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第一章:カビた魔導書で足の踏み場もない家
魔女のささやかな晩餐
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女の嬉しそうな様子に、俺は手元のスープ皿に目を落とした。向かいの席に置かれたものと、同じ形のよく似た皿だ。
「以前はもう一人、誰かここに?」
「ええ、五年前までは母と二人で暮らしてたのよ。死んじゃったけど」
「それは悪いことを訊いてしまった。すみません」
「別に……事実だもの」
女は別に気にする風もなく、スプーンを口に運んだ。
俺もパンを汁に浸して一口かじる。月桂樹とローズマリーを合わせたような香りが鼻をくすぐった。
これは何の肉だろう? 骨がついているが妙に細い。身の締まったしっかりした肉質で、思いのほか濃厚な味がした。
カエルか、ひょっとしたらネズミかも知れない――そんな考えが頭をかすめたが気にしないことにした。森の中で貧しい暮らしをしている女が分けてくれた食事に、文句をつけるわけにもいかない。
それに、空腹を差し引いても実に美味いスープだった。
これで室内全体に漂うこの、淀んだ冷たい匂いさえなければな――そう意識した瞬間、俺はついつい斜め上を見上げて鼻をひくつかせてしまっていた。
「ああ、ごめんなさいね。この家、湿気が多くて……私も気にはなってるんだけど。女一人じゃ掃除もなかなかね」
彼女が申し訳なさそうに首を巡らせた。その視線が向けられたであろう先には、壁際の本棚からあふれて床の上まで積み上げられた、本の山があった。中には、何枚かの羊皮紙を手作業で綴じ込んだ、手書きの草稿らしきものもある。
床の上にある分の山は少し崩れ、全体の何割かは湿気を吸ったものか、表紙の間にとじ込まれた紙が膨れ上がっている。目に付いた背表紙の表題を目で追うと、聞いたことのあるタイトルや、内容を類推できそうなものがそれなりにある。
魔術に関するものや薬草に関するものが多い。
だが、もとは金箔を押してあったかと思わせるそれらの分厚い革表紙には、容赦なくカビがはびこり食い込んで、黒や緑の奇怪なまだら模様を施していた。
件の匂いは明らかにその本の山から発しているようだった。
「これは、もったいないですね……探せばそこそこの貴重書や稀覯本もありそうなのに。あなたの母親という方は、もしかして魔術師でしたか」
「ええ、そうみたい。研究のためにここに移り住んだ、っていうことになってたけど。多分なにか他にも事情があったんでしょうね」
「と、いうと?」
「ずいぶん小さい時だと思うけど、何となく覚えてるの。大きなお屋敷から夜中に寝間着のまま抜け出して、どっかから借りてきたみたいな汚い馬車に乗ったりとか……そういうことがあったと思う」
「なるほどなあ」
家督争いか、当主が死んで側室とその娘が追い出されたとか、そんなところだろうか?
この世界では魔術師に対して特段に差別や畏怖の感覚はなく、中世ヨーロッパでの博物学者とか占星術師といったものに近い扱いだ。
違いといえば、そこに実際に効果を発揮する魔術、呪文や護符といった形で行使される現実の力がついて回る、ということくらい。
例えば女性の魔術師が、領主貴族の正夫人や側室になるといったことも、珍しくはないと聞いた。
「じゃあ、それからずっとここに?」
「ええ。母は時々、陰干しにした薬草や香草とか、西の丘で拾ったちょっとした鉱石なんかを街に売りに行ってたけど。それで、帰ってくるとちょっと美味しいもの食べられたり、服にツギを当ててくれたり、ね」
聞くも貧しい暮らしぶりに、なんだか涙腺がおかしくなってきた。
「こ、この本を売ったりは……?」
「一度、母に言ってみたことあるんだけど。すごく怒られた。一冊も欠かさずに私に引き継いで欲しい、って。お金をどれだけ積まれても他所へやっちゃダメ、とくに一そろいのものをバラバラにするのは絶対ダメだって」
これはあれだ。地球でもいわゆるコレクターによくあるどん詰まりの状況だ。とはいえ、これが実際に魔術の基盤になるのであれば、彼女の母親が蔵書の散逸を嫌がったのも切実に分かる。
それにしても、この小屋ではあまりに保存状態として厳しくはあるまいか。
この家の湿っぽさは、多分あの、暖炉の反対側にある巨木が良くないのだろう。建物の構造を安定させてはいるが、その一方で降り注ぐ雨を全部集めて、幹伝いにこの家にぶちまけるような具合になってしまう。おまけに、どうもここの地面は水はけが悪い。
基礎工事を入念に行わず、急場しのぎの掛け小屋のような作り方で形にして、そのままずるずると住み続けた結果こうなっているのだ。
