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イベント終了後

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「「「「「「カンパーイ!!」」」」」」

 月曜日。

 ここはカンパニーホーム。イベントは無事昨日終了した。そして今は打ち上げをしているところだ。

 昨日ドラゴンを倒した僕らは「ダブルナイツ」と共に他のドラゴン討伐に向かった。僕は正直行きたくなかった。
 何故なら結果が見えているからだ。

 僕らが「森林の島」に向かいうと多くのプレイヤーがまだ生き残っていた。5千人はいただろう。
 他のどの島も「真冬の島」より多くのプレイヤーが生き残っていた。

 だがドラゴンのHPが最後の一本になるとドラゴンから赤い魔力が放出し始め、皆苦戦していたようだ。赤い魔力を放出しているモンスターは、それまでの1.3、4倍は強くなる。

 僕の体感では、だが。

 ドラゴンはそれまで以上に暴れまわり多くのプレイヤーを蹂躙していく。

 そしてそのままこちらにも向かってくる。

 僕は雷魔法が得意だ。というか最近それしか鍛えてない。

 なのでドラゴンに接近されると逃げるために「雷神衣威」を使わざる負えなくなる。そしてドラゴンは決まってこう言う。

「キサマ、我らを封印した者と同じ魔法を使うか!?忌々しい魔法よ。今度こそ我が貴様らを殺してやる!!」

 それさっき聞いたって、と思いながら逃げる。

 まぁ今回は多くのプレイヤーいるため、僕がひきつけている間に他のプレイヤー倒すという形で何とかなった。

 多くのプレイヤーの前で無様に逃げ回った僕は羞恥心で死にそうだった。

 結局僕らは3体のドラゴンを相手にしたところで全てのドラゴン退治は終了。

 その後1時間後から再びサバイバルに戻ると聞いて僕らはイベントをやめダイブアウトした。

 物好きたちはドラゴン戦の後、再びPK合戦に興じていたのだろう。

「しかし変なイベントだったよな。皆で戦わせて、今度は協力させて。またそのあと戦わせて。何がしたかったんだろ?」
「でもそれを言ったら普段も変わらないんじゃない?」
「確かにねー。昨日の敵は今日の味方ってね」
「昨日の友は今日の敵ともいうわ」
「ん。人生そんなもん」
「雑なまとめかただなぁ。でも爺さんはそれを伝えたくてこのイベントを開いたって事?」
「その可能性はあるんじゃない?わかりやすいメッセージほど理解しやすいものはないし」
「でも3体目のドラゴンと戦っていた時は驚いたよねー」

 3体目のドラゴンと戦った「ホラーの島」。そこでは暴動のようなものが起きていた。

 誰がラストアタックを決めるのか、連携はどうなっているのか。

 皆我先にと攻撃を仕掛けて、盾職が攻撃を防げないと文句を言い。

 リーダー的存在がいなかったのが問題なんだろうが。

「かなりこのイベントのやり方に文句を言ってたもんなぁ」
「そんなこと言ったら普段のレイド戦なんか絶対できないよね」
「やり方そのものに難癖付けてもしょうがないのに」
「悲観主義は風に文句を言い、楽観主義者は風が変わるのを待つ。現実主義者は帆を動かす。今回は帆を動かす者がいなかったのと、皆他人任せで自己中心的だったのがいけなかったわね。チームワークも最悪だったわ」
「ん。人間の最大の罪は不機嫌になる事。彼らは自分の感情ばかり優先して全体が見えてなかった」

「まぁあれだけの人数がいたんだ。それをまとめる役はそれなりの実力とカリスマ性がなきゃできないのだろう」
「そんなことないわ。ひと時なら誰だってできるものよ?」
「そうね。要は自信の問題よ。あそこにいた人たちはなんだかんだ皆をまとめる自信がなかったんだわ」
「それで他人のせいばかりにして。めんどくさい人たちだねー」
「ん。指導者は無知だけど自信ばかりある者と、知識を身に着け自信を持った2パターンがいる。細かいことは置いといてどちらにしろ自信を持ってない人には人はついてこない」

 確かに。

 自信を持つということはとても大切なことだ。人生は自信をもって、勇気をもって挑むか、人生を棒に振るかの二択だ。意味のない自信のなさは何も生まないと思う。

「そう言えばレイに関しては残念だったねー」
「そうね。できることなら「カンパニー」に入ってほしかったけど」
「ん。あの盾捌きは見事だった」
「私も何度か助けられたわ」

 赤髪の大盾使いのレイ。

 あの後結局最後まで一緒に行動しドラゴン退治をした。僕らのパーティーには盾職がいないのと、彼女の技術を見込んでエリザベスが勧誘したのだ。しかし、あっさりと断られてしまった。

 ソロでやりたいから、と。

「何か訳ありな感じもしたけどな。」
「そうね。別に一人が好きって感じでもなさそうだしね」
「他にも勧誘されているとか?」
「ん。他も断っているみたい」
「人嫌い、ってわけでもなさそうだしねー」

