1 / 1
大義の聖剣
しおりを挟む地上では戦乱が激化の一途を辿っていた!
その戦禍は歯止めに至る兆しも無く、東西南北の国々は今日も猛々しく意気を吠える!
神に授けられし〈聖剣〉を掲げて……。
「〈正義〉は我々にあり! この〈聖剣〉こそが証だ! 刃向かう者には容赦するな!」
「大義名分たる〈正義〉は我が方にある! 反抗意思を示す者在らば〈悪〉と裁け!」
「敵国の泣き所は押さえてある! 遠慮は要らん! 〈正義〉の名の下に徹底的に突け!」
「恐れるな! 如何なる行いであろうとも、大義の前に非難などには価しない! これは〈正義〉として当然の所業なのだ!」
斯くして四つ巴の軍勢が大地を砂塵に汚した!
各々が〈正義〉を刃と振るい、眼前に見定めた〈悪〉を無情に裁く!
やがて異状な興奮に呑まれた〈正義〉は、本質を見失っていった!
抗えぬ弱者さえも贄と飽食していくのは、無自覚のままに推移した加虐心!
無抵抗の流血は憐憫誘う愁訴と汲まれる事も無く!
慟哭に流されし涙は鎮静の琴線ともならず!
すわ〈正義〉なり!
すわ〈大義〉なり!
銀光は鋭利に刻み続ける!
ひたすらに!
無慈悲に!
そこに、はたして〈真〉はあったのであろうか……。
やがて万物が沈黙に眠った地上の様子に、天界の神は首を傾げていた。
「おかしいな? 聖剣に刻んだ〈正義〉は、ただひとつ──〝他者を傷つけるな〟だったのだが?」
[終]
0
お気に入りに追加
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
GM8 Garden Manage 8 Narrative
RHone
ファンタジー
少し作業の隙間が出来たので手直し更新再開
この世の悪が集う庭には大魔王から正義厨まで何でも御座れ。困った厄介者達の説話集。
比較的短編の説話集ですが、内容がかなり際どい事があるのでご了承ください。
八精霊大陸シリーズの8期後半想定、トビラ後の話。
冒険者歴二十年のおっさん、モンスターに逆行魔法を使われ青年となり、まだ見ぬダンジョンの最高層へ、人生二度目の冒険を始める
忍原富臣
ファンタジー
おっさんがもう一度ダンジョンへと参ります!
その名はビオリス・シュヴァルツ。
目立たないように後方で大剣を振るい適当に過ごしている人間族のおっさん。だがしかし、一方ではギルドからの要請を受けて単独での討伐クエストを行うエリートの顔を持つ。
性格はやる気がなく、冒険者生活にも飽きが来ていた。
四十後半のおっさんには大剣が重いのだから仕方がない。
逆行魔法を使われ、十六歳へと変えられる。だが、不幸中の幸い……いや、おっさんからすればとんでもないプレゼントがあった。
経験も記憶もそのままなのである。
モンスターは攻撃をしても手応えのないビオリスの様子に一目散に逃げた。
幸せの炊飯器~聖女召喚に巻き込まれた社畜は愛用の炊飯器ひとつで異世界を放浪し満喫する
青の雀
ファンタジー
社畜OL 吉田美波25歳は、大手家電量販店の販売員をしているが、PB(プライベートブランド)の炊飯器の売り込みに余念がなく、性能を調べるために、いくつも社割で炊飯器を買い調べている研究熱心な女の子
ある日のこと、残業で遅くなった美波は急いで、炊飯器のスイッチを入れる。手洗いうがいをしていると、突如、足元が光り出し、咄嗟に炊飯器に手を伸ばしたまま、そのまま異世界に召喚されてしまう
お決まりの通り、一緒に召喚された中学生ぐらいの美少女だけが聖女様として崇められ、美波は追い出されてしまう
お金もなく、お腹もすいている美波に残されたのは唯一の財産であるPBの炊飯器だけ
これでご飯を炊き、デザートを作り、お腹いっぱいになるまで食べる
炊飯器に入れる食材は、イメージしたものがチートスキルからか、無料で入手できたのをよいことに、どんどん作り、それをレストランで提供していくことにしたのだ
美波の作った料理は、病人には病気が治り、けが人には怪我が治り、悩み事には、その悩みそのものが解決するという不思議な効力が宿っていた
美波が真の聖女様だったのでは?との憶測が飛び交い、美波は追われながらも異世界を放浪していくというお話
途中、恋愛もあるかもしれないけど、今のところはレシピものを書く予定
実は、筆者は調理師免許を持っておりまして、リア友からよくレシピの相談を受けます
そして、家電量販店の社畜という設定も、実は筆者自身のことで、
最近の炊飯器は、本当に優れモノで、特定の病気の症状を緩和することができるものまで登場しています
炊飯器レシピは、誰でも材料を入れ、炊飯を押すだけで簡単に美味しい料理ができるので、たくさんこれから炊飯器レシピをUPしていきますので、お楽しみにしてくださいね
なお、作ってみたいレシピにブックマークしていただけると嬉しいです
神主だった俺が転生したらパン屋でお嬢様の指南役!?
ナギノセン
ファンタジー
蒼玉剣人は、少しだけ特殊な家に生まれたこと以外はごく普通の高校二年生。
夏休みに入った彼には、目前にニつの大きなイベントが控えていた。
高校総体予選と神社の夏祭りだ。
中学から始めたフェンシングは、優勝候補の一角と目されるほどの腕前にまでなった。
今日も夏休みを返上して練習に励んだ。
夏祭りは、彼の生まれた家が千年を超える歴史を持つ神社で、その重要な大祭である。
長男の彼は物ごころのつく前から手伝わされて、気がつけば神前神楽も舞えるし笙も吹ける万能神主になっていた。
その彼が、夏祭りの御山詣の最中に事件は再び起こった。
どうして、ただの女子高生が魔王と戦うことになるわけ!?
小松広和
ファンタジー
私の名前は雨宮麗華。どこにでもいる女子高生。なんの取り柄もない私は白い猫のポチに連れられて異世界へ行くことになった。目標は魔王を倒すこと。さあ、頑張るぞー! って、勝てるわけないでしょ!
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる