20 / 26
~第三幕~
呪后再生 Chapter.3
しおりを挟む多勢な頭数がいたとしても、所詮、信徒は〝人間〟に過ぎない。
到底、百戦錬磨の超人〈ギリシア英雄〉にとって敵ではなかった。
とはいえ、ペルセウスにしてもヘラクレスにしても人間を殺めるつもりは無い──刃向かわなければ。
黄金の剣が眩く息吹けば取り巻く陣営は戦慄に後退り、蛮勇の獅子が雄叫びを轟かせれば恐々と畏縮した。
部屋の片隅に固まる信徒は無力な一般人に過ぎない。
それでも厄介な事に一部は臆せずに襲い来る。
狂信的な信者勢だ。
エジプト神に……否、スメンクカーラーに心酔している者達である。
盲信なればこそ何事も怖れない。
心髄からの信徒と呼べよう。
そうした輩は捌かねばならぬ。
不本意ではあるが……。
だが、それでもやはり敵ではない。
おそらく工作兵としての技能鍛練は積んでいるようだが、王獣の牙の前には子猫の爪だ。
金色が刻む軌跡は艶やかな赤を咲かせ、剛力の腕は不吉な砕骨音に死体を増産する。
誤算なり、スメンクカーラー!
その私兵の頭数ならば呑み潰せると過信していたものの、実際に蓋を開けてみれば半数以上は役立たずの羊であった!
「ええい! たった二人に何をしている! 此処はエジプト神庇護の御膝元であるぞ! 何を臆する事がある! さっさと始末しないか!」
「たった二人だけど底値が違うのよねぇ?」
背後からの茶化しに振り向けば、そこには〈魔女〉の姿!
生贄羊を捧げた祭壇だ!
いつの間にやらスルリと回り込んでいた!
否、或いは〈転移魔法〉か!
いずれにせよ儀式の要たるエレン・アルターナは解放されてしまった!
「キ……キサマ!」
「ハァ~イ★」楽観的な茶化しが笑みに手を振る。「御対面は初だわね? 先の戦争では、私は前線未介入だし?」
沸々とした睨め付けに返されるは、余裕めいた挑発視。
一触即発の牽制が緊迫に固まる中、ようやく父娘は再会に寄り添えた。
「エレン! おお、エレン! 無事か!」
「父さんこそ!」
「私は平気だ。大事無い」
「良かった……」
先程の不和は何処へやらで他人を心配する……つくづくエレンという娘は博愛の度が強過ぎるらしい──そう分析しつつも、メディアは込み上げてくる心地好さに軽く微笑を含むのであった。
願わくば、このまま親子関係が軟化してほしい。
尤も、それはアマい夢想というものだ。
それも重々承知している。
「父さん、答えて……」とりあえずの安堵が確執を呼び覚ましたか、一転に伏せた真顔でエレンは紡ぎだす。「姉さんを、どうしたの?」
「それは……」
「答えて! 父さんにとって、姉さんは……わたし達は何なの?」
「エ……エレン……」
再び堰を切る激情!
癇癪にも似た糾弾に返す二の句を、アンドリューは用意できなかった。
と、わざと飄々とした口調にメディアが割り込んだ。
「はい、スト~ップ★ いまはそんな事をしている場合じゃな~いの! 悪いけど、後にしてくんない?」
「……はい」
沈む抑揚に順ずるエレン。
助け船を出したつもりは無い。
このアンドリュー・アルターナという男は、到底許されざる父親だ。
実の娘を利己主義に売るような男なのだから。
そう、ヴァレリア・アルターナを……。
裁きは必ず落とされる。
如何なる形かは知らないが……。
それが業というものだ。
「さて……と」
メディアは閑雅に数歩進み出る。
その背に少女を保護するかのように……。
「一度、手合わせ願いたかったところなのよね……話に聞いた時から」
「魔女如きが! 身の程を知れ!」
「呪術師風情に言われたくないわね」
即座に呪印を組み踊るスメンクカーラー!
その数秒が終わると、彼を起点とした猛気流が発せられる!
猛る口腔と襲い来る圧!
然れど、メディアは涼しく流した!
対照的に静かな詠唱が熟れた唇から紡がれるや、眼前に巨刃を据えたかの如く突風は両断に裂け過ぎる!
