上 下
144 / 215

サバイバル島17

しおりを挟む
「「アイスアロー」!!、「「インパクトショット」!!ん。「ライトアロー」。「豪炎矢」!!」

 皆は魔法でケロべロスに牽制し気を引く。

 その瞬間僕と卍さんはケロべロスの頭上に飛んでいった鏡から飛び出る。

 フクチョーが持っていたものは先ほどの鏡の間にあった鏡だ。何故それを持ってきていたかというと僕を倒すためらしい。なんて危険な計画をしていたんだアイツは。

 先ほどの部屋で、鏡はそれぞれ2枚が対になっていて、片方に入れば片方から出てくる。それは先ほどの部屋で検証済みだ。

 ケロべロスはみんなの魔法を先ほどと同じように尻尾で叩き落す。その為まだこちらには気づいていない。
これなら行ける!!

「「はあぁぁぁあ!!「「切断剣」」!!」」

 シュ。

 そんな物が綺麗に切れる鋭い音を立て、僕たちの剣はケロべロスの尻尾を左右から切り裂いていく。

「「「ワン!?」」」

 ドシン。

 犬?の尻尾とは思えないほど大きな音を立て、尻尾は地面に落ち、光となって消えていく。

 僕と卍さんはそのまま走り、動揺して動けないケロべロスの足を斬っていく。

 流石に二人同時に左右から斬らないと切り落とすことはできないがそれでもかなりのダメージを与えることが出来ただろう。

 僕と卍さんがケロべロスの足の下を剣を振るいながら走り、ケロべロスの体の下から出た。その瞬間ケロべロスの真ん中の顔が大きな音を立て、地面に切り落とされる。

 シュタッっとその落ちた顔の正面にアイリスが着地する。

 僕らが尻尾を斬って気を引いている間に近づき切り落としたようだ。

 全く頼りになる妹だ。

「お兄ちゃん!!見て見て!!切り落としたよ!!褒めて!!」

 その体に似つかわしくない大きな剣を片手でぶんぶん振りながらこちらに走ってくる。

「馬鹿やろ!!まだ戦闘は終わってないだろ!!でもよくやった!!」
「えへへ~~」

 アイリスは褒められたことに満足したのかこちらに走ってくるのをやめる。

「ウィル!!お姉ちゃんも褒めて!!頑張ったわ!!」
「ん。私も」
「私も褒めてほしいわ!」
「あ、あのウィルさん。できれば私も」
「じゃあうちも褒めてほしいわぁ」
「皆さん!!この戦法の発案者は私です!!私を誉めてください!!抱きしめてキスしてください!!」

「まだ戦闘中だ!馬鹿なのみんな!?」

 ケロべロスはまだ生きてるぞ?何みんなしてとち狂ってんだ?