 エリザベスが勧誘した際、一度も目を合わせてくれなかった。何か言いたそうだったが周りに多くのプレイヤーがいたためそれが出来なかった。

「でも私はあきらめたくないわね。レイは「カンパニー」に必要な存在だと思うわ」
「エリザベスがそこまで言うのは珍しいね」
「ん。確かに」
「他人に興味持つこと自体珍しいけどね」
「あはは!本当だね!!」
「近いうちにまた勧誘に行ってもいいかしら?」
「構わないよ。こういうのは早いうちがいいんじゃないか?」
「そうね。明日にでもまた探してみましょう?」
「ん。それでだめだったら諦めるしかない」
「そうだね。あんまりしつこくして嫌われてもね」

 確かに僕も彼女の技術は認めている。

 一度PVPをした時に、今までで一位二位を争う盾使いなんじゃないかと思った。

 「鋼鉄騎士団」のドンや「ダブルナイツ」のオリバーといい勝負だと思う。

「話は戻るけど爺さんの今回のイベントの意味って他の人たちは考えるのかな?」
「そうね。考えてる人なんて人にぎりなんじゃないかしら?」
「アイリスもそう思う!!「頭を空っぽにして楽しむ」ってことができればいいんだよ!!ゲームなんだし!!」
「ん。人生楽しんだ者勝ち」
「そうね。色々話あったけど、結局はそう言うことなのかもしれないわね。爺様の言う「楽しく必死に生きる」ってことがあのサバイバルの中で感じられればいいのかもしれないわね。エリーゼの言う通り結局は「人生楽しんだ者」が一番幸せよね」

 人生楽しんだ者勝ち。

 色々なしがらみから解放されたこの世界で、確かにそう感じたものが結果的に一番いい人生を遅れているのかもしれない。

「じゃあそろそろ決めちゃいましょうか?」
「「「さんせー!!」」」

 僕らはメニュー画面を開く。
ーーーーーーーーーーー

こんにちは皆さま。

イベントお疲れさまでした。

「サバイバル島」はお楽しみいただけたでしょうか?

今回のサバイバルでは、皆様に「サバイバルコイン」を集めていただきました。

そのコインを使い交換できるアイテムを紹介する一覧表は、後程皆様にお送りいたします。

さて、今回のサバイバルで「サバイバルドラゴン」と戦われた方は多いかと思います。

それにつきましていくつかお話があります。

まずサバイバルドラゴン討伐に関わった皆様には等しくドラゴンの素材を一つだけアイテムボックスに送ります。(素材は骨、牙、鱗、肉のいずれか一つです。)

ドラゴン討伐にかかわった各プレイヤーの働きに対してコイン1枚~50枚までアイテムボックスに送ります。

ラストアタック、MVPに選ばれたものはそれぞれ特別なアイテムがアイテムボックスに送られます。

ドラゴンに関しましては言い上になります。

今回の「サバイバル島」特殊モンスター討伐率は78%でした。


次に、次のイベントのお知らせを致します。

2週間後、7月1,2日(土曜日日曜日)にクラン対抗戦を行います。

イベントランキング上位者には豪華景品が送られます。

次にその2週間後、7月15,16日に個人戦、を行います。

さらに上記のイベントが行われる4日間、生産、販売を行ったプレイヤーの総売り上げと個数が高かったプレイヤー上位50名にも景品を用意しています。

販売ジャンルは自由です。

50位以下のプレイヤーにも参加賞が贈られます。

皆さんの参加をお待ちしています。

以上になります。

それでは皆様。

良い人生を。

ーーーーーーーーーーーーーー

・サバイバルコイン交換アイテム

1枚
 たわし

5枚
 有料ネタアイテム引換券1枚

10枚
 金塊1個

20枚
 現在本人が討伐したモンスターの素材1つ

30枚
 仔馬

40枚
 全プレイヤーで討伐率10%を超えたモンスターの素材1つ

50枚
 クリスタルの塊一つ

80枚
 ミスリルの塊1つ

100枚
 全プレイヤーで討伐率3%を超えたモンスターの素材一つ(現在ドラゴンのみ)


ウィル様のコイン総枚数内訳

メインコイン(他プレイヤーの初めに所持していたコイン。討伐すると必ず手に入る。)
 102枚(他プレイヤーのメインコインの為一枚につき3枚分の価値。結果306枚分の価値)
通常コイン(他プレイヤーがモンスターを討伐したコイン。PKに勝てば3枚奪える)
 42枚

モンスター討伐のコイン
 104枚(サバイバルオラウータン1枚、イカれたイカ10枚、サバイバルリザードマン20枚、アンデッド系3枚、ケロケロケロべロス20枚、サバイバルドラゴン3体50枚)


合計462枚

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「なんかすごい数になったな」
「そだね。あのPKの嵐があったからね」
「確かに。ある意味やって良かったわね」
「ん。でももうしたくない」
「全くよ。あれはもう勘弁だわ」


 結局僕らはドラゴンの素材を多めに交換し残ったものをミスリルの塊などに交換することにした。

 全てMr.達に預け、装備を作ってもらうこととなった。

 できるのが楽しみだ。
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