背後に轟く破砕音が威力を物語るも、魔女には動ずる機微さえ無い。
ただ、不敵──それだけが攻撃者を呑んでいた。
「グヌヌ……ッ! 魔女めが!」
「貴方、まだ本調子じゃないでしょ?」
「何?」
「噂に聞いていた〈スメンクカーラー〉は、こんなものじゃない。おそらく転生して間も無いから、真の力までには覚醒を遂げていない。そりゃそうだわね。如何に〈大魔術師〉とはいえ、受肉転生すれば〝同一人物〟にして〝別人〟──当然、技能はリセット。魂の記憶に膨大な前世知識を引き継ぐとはいえ、それを行使する術は改めて習得していかなければならない……地道にね。おまけに魔力──と言うか〈呪力〉か──の方は魂に潜在こそすれ、全盛期同等には表層化出来ていない。これまた覚醒には根気よく時間を必要とする」
「知った風な口を!」
「だからでしょ? 焦っている……焦っているからこそ、一刻も早く〈ジャジャ・エム・アンク〉を復活させたい。復活させて、その身に宿したい。それが今生に於ける執着の原動力ってトコよね?」
「貴様!」
腰を低く落とした身構えは、はたして臨戦意思の威嚇か……それとも図星故の後込みか。
(先の一手で確信したが、コイツは凡百な〈魔女〉ではない! 卓越している! 魔力も! 魔術も! 何より場数慣れだ! コチラの攻撃を見定めた上で、最適な対処呪文を手持ちから選択した……発現する瞬間まで何が襲い来るかも判らぬというのに!)
ジリジリと焦れながらも、スメンクカーラーは再攻撃のタイミングを掴み損ねていた。
(仕掛けるはいいが、はたして一体〝何〟を仕掛ける?)
「スメンクカァァァラァァァーーーーッ!」
背後からの意気に奇襲を悟り、咄嗟の横跳びで間合いを離脱する!
因縁の相手からの一閃であった!
「チィ! ペルセウス!」
「よもや転生していたとはな……しかも、まさか〈呪后〉の復活まで目論んでいたとは! それも、私利私欲の為に! 相変わらず、とことん腐った性根だな! スメンクカーラー!」
「信徒達は! 信徒達は、どうした! 何をしている!」
「みんな、おねんねだよ」
激昂にも似た焦燥に答えたのは、どっしりと構えた男臭い声。
見れば獅子兜の剛腕は、最後の一人を頭部鷲掴みに吊るし上げていた!
「よぉ、随分といいように弄んでくれたな?」
「ヘラクレス!」
飽きたオモチャを「フン!」と投げ捨てる豪傑!
「まさかアンタが暗躍の黒幕だったとはな……イムリス大先生よォ?」
「キサマ?」
覚った!
その呼び名で白い歯を見せられれば覚れるというもの!
「そうか、オマエだったか……道理で、あのような無謀を強行できたワケだな」
「互いに化かし合っていたってワケだ……トンだ間抜け話だぜ」
「フン……」
「イムリスさんよォ? さっきの話、ヴァレリアをどうしたって?」
「だったら? 敵討ちでもするか? クックックッ……」
「だったら〝やる事〟は見えた──妹を護る。護り続ける。これから先、例え何があろうとも……アイツの代わりにな!」
「ほぅ? 思ったよりも薄情だな?」
「あん?」
「てっきり貴様は、もう少しヴァレリア・アルターナに情を抱いていると思ったが……淡白なものだ」
「でもねぇさ……膓は煮え繰り返ってらぁ。テメエはテメエでブチのめす! だが、柄じゃねぇのさ。声高に『敵討ち』なんてホザくのはな。俺も……アイツも!」
正面にメディアを見据え、更に左側からはギリシア勇者二名が征伐とばかりににじり寄る。
スメンクカーラーは完全に包囲網の内へと晒されていた。
(どうするか。魔女の指摘は正解だ。なまじい受肉転生を果たしたばかりに、神話時代のような呪力までには覚醒できていない)
本質は〈スメンクカーラー〉だとしても、今生の人生経験を歩むのは〝イムリス〟だ。
こればかりは遅々着々と覚醒していくしかなかった。
だからこそ、前世以上に固執したのである!
