したんだ……これで叶わなかったらヤブだヤブ――あ、これ聞かなかったことにしてください。
とりあえずこれで私の平和な高校生活が約束された。
パワースポットにもなってるぐらいの場所だから、なんだか神聖な気持ちになる。あれだ、邪悪なモノが取り払われたような感じがする。キラキラ、キラキラ。晴れやかな気持ち。
自然の美味しい空気をたっぷり吸い込んで、明日からの私を祝福するような綺麗な空を見上げたら、なんだかすべてがうまくいくような気が――
だと思ったのに!
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