「建て替えられればいいんだけど、女一人でまともな稼ぎもないしどうにもならないわね」
女はそう言ってため息をついた。何ともやるせない。
(ああ。こういうの、内装工事のバイトでもたまに見たよなあ……)
老朽家屋に住んで細々と暮らすうちに、家ごと人生まで腐っていく。気が付いた時には建て直す原資も残っていないという、やるせないやつ。
「あなたは何か、魔法とか使えるんです?」
「あー、うん。まあ火口なしで薪に火をつけたり、焚き物追加せずに朝までもたせたりとか。洗濯桶の水から汚れを取り除いたりとか、そういう地味な奴は憶えたわね」
魔法など存在しない世界からきた身としてはそれもずいぶんなものに思えるが、確かに地味は地味だ。
「ま、まあそんな顔しないで。お菓子代わりにこれでも食べない?」
彼女がそう言って、戸棚から何か木製のボウルに入ったものを持ってきた。軽く干したキノコを空炒りにしたような感じのものだ。
「ん、キノコですか。ああ、もしかしてあの屋根の……?」
「まさか! あっちは毒よ。さすがに食べないわ」
彼女はキノコをひとつ自分でつまみ、口に放り込んだ。
「うちの裏手に綺麗な小川と天然の芝生があってね。そこに生えるのよ。まあ食べてみて」
そういわれては是非もない。思い切って一つ口に入れた。噛むと驚いたことにじんわり甘い。
「こりゃ美味い。悪いなあ、とっておきだったんじゃ?」
「うん、でもせっかくのお客さんだし。代わりにって訳じゃないけど、よかったらあなたのことも少し聞かせてくれると嬉しいな」
こちらにはべつに、たいして隠すようなこともない。俺は訊かれるままに、この世界に来て今までのことを、彼女に話した。
トイレに閉じ込められた話はずいぶんと、彼女を面白がらせたようだった。それと、勇者の血を引く女騎士に世話になった話も。
夜が更けて俺が特大のあくびをすると、あばら家の魔女は暖炉のそばのベッドを俺に明け渡し、眠るように言った。
本人はソファで仮眠をとるのだという。ひどく申し訳なかったが、俺は申し出に甘えて、その少しすえた匂いのする藁布団にもぐりこんだ。
「以前はもう一人、誰かここに?」
「ええ、五年前までは母と二人で暮らしてたのよ。死んじゃったけど」
「それは悪いことを訊いてしまった。すみません」
「別に……事実だもの」
女は別に気にする風もなく、スプーンを口に運んだ。
俺もパンを汁に浸して一口かじる。月桂樹とローズマリーを合わせたような香りが鼻をくすぐった。
これは何の肉だろう? 骨がついているが妙に細い。身の締まったしっかりした肉質で、思いのほか濃厚な味がした。
カエルか、ひょっとしたらネズミかも知れない――そんな考えが頭をかすめたが気にしないことにした。森の中で貧しい暮らしをしている女が分けてくれた食事に、文句をつけるわけにもいかない。
それに、空腹を差し引いても実に美味いスープだった。
これで室内全体に漂うこの、淀んだ冷たい匂いさえなければな――そう意識した瞬間、俺はついつい斜め上を見上げて鼻をひくつかせてしまっていた。
「ああ、ごめんなさいね。この家、湿気が多くて……私も気にはなってるんだけど。女一人じゃ掃除もなかなかね」
彼女が申し訳なさそうに首を巡らせた。その視線が向けられたであろう先には、壁際の本棚からあふれて床の上まで積み上げられた、本の山があった。中には、何枚かの羊皮紙を手作業で綴じ込んだ、手書きの草稿らしきものもある。
床の上にある分の山は少し崩れ、全体の何割かは湿気を吸ったものか、表紙の間にとじ込まれた紙が膨れ上がっている。目に付いた背表紙の表題を目で追うと、聞いたことのあるタイトルや、内容を類推できそうなものがそれなりにある。
魔術に関するものや薬草に関するものが多い。
だが、もとは金箔を押してあったかと思わせるそれらの分厚い革表紙には、容赦なくカビがはびこり食い込んで、黒や緑の奇怪なまだら模様を施していた。
件の匂いは明らかにその本の山から発しているようだった。
「これは、もったいないですね……探せばそこそこの貴重書や稀覯本もありそうなのに。あなたの母親という方は、もしかして魔術師でしたか」
「ええ、そうみたい。研究のためにここに移り住んだ、っていうことになってたけど。多分なにか他にも事情があったんでしょうね」
「と、いうと?」
「ずいぶん小さい時だと思うけど、何となく覚えてるの。大きなお屋敷から夜中に寝間着のまま抜け出して、どっかから借りてきたみたいな汚い馬車に乗ったりとか……そういうことがあったと思う」
「なるほどなあ」
家督争いか、当主が死んで側室とその娘が追い出されたとか、そんなところだろうか?