彼の『ジャジャ・エム・アンク再生』に!
その憑霊融合に!
(見渡せば有象無象の〈怪物〉が犇めき争う現世魔界で〝人間〟の身では脆弱過ぎる! 力も! 寿命も!)
歯痒い。
覇権を望む性なればこそ。
(エレン・アルターナに〈呪后〉を宿らせ、贄として瞬殺する──その算段ではあったが見直さねばなるまい)
最上の生け贄──眩き宝石の如き献上品──〈呪后〉。
然れど、それは叶わぬ。
あの〈魔女〉の背後に護られては……。
逆境打破を巡らすべく、今一度室内を視野に滑らせる。
とはいえ、使える人材は二大英雄によって叩き潰された。
片隅に固まる頭数は優に在るものの恐々と身を寄せるだけの無能な群。
(あれだけの人数が居ながら……役立たず共が!)
と、持ち前の悪意が鎌首をもたげ始めた。
(……いや、それならば相応に役立ってもらうか)
活路を見出だす!
彼らしい策謀を!
「魔女よ、貴様は言ったな? 量より質……と」
「それが?」
「ならば、私は……質より量だ!」
即座に早業の呪印を結う!
流れ出る呪言は流水の如く!
「させるかよ!」
条件反射的にヘラクレスが飛び込んだ!
正直、何をする気かは判らない……が、何かをさせてはならない!
この狡猾には!
だがしかし、紙一重に紡ぎは終わる!
非常に即興的な呪術であった。
(小ネタ? 何を?)
違和感に疑問を抱くメディア。
起死回生の一手を警戒していたからこそだ。
そう、それは強い不安を覚えさせる肩透かし!
なればこそ、警戒心は鳴子のままに!
次の瞬間、目が眩むほどの閃光が一帯を白に呑み潰す!
「しまった!」
目論みを察した魔女が焦燥を咬む!
本番は、これからだ!
そのために即興性に富む〈閃光呪術〉を選んだのである!
隙を強いるために!
本格的な呪文詠唱の時間を!
「グアッ? この野郎!」
動揺に怯むも勢い任せに凪ぐ混棒!
当たろうはずも無い!
捕捉されない当てずっぽうでは!
呪声の動きから察するに、悠々とした回避に間合いを離脱したのは明白だ!
「クソッタレ!」
見えぬ!
眼界は白に封じられた黒のみ!
その中に聞こえる低い粘りは、ペルセウスの警戒心を鋭敏に尖らせた!
聞き覚えがある抑揚と緩急であった……我が身を以て!
「まさか……死霊を!」
そう懸念した直後、新たなる違和感が押し寄せる!
詠唱に織り込まれるが如く聞こえる悲鳴!
雑多に奏でられる断末魔!
「ぎゃぁああ!」「ひいいい!」「いや……いやあああ!」
誰かは判る!
信徒達だ!
部屋の片隅に恐々と身を竦めていた非戦闘要員達だ!
「何を……何をしている! スメンクカーラー!」
やがて視力が落ち着いてきた。
霞と晴れる白光に拓けた光景は……死屍累々の惨状!
「なっ!」
驚愕の絶句に固まる!
信徒達は一人残らず命を奪われていた……。
その肉体は干ばつに晒されたかのように干からび、全身の水分を失っていた。
宛ら〈ミイラ〉そのものと……。
さりながら、その顔面に刻まれた筋肉の形跡は酷たらしい苦悶を如実に訴える。
数秒──呪文詠唱が終わるまで僅か数秒である!
その間に、これだけの地獄を顕現させたのだ!
この呪術師は!
「スメンクカーラー! 貴様という男は……っ!」
憤りに睨めつけるペルセウス!
