人喰いの船

穏人(シズヒト)

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5月26日

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 今日、ようやくこの船を乗っ取ることに成功した。やった。上手くやってやった。俺は生き残ったんだ。五人いた仲間の内、二人も死んでしまったことは勿論残念なことだけど、でも、仕方がないことだ。あいつらは運が悪かったんだ。生き延びるために必要なあと一歩が足りなかったんだ。とりあえず今日は、俺と二人の仲間だけでも生き残ることができたと感謝しよう。俺達は幸運だったんだ。それだけでもういいじゃないか。
 船内は酷い有り様だ。当然だ。二十人いた船員の、内六人を除いた十四人を殺さねばならなかったんだから。俺達の仲間も二人死んだから、十六人だ。十六もの人間が死んで床に転がっている。銃弾が船内を飛び回ったし、物もあちこち倒れている。推進剤と血の臭いがこの部屋にも充満している。早く片付けてしまいたいが、今日はもう酷く疲れた。生き残った二人についても同じことを言っていた。なので片付けは明日に回して、今日はもう寝ることにした。明日目が覚めて、何事も起こっておらず、「ああなんだ夢だったのか」と思うことができればいいのにと、叶わないことを願いながら今日は眠ることにする。

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