「「ウ”~~~。」」

 ケロケロケロべロスからケロケロべロスになったケロべロスはかなり怒っている。HPもあと1本だ。

 ケロべロス赤い魔力を噴き出し始める。

 だがその隙に僕らはさらに斬りかかる。

 飛んできた魔法を僕がひきつけ、アイリスと卍さんが斬りつける。

 皆の魔法でケロべロスの顔を攻撃し、ついにただのケロべロスになる。

「「「ラストッッ!!」」」

 最後に残った真ん中の顔を僕が正面から、卍さんとアイリスが左右から切り落とす。

 ドシィィィンと音を立て、最後の顔が地面に転がり落ちる。

 その瞬間ケロべロスの体は光となって消えていく。

ーーーーーーーーーーーーー
特殊ヒィールドボスを撃破しました。

プレイヤーの皆様にはコイン20枚ずつ贈呈されます。

お疲れさまでした。

ーーーーーーーーーーーーー

「「「「「「「はぁ~。勝った~」」」」」」」

 勝った。

 勝ったことには勝ったが流石に疲れた。

 常に「雷神衣威」に「俊足」を使っていた僕は足がもう限界だった。

 とりあえずお互いに労いエリーゼに回復してもらう。

「ふふふ。私の戦略勝ちですね!!頭脳明晰のこの私の!容姿鍛錬なこの私の!!」
「僕に使おうとしてたんじゃないのか?危ないこと考えやがって」
「いいじゃないですか!!じゃないと勝てないと思ったんですよ!!鏡を配置して背後から消える魔球を放とうとしたんです!!それと容姿鍛錬のところをちゃんと突っ込んでください!!じゃないと矢をお尻に突っ込みますよ!?」
「なんだその等価交換は。お尻は止めなさい。というか戦おうとしていたのか?」
「戦おうとしていました。決死の覚悟で!打ち違える覚悟で!!」
「僕は親の仇か」
「親の仇ではなく、恋敵です!LOVE敵です!愛の力を思い知ってください!!」
「戦国か。それだけで殺されそうになったのか僕は」
「それだけ!?あなた恋をそれだけと言いました!?こんな歌を知らないんですか!?「All need is love」です!!愛こそすべてなのです!!」
「それはそんな物騒な歌じゃない。勝手に名曲の解釈を変えるな」

「仲いいわね二人とも」
「ほんとだよ。お兄ちゃんいつの間にそんなに仲良くなったの?」
「ん。我嫉妬なう」
「これは意外なところに伏兵がいたわね」

「「そんなんじゃない!」」

「息ぴったりね。羨ましいです」
「ほんま初々しいわぁ」

 僕とフクチョーが言い争っているのを、皆は仲がいいと勘違いしている。ちゃんと話の内容聞いてね。
 僕殺される計画だったんだよ?

「しかし4人とも無事でよかったよ」
「ふふ。心配してくれてありがとう。お姉ちゃん嬉しいわ」
「アイリスもお兄ちゃんの事心配してたよ!!」
「ん。泣いてなかった?」
「寂しくて泣いてたなら今晩一緒に寝てあげるわ」

 僕は子供か。泣いてなんか、いないよ?

「この男わんわん泣いていましたよ!!ケロべロスより大きな声でわんわん!!」
「嘘をつくな。何ちょっと「うまいこと言ったぜ」みたいな顔してんだ」
「ふふ。決まりましたね!!ちゃんと証拠VTRも残っているんです!」
「盗撮していたのか!?何勝手にとってるんだ。消せ!」
「嫌です。これを後で掲示板に乗せて、あなたの知名度を地の果てまで落とすのです!奈落の底まで落とすのです!!」
「どこまで落とす気だ。もう底が見えないじゃないか」
「これぞまさに「名声地に落ちる」というやつですね!!」
「全然うまくないぞそれ」
「金輪奈落に落ちましたね」
「落ちすぎだろ。それもう地獄にまで落ちてんじゃないか。死んでるじゃないか。どれだけ罪深いんだ僕は」
「罪の大きさで言うと、刑法11条1項です」
「悪い。法律はあまり詳しくないんだ。つまりどうなるんだ僕は?」
「死刑です」
「結局死刑かい。どれだけ僕を殺したいんだ。「All need is love」はどこ行った?愛こそすべてじゃなかったのか?」
「愛ゆえの死刑です。来世ではいい人生を歩めるようにと」
「愛が重すぎるわ」

 この女は危険だ、ブラックジョークが過ぎるぞ。

「お兄ちゃん。来世でも一緒になろうね」
「ウィル。また来世でもお姉ちゃんになっていい?」
「ん。私もすぐにそっちに行くから。」
「来世でもちゃんとあなたに恋して一緒になりたいわ」

「勝手に殺すんな。例え死んだとしても後を追うんじゃない。絶対にだぞ?」

「こんな時まで家族の心配をするなんて」
「ウィルの家族への愛は本物やなぁ」

 というか何故誰も僕の死刑を否定しない。頼むから一緒になるなら、今世で一緒にならせてくれ。

 そんな事を離しながらみんなでゆっくり外に出る。

 時刻は18時。

 攻略に結構かかってしまった。

「アイテムもほとんど使い果たしたし、今日はここまでかな?」
「そうだねー。結構疲れたし」
「ほんと・・・。色々あった一日だったわ」
「ん。今までで一番大変な一日だった」
「ほんとね。さすがの私ももう動きたくないわ」

 お城の前のお墓で僕らはダイブアウトすることにする。

 残りの攻略は明日以降だな。

「今日はありがとうございました。皆さんとご一緒できて楽しかったです」
「ほんま楽しかったわ。それに改めて仲間を助けてくれてありがとうなぁ」
「私も楽しかったです。ウィルさん以外はいつでも「鏡花水月」にきてもいいですからね。というか来てください」