当の仮面呪術師は部屋中央に居た。
包囲網から抜け出した余裕もあってか立ち構えは涼しい。
「この惨劇を招いたのは、オマエ達だ……ペルセウス」
「何だと!」
「私を追い詰めた……邪魔立てしなければ、小奴等が死ぬ流れは無かった……そう、エレン・アルターナを差し出せば!」
名指しにゾッと恐怖を甦らせ、身を竦める少女──と、両者を防壁と遮るかのように隆々たる守人が割って入った。
「都合のいい責任転嫁してんじゃねえよ、このエゴイストが」
「……ヘラクレス」
「生憎、俺は爺さんと違ってソイツラに同情の念は涌かねぇ。所詮〈邪教徒〉──テメエで〈闇堕ち〉を選んだ末路だ。だが──」肩越しにエレンを一瞥する。「──コイツに手出しはさせねぇよ」
獅子頭の蛮勇──何故、このギリシア勇者が自分を特別視するのか……何故、護ろうとするのか……姉が導いた奇縁を、エレン・アルターナは知る由もない。
「クックックッ……」肩を揺らす仮面。「もう必要ない」
「スメンクカーラー! 何のために信徒達を……その命を奪った!」
「ふたつだよ、ペルセウス。ひとつは、私を守ってもらうため……」
その真意を命令と感知したかのように死体達は動き出した!
自我損失のままに!
「ミイラか!」
「いいや、そんな高等な代物ではない。プロセスとしては近しいが、即興的な別物だ。確かにコイツらの〈魂〉は頂いたが〈霊〉は遺した……肉体の内にな。そして同時に看守も封じてある」
「看守?」
「死霊だ」
「なっ?」
ゆらりと……そして、次々と起き上がる乾燥死体達!
不気味な足取りが陣形を築くのは、はたして簡素な自我か……それとも呪力支配に依るものか……。
「ぁ……ぁぁぁ……」「ぉぉぉ……」
零れる呻き。
それは呪詛にも苦悶にも聞こえ……。
「解るか? この乾燥死体は〈牢獄〉にして〈無限地獄〉……コイツらは常に死霊の恐怖に晒されながらも、決して逃げ道など無い。閉鎖の内で追われ続け、殺され、再生する──その繰り返す負念を糧に、死霊は更に支配力を増す」
「永遠の贄ってか……とことん、えげつないヤツだぜ」
「還元と言ってほしいものだな、ヘラクレス」
立ちはだかる黒集り。
それをバリケードと据え構え、スメンクカーラーは安全圏へと数歩退いた。
眼前の不死異形は〈デッド〉のようでもあり〈ミイラ〉のようでもあり……。
「胸クソが悪くなるぜ」
「ああ」
「……下手な憐れみは向けるなよ、爺さん」
「無論だ……迷いは無い」
おそらく、この者達を救う手立ては無い。
元には戻せない。
それを覚るからこそ両英雄は苦渋を咬むのである。
屠るしかない……解放の手は!
さりながら、魔女だけは別な懸念を抱いていた。
「マズイわね」
「何がだ? メディア?」
アンドリューの訊いに簡素な一瞥を向けるも、すぐさま視線はスメンクカーラーの警戒へと……。
「エレン・アルターナの代替よ」
「代替?」
「……質より量」
嫌悪に睨みつけながらも、冷静に巡る分析眼が我ながら疎ましい。
(凡そ一〇〇人弱……即興にして質の落ちる贄とはしても、それなりの頭数。おまけにアレからは同人数の負念が無尽蔵に発散され続ける。儀式の餌としては充分かしらね)
危惧の的中とばかりに邪悪が嘲りに酔う!
「そして、本題こそが魂よ! 我が悲願〈ジャジャ・エム・アンク〉の贄よ! フハハハハハ!」
「何だと!」「紀元前のアイツか!」
慄然に呑まれるペルセウスとヘラクレス!
だがしかし、メディアだけは確信の的中に睨むのであった……忌々しい苦さを帯びつつ「やはり!」と。
「至上の贄〝エレン・アルターナ〟……いえ〈呪后〉は、言わば〝最高品質の宝石〟──それを献上する事が叶わないならば、代わりに〝宝石屑の山〟を目一杯捧げようって腹よ。塵も積もれば山となる──質より量」
距離に在る眼前で儀式が始まる!
絶望を呼び込む呪印詠唱が!
「ジャジャ・エム・アンク……ジャジャ・エム・アンク……ジャジャ・エム・アンク……ジャジャ・エム・アンク……ジャジャ・エム──」
「みすみすさせるかよぉぉぉーーーーっ!」
すぐさま飛び込むヘラクレス!
無論、死体が妨げる!
