自分を見ないで

三鷹

化け物 ④

　キャーー！！

　守り神のところに行こうとしたら女の悲鳴が聞こえた。

「どうしたんですか！」

　悲鳴があった場所に行くと、家がある壊されていて周りには血が飛び散っていた。女の足元には倒れて血を流している男が2人いる。

「いやー、助けて、殺さな、、、」

　ドスッ

　女が刺されている。突然のことで動けない、

　女が今目の前で殺された。助けられなかった。

（ボーッとしてる暇なんてない！守らないと！）

　それにしてもなんだあの禍々しい姿は！それにあの格好は動物なわけない、あれは元は人間だ！

「おい村長、生け贄は動物じゃなくて人間だな！さっき人間じゃないと言っただろ！」
「い、いえあれは人間ではありません。この村では戸籍を持たぬものは人として扱わないという条例がありますので」

　条例が何だよ！人間の生け贄なんてこんなことになると少しは考えなかったのか。

「とりあえず祓う。だが俺でも倒せんかもなー、あいつはちょっとの怨みでここまで強くなりやがったんだ。そう簡単に倒せそうないな。」
「そ、そんなの困ります！しっかり倒してください、この村ではこれ以上の殺しは、、」
「は、うるせーな。あれの力は相当だ。俺たち当主でも太刀打ちできないこともある。」

　まあ、このまま引き下がるわけにはいかないけどね

「こっちだ化け物！」

　化け物がこっちに向かってくる。すごい速さだ信じられない。だーがそんなの俺には関係ない

　両の手を強く打ち相手に手の平を向けて

　　　「Δεμένο」

　ギャーーー！！

「良し！さすが俺。」

　空間から鎖が出てきて三鷹を拘束した。

　三鷹が強い力を持っていても、章寿は三鷹を簡単に縛ってしまった。

「離せ！はなせーーーー！」

　三鷹は暴れ回る。

あーーー！！憎い人間どもめーーー！殺す殺してやる！一人残らず、みんな死ぬまで殺し続けてやる！！

うぉおおおーーー！！

　チッ！

「あいつ、鎖をちぎるつもりだな！やっぱり中途半端な術よりしっかりとしている術の方が良かったのか。」

　どうする、どうすれば良い！あーー威張ってないで誰か一緒に連れてくるべきだった。

　今更後悔しても遅すぎる。そう考えている間にも、三鷹は今にでも鎖を引きちぎってしまいそうな勢いで暴れまわる。

「ヒィー！早くやっつけてください！あんな化け物なんと悍ましい。あんなのが私の村で生活していたなんて、、、」

　ガッ！！　

　村長がそこら辺にある石を三鷹に投げつけた。

「そうよ！何で住まわせてあげたのに恩を仇で返すつもり！私の娘を怪我させといて、死んでからも私たちを脅かそうとするつもり！」

　ふざけんじゃないよ！

　野次馬たちも参戦して石を投げつけていく。

「拘束されてるからって何してくれてんだよ！今この瞬間にもコイツの力は増幅されてんだよ！！今すぐ離れ、、、」

　バッチーーン！！

　クソッ！

　鎖が外れた。最悪だ、俺は当主だぞ。なんで押されてるんだよ！それよりさっきより力強くなってるし！

「おい今すぐ離れろ！コイツの鎖が外れた！」
「うわーーこっちに向かってくるぞ！逃げろー！！」
「全くだからやめろって言ったのに！」

　　　　「εμπόδιο」

「おいお前らこの結界の中から出るなよ。出たらあいつの餌食だぞ。」

　いくら当主だからといって全員を守り切ることができる保証はない。今はどうにかあいつが帰るまで持ち堪えないといけないな。

「殺す殺す殺す　殺す！！」
「どうして殺したいんだ、お前は」
「憎いから、人間はダメだ！」

　コイツなんで、今返事をしたよな。意識があるのか、それとも返事してるように見えただけか。

　　　　　「φως」

　ギャーーー！！

　章寿が光を三鷹に当てた。眩しい光に当てられた三鷹は一目散に山に帰っていった。

（あの山があいつの住処か、後で行ってみるか）

　すぐにでも行きたいが今は

「村長、本当のことを詳しく教えてください。首がなくなり殺しますよ。」
「は、はい」
「では帰りましょうか」