人喰いの船

穏人(シズヒト)

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7月18日

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 話は三年前に遡る。俗に言う、宇宙開拓時代ってヤツが現実に到来した。もっともこれは俗称であり、本当はもっと堅苦しくて仰々しい名前がついているが、世間は一昔前のアニメみたいなネーミングの方を採用した。もっとも現実に到来したのは、アニメの世界であるような夢のある話ではなかったけれど。
 他球では人口爆発と、それに伴う資源不足、食糧不足が進行しており、人類は資源の貪り過ぎで滅亡するとまで言われていた。その解決策として上がったのが宇宙開拓計画だった。宇宙に資源を求める話自体はかなり前からあったが、本格的に可能になったのが三年程前の話。ロケットを飛ばすのも、宇宙飛行士の資格を取るのも限られた人間の特権だったが、テクノロジーの進歩は、資源が枯渇しきる前にギリギリそれを成し遂げた。結果以前よりは格安で、以前よりはかなり容易に、しかも遥か遠方にまで船を飛ばせるようになり、一般人でも気楽に、手軽に宇宙に飛び立てるようになった。もちろん、物事は常にいい方向だけには進まないのだが、とにかく人は、簡単に宇宙に行けるようになったのだ。
 その結果「宇宙資源争奪戦争」と俗に呼ばれるものが起こった。大国は大国同士牽制し合い、小国や発展途上国、果てはテロ組織までが宇宙に進出するようになった。何故ならそこは、まだ誰も所有していない資源と宝の山だったから。大国だろうと小国だろうと金持ちだろうとテロリストだろうと、先に手に入れた者が所有権を主張できる。だから、みんな汗水や涎や色々な汁を垂れ流して、我先に資源星を手に入れようと躍起になった。大国や大企業はエネルギーやレアメタルをいち早く獲得・独占するため。テロ組織や反社会的組織は軍事兵器や政治的駆け引きのカードとして利用するため。それぞれの思惑と欲望を乗せ、数え切れない程の探索船が宇宙へと打ち上げられた。俺達が乗ったのも、そんな船のひとつだった。そこらへんの一般人でも宇宙に飛び立てるようにはなったけど、一流の船は相変わらず、一流だけを選び続けた。つまり俺達が乗ったのは、素人や素性の知れない人間でも簡単に乗れる船だった。
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