だが、躊躇は無い!
進路妨害と塞ぐなら無双の剛腕で排除するだけだ!
「どけぇぇぇ!」
横凪ぎに殴り弾く昆棒!
脆い!
華奢なだけにミイラ男よりも!
西瓜のような重さと軽さに、頭部は根本から折れ千切れた!
が──「な……に?」──活動は止まらない!
頭部損失を物ともせず乾燥死体が腕へと抱き絡む!
「冗談だろ! ミイラ男もデッドも頭部を破壊されりゃくたばるぜ!」
毒突く間にも次々と死者達が群がる!
「ジャジャ・エム・アンク……ジャジャ・エム・アンク……ジャジャ・エム・アンク……ジャジャ・エム・アンク──」
「おおぉぉぉ?」
圧倒的な人海の圧!
動きが呑み潰される!
不死身を得た肉体は、もはや無力な人間ではない!
邪なる作為が造り出した新種の〈怪物〉!
「散れぇぇぇ!」
黄金の一閃!
ペルセウスの援護であった!
斬激が拘束の屍腕を斬り棄てたのを見極めると、ヘラクレスは後退の跳躍に再び間合いを開く!
「大丈夫か! ヘラクレス!」
「ああ、すまねぇ。しかし、頭部破壊でも活動を止めねぇとは……どんな珍しい性質してやがるんだか」
「言うなれば〈ゾンビ〉の亜種よ」
「メディア?」
「ゾンビ……って、じゃあ〈デッド〉って事じゃねぇか!」
「いいえ、そもそも〈ゾンビ〉と〈デッド〉は似て異なる別物。死体の内に〈下級精霊〉を憑依させて使役させるブードゥー呪術の怪物が〈ゾンビ〉──本質は内在する〈精霊〉だからこそ、如何なる肉体破損でも活動を停止しない」魔女が顎で指し示した床には、斬り落とされた腕がヒクヒクと別生命のように足掻いていた。「捨て身のタフネスさだけなら〈デッド〉を上回る」
「では、それを古代エジプト呪術で再現した……と?」
「そんなトコ。おまけに、これだけの頭数……厄介よね」
「ヘッ! だがよ、所詮は雑魚の時間稼ぎだ! 性質さえ解れば、二度と虚は突かれねぇ! 〈死人返り〉如き〈神話英雄〉の敵じゃねえって思い知らせてやる!」
「そこじゃないわよ……厄介なのは」
醒めた眼差しが滑る先には、クライマックスが興じられようとしていた。
卓越した呪文の使い手であるからこそ解るのだ……僅か数分の余裕さえあれば事足りると。
「ジャジャ・エム・アンク! ジャジャ・エム・アンク! ジャジャ・エム・アーーーーンクッ!」
怒号にも似た完遂!
闇天を裂く霊破は落雷と化して遺跡を貫いた!
仮面呪術師を避雷針として!
深い呼気……。
「我こそは──〈ジャジャ・エム・アンク〉也」
そして、降臨は叶った…………。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
雷命の造娘
凰太郎
ホラー
闇暦二八年──。
〈娘〉は、独りだった……。
〈娘〉は、虚だった……。
そして、闇暦二九年──。
残酷なる〈命〉が、運命を刻み始める!
人間の業に汚れた罪深き己が宿命を!
人類が支配権を失い、魔界より顕現した〈怪物〉達が覇権を狙った戦乱を繰り広げる闇の新世紀〈闇暦〉──。
豪雷が産み落とした命は、はたして何を心に刻み生きるのか?
闇暦戦史、第二弾開幕!
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
獣吼の咎者
凰太郎
ホラー
「どうか、あの〈獣〉を殺して! あの恐ろしい〈獣〉を!」
シスター・ジュリザの懇願を請け、モンスタースレイヤー〝夜神冴子〟はニューヨークへと渡米した。
そこは、獣人達による群勢〈ユニヴァルグ〉によって統治された悪夢の地……。
牙爪が入り乱れる混戦の中、はたして銀弾が射抜くべき〈獣〉とは、どいつなのか?
そして、冴子が背負う〝咎〟は償えるのか?
闇暦戦史第三弾、開幕!
闇暦の月に獣が吼える!
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる