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5.響Side

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「僕は一途だって、ちゃんと教えてあげたのにね」
優しくベッドに体を寝かせて、自分はその横に座る。これから何をされるかも分かっていない穏やかな寝息が愚かで可愛くて、そっと頭を撫でた。

 亜希くんは「一途」という言葉を女の子たちに対してだと受け取って、軽く否定をしたけれど。僕が一途なのは最初から、亜希くんに対してだけだった。

「可哀想に。僕なんかに捕まっちゃって」

 別に、これといって特別なきっかけはない。食パンをくわえながら角でぶつかったとか、落とし物を拾ってもらったとか。そんな小さな運命的出会いすら僕らの間にはなかった。ただ、たまたま見かけた亜希くんの笑顔を綺麗だと感じて、そこに執着が生まれていっただけ。「また会いたい」が「僕にもその笑顔を向けてほしい」に変わって、最後には「僕だけのものにしたい」に変わった。
 まず邪魔だったのは彼女の存在だった。亜希くんはマトモな子だから、きっと彼女がいる状態では好きな人なんて作れない。だから彼女に接触して、二人が別れるように仕向けた。これで彼女の方も堅物だったら少し困ったけれど、けっこう尻軽な子で助かった。まさかあんな風に、亜希くん自身からお叱りを受けることになるとは思わなかったけど。

「怒ってる亜希くんも可愛かったなぁ……」

 そこからは思った以上に簡単に事が進んでいった。自分も責めてしまった罪悪感があるからなのか「会ってちゃんと謝らせてほしい」の誘いにも乗ってくれたし、そこから定期的に会える関係性にもなった。1回目で襲ってしまうのもありだったけれど、さすがに店の中からヤれる場所まで起こさないように運ぶのは骨が折れそうだったから、こうして家にまで呼べる間柄になれて良かったなと思う。デートもどきも、もちろん普通に楽しめたし。それにしたって「デートの評価をしてほしい」なんて無茶な言い訳、まさか本当に通るなんて思わなかったけれど。まぁそこは、これまでに信頼を積み重ねられた結果だろう。

「また、怒ってくれるかな」

 強めの睡眠薬を混ぜたから多少の刺激では起きないはずだ。バンザイの姿勢をさせて、邪魔な服を剥ぎ取っていく。小柄だけれどうっすらと筋肉のついた男の子の体。可愛く主張する二つのぷっくりとした乳首を見つけて、思わずそこへかぶりついた。
「ん……」
不快感を感じたのか、亜希くんの手が払いのけるような素振りをする。
「ダーメ。僕を拒むような手は縛っちゃおうか」
いくら意識がないとはいえ、こんなにハッキリと拒絶をされると傷ついてしまう。そういえばこうなった時のために手錠を用意していたことを思い出し、ベッドの下から取り出した。手錠だけじゃない。亜希くんに使おうとしていた卑猥なおもちゃだって、たくさんこの箱の中に入っている。

「気持ちよくなろうね。忘れられなくなるくらいに」
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