この世界では魔術師に対して特段に差別や畏怖の感覚はなく、中世ヨーロッパでの博物学者とか占星術師といったものに近い扱いだ。
違いといえば、そこに実際に効果を発揮する魔術、呪文や護符といった形で行使される現実の力がついて回る、ということくらい。
例えば女性の魔術師が、領主貴族の正夫人や側室になるといったことも、珍しくはないと聞いた。
「じゃあ、それからずっとここに?」
「ええ。母は時々、陰干しにした薬草や香草とか、西の丘で拾ったちょっとした鉱石なんかを街に売りに行ってたけど。それで、帰ってくるとちょっと美味しいもの食べられたり、服にツギを当ててくれたり、ね」
聞くも貧しい暮らしぶりに、なんだか涙腺がおかしくなってきた。
「こ、この本を売ったりは……?」
「一度、母に言ってみたことあるんだけど。すごく怒られた。一冊も欠かさずに私に引き継いで欲しい、って。お金をどれだけ積まれても他所へやっちゃダメ、とくに一そろいのものをバラバラにするのは絶対ダメだって」
これはあれだ。地球でもいわゆるコレクターによくあるどん詰まりの状況だ。とはいえ、これが実際に魔術の基盤になるのであれば、彼女の母親が蔵書の散逸を嫌がったのも切実に分かる。
それにしても、この小屋ではあまりに保存状態として厳しくはあるまいか。
この家の湿っぽさは、多分あの、暖炉の反対側にある巨木が良くないのだろう。建物の構造を安定させてはいるが、その一方で降り注ぐ雨を全部集めて、幹伝いにこの家にぶちまけるような具合になってしまう。おまけに、どうもここの地面は水はけが悪い。
基礎工事を入念に行わず、急場しのぎの掛け小屋のような作り方で形にして、そのままずるずると住み続けた結果こうなっているのだ。
「建て替えられればいいんだけど、女一人でまともな稼ぎもないしどうにもならないわね」
女はそう言ってため息をついた。何ともやるせない。
(ああ。こういうの、内装工事のバイトでもたまに見たよなあ……)
老朽家屋に住んで細々と暮らすうちに、家ごと人生まで腐っていく。気が付いた時には建て直す原資も残っていないという、やるせないやつ。
「あなたは何か、魔法とか使えるんです?」
「あー、うん。まあ火口なしで薪に火をつけたり、焚き物追加せずに朝までもたせたりとか。洗濯桶の水から汚れを取り除いたりとか、そういう地味な奴は憶えたわね」
魔法など存在しない世界からきた身としてはそれもずいぶんなものに思えるが、確かに地味は地味だ。
「ま、まあそんな顔しないで。お菓子代わりにこれでも食べない?」
彼女がそう言って、戸棚から何か木製のボウルに入ったものを持ってきた。軽く干したキノコを空炒りにしたような感じのものだ。
「ん、キノコですか。ああ、もしかしてあの屋根の……?」
「まさか! あっちは毒よ。さすがに食べないわ」
彼女はキノコをひとつ自分でつまみ、口に放り込んだ。
「うちの裏手に綺麗な小川と天然の芝生があってね。そこに生えるのよ。まあ食べてみて」
そういわれては是非もない。思い切って一つ口に入れた。噛むと驚いたことにじんわり甘い。
「こりゃ美味い。悪いなあ、とっておきだったんじゃ?」
「うん、でもせっかくのお客さんだし。代わりにって訳じゃないけど、よかったらあなたのことも少し聞かせてくれると嬉しいな」
こちらにはべつに、たいして隠すようなこともない。俺は訊かれるままに、この世界に来て今までのことを、彼女に話した。
トイレに閉じ込められた話はずいぶんと、彼女を面白がらせたようだった。それと、勇者の血を引く女騎士に世話になった話も。
夜が更けて俺が特大のあくびをすると、あばら家の魔女は暖炉のそばのベッドを俺に明け渡し、眠るように言った。
本人はソファで仮眠をとるのだという。ひどく申し訳なかったが、俺は申し出に甘えて、その少しすえた匂いのする藁布団にもぐりこんだ。
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