自分を見ないで

三鷹

祓い屋 ③

　ねぇ知ってる？椙象村で、今人がたくさん殺されてるそうよー。怖いわねー

　そう言えば椙象村って何年かに一回生け贄を捧げる行事があるんでしょ。最近それを行なったって言ってたんだけど、その時殺された子供が悪霊とかになってるとか言ってたわねー。

　そう、そのとおりだった。多くて一夜で4人も殺されてしまった。女、子供関係なく。村人たちは恐怖した。

　今は昔のこの時代は妖怪退治が盛んだ。椙象村での噂はすぐに上まで伝わってしまった。

　一夜で4人は由々しき事態だ。急いで対処しなければならない。天皇は急いで暁章寿を呼んだ。章寿は暁家の当主だ。暁とは、陰陽師の中での力ある一族で、五大家と呼ばれる。

「章寿よ、椙象村の噂は知っているな。あれのレベルはランクAくらいだとみていいだろう。佐々木当主も無理だった。だから、お前が解決しに行ってくれ。」
「え、あいつもダメだんたのか？あいつもまだまだだねー。ま、俺なら一発で仕留められるけど。」
「じゃあ行ってくれるな」
「は、いやですよ。なんで俺が行かなきゃいけないんですか。めんぢくさいんで絶対嫌ですー。」

　暁章寿、彼はめんどくさがり屋なのだった。天皇の命令でも動きたくない時は動かない、かなりの問題児な当主だ。だがそんな問題児に1番効く薬は、、、

「おお、そーかそーか。なら高寿を呼ぼうか、どうしようかな。章寿が行かないなら呼ぶしかないよなー」
「嘘でーす。実は前から解決しようと思ってたんです。是非やらせてください、喜んでお受けします！」

　やはり問題児には父親を呼ぶのが一番のようだ。章寿の父、皆坂高寿は章寿の前当主で、厳しくも優しい人物だ。天皇からの命令を無視したなんて伝わったらどうなることやら、、

「卑怯ですね。親父の名前を出すなんて。」
「お前の扱いはだんだんわかってきたからな。逃げようと思ったらその時点で終わりだぞー」

　こうして章寿は悪霊退治に駆り出された。

　椙象村に着いたのは２日後のちょうど夜だった。
「ここが椙象村か。意外と大きい？のか、でも何もない。てか、今日も出るのか、あの悪霊は。」

　はー、ため息が止まらない。何で俺以外の当主は別の任務に行ってるだと！あのニヤニヤした顔は絶対嘘だろ！

　文句を言ってるうちに宿というより村長の家着いた。

「いらっしゃいませ、ようこそお越し下さいました。あの、きて早々なんですがもうじき化け物が来る時間なのです、お願いします！あの化け物を倒してください！」

　宿に入っていきなり言われた。それほど深刻な状況なのか。困惑してしまった。初めて会った人に急に迫られては困る。

「ああ、いきなりすみません。どうぞこちらにお入りください。」

　そう言われて客間に通された。

「はじめまして、私は村長の中村一儁と申します。暁様で間違い無いでしょうか。」
「ああ、間違いない。で、この村ので何が起こっている。」
「はい、この村には1000年に１度山にいる守り神に生贄を捧げないといけないのです。その儀式を1ヶ月くらい前に行いました。」
「は？ちょっと待ってください。儀式を行ったんですか！」
「はい、この村を守るには昔からこの方法を用いられています。でも、この儀式に使う生け贄は人間ではないのでご安心ください。」

　この村の人は三鷹のことをもはや人間として扱っていないのだった。その生け贄が人間ではないと信じてしまった章寿は余裕ぶっこいている。

　人間の生け贄と動物などの生け贄では強さが違う。いや待てよ、動物ならそこら辺にいる陰陽師でも倒せるはずなのに、そうやって力をつけたんだ。

（俺が駆り出されるほどの強さが動物なんてありえねー）

　ま、行ってみるか。

「では、今からその守り神がいるというところに、、、」

　キャーー！！