 僕らはそこで「鏡花水月」の皆と別れ一度フェラールに戻りアイテムの補充。

 その後ダイブアウトしたのだった。

 因みに合わせ鏡はお城を出た瞬間何故か消えてしまった。

 お城の外には持ち出せないものだったらしい。

ーーーーーーーーーーーー
・本日の成果

メインコイン(他プレイヤーの初めに所持していたコイン。討伐すると必ず手に入る。)
 32枚(他プレイヤーのメインコインの為一枚につき3枚分の価値。結果96枚分の価値)
通常コイン(他プレイヤーがモンスターを討伐したコイン。PKに勝てば3枚奪える)
 42枚

モンスター討伐のコイン
 54枚(サバイバルオラウータン1枚、イカれたイカ10枚、サバイバルリザードマン20枚、アンデッド系3枚、ケロケロケロべロス20枚。)

(尚、メインコインはウィル達5人の合計数です。)
ーーーーーーーーーーーーー

アイテムボックス(補充後、ウィル)

ミドルポーション×10
ミドルマナポーション×20
調味料セット
BBQセット(Mr.酔っぱらって忘れて帰った為持って帰ってきた。)
プチボム×5
スパイダーネット×6(今はこれ以上作れないとのこと。)

手に入れた素材(現地で手に入れた素材はアイテム制限に数えられない。)

オラウータン素材一式
イカれたイカ素材一式
イカれたイカの赤い魔石(MVP報酬)
リザードマン素材一式
リザードマンの赤い魔石
リザードマンの牙でできた双剣
アンデッド素材一式
ケロべロス素材一式
ケロケロケロって泣く杖ネタアイテム
ケロべロスの赤い魔石
ケロべロスの毛皮でできたブーツ


PKによって獲得したアイテム
(PKをすると相手のアイテムをランダムで3つ奪える。イベントだけでなく通常時も同じ。)

ポーション類×12

ケンちゃんの赤いTバック
よっちゃんの汗臭いTシャツ
サトシの汚れた籠手
ジョニータップの臭い靴下
その他汚衣服類×21点(すぐに全て捨てた。)

社畜の汗と涙の剣
社会に疲れた槍
重労働をも耐え抜いた盾
などなど装備の数々(可愛そうなので後日返しました)

ーーーーーーーーーー

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

勇者に恋人寝取られ、悪評付きでパーティーを追放された俺、燃えた実家の道具屋を世界一にして勇者共を見下す

大小判
ファンタジー
平民同然の男爵家嫡子にして魔道具職人のローランは、旅に不慣れな勇者と四人の聖女を支えるべく勇者パーティーに加入するが、いけ好かない勇者アレンに義妹である治癒の聖女は心を奪われ、恋人であり、魔術の聖女である幼馴染を寝取られてしまう。 その上、何の非もなくパーティーに貢献していたローランを追放するために、勇者たちによって役立たずで勇者の恋人を寝取る最低男の悪評を世間に流されてしまった。 地元以外の冒険者ギルドからの信頼を失い、怒りと失望、悲しみで頭の整理が追い付かず、抜け殻状態で帰郷した彼に更なる追い打ちとして、将来継ぐはずだった実家の道具屋が、爵位証明書と両親もろとも炎上。 失意のどん底に立たされたローランだったが、 両親の葬式の日に義妹と幼馴染が王都で呑気に勇者との結婚披露宴パレードなるものを開催していたと知って怒りが爆発。 「勇者パーティ―全員、俺に泣いて土下座するくらい成り上がってやる!!」 そんな決意を固めてから一年ちょっと。成人を迎えた日に希少な鉱物や植物が無限に湧き出る不思議な土地の権利書と、現在の魔道具製造技術を根底から覆す神秘の合成釜が父の遺産としてローランに継承されることとなる。 この二つを使って世界一の道具屋になってやると意気込むローラン。しかし、彼の自分自身も自覚していなかった能力と父の遺産は世界各地で目を付けられ、勇者に大国、魔王に女神と、ローランを引き込んだり排除したりする動きに巻き込まれる羽目に これは世界一の道具屋を目指す青年が、爽快な生産チートで主に勇者とか聖女とかを嘲笑いながら邪魔する者を薙ぎ払い、栄光を掴む痛快な物語。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

処理中です...