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実践訓練

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 木曜日。

「良いか?重力魔法も雷魔法も古代魔法故協力じゃがその分扱いが難しい。すぐに実践で役にたたない。じゃから焦るな。人生焦っていいことなど一つもない」

 確かにな。
 さすがに老人が言うと説得力あるな。

 頭の上にたんこぶさえなければ。

 強く殴りすぎたかな?

「じゃから、これからは実践訓練に入る。まずはお主ら同士で戦ってみよ。お互いの弱点を知るのもいい訓練じゃて」

 お互いで…か。家族で戦うのはさすがに気が引けるな。

「よし!!お兄ちゃん!!勝負だ!!」
「待って。お姉ちゃんが先よ!」
「ん。私もやるの?」
「私もウィルとやってみたいわ」

 え? 
 なぜみんなやる気なの?「家族では戦えないよ」みたいな感動のシーンはないの?僕のしおらしさ返して?

「エリーゼはやらんでよい。さすがに勝てないじゃろう。その代わりみんなの弱点などを探すんじゃ」
「ん。任せて」

 ということで始まりました家族対抗戦。

 第一試合は、武器が剣同士の僕VSアイリス。

「お兄ちゃん!!手加減はなしだよ!!」
「はいはい。お兄ちゃん頑張ります」

 勝負はどちらかのHPがレッドラインになるまで。ペナルティはなし。

「READY」

 の文字が出る。

 アイリスは大剣だ。まともに受けたら剣が持たない。だがスピードと武器の質はこちらが上。

 スピードVSパワー。

 剣士にとって永遠のテーマだ。

「GO!!」

 僕は同時にアイリスに駆け寄る。二人の距離は30m。
 アイリスは立ち止まり受けて立つようだ。

 僕は覚えたての雷魔法を剣にエンチャント。そのまま近寄り10m辺りでかまいたちを使う。

「はぁ!!」

 アイリスは魔力剣で僕のかまいたちをたたき切った。

 マジかよ、さすがに予想してなかった。

 が、雷魔法の影響でアイリスが一瞬しびれ、次の行動が遅れる。僕は俊足を使いアイリスの左側面に入り込む。
 と、アイリスの「空間把握」の範囲に入った感覚がする。

 だがここで乱れ切りで一気に決めてやる。

「はぁぁぁ!!」

 アイリスの雄たけびで今度は僕の体が一瞬固まる。こいつ、俊足の僕を見ないで「空間把握」で、僕の位置に的確に雄たけびしやがった。

 これが廃ゲーマーか。スキルを使い慣れてやがる。

 アイリスはすかさず一刀両断をしてくる。

 ここで受けたら死ぬな。

 硬直が剣が当たるより先に解ける。が、剣は額のすぐ先だ。

 僕はさがらず、受け止めず、しゃがみながら前に進みアイリスの足と剣の隙間に入り込む。そのまま足を蹴り体制を崩させる。

「うわっっ!!」

 アイリスは体制を崩す。

 が、僕もしゃがんでいるので剣は振るえない。

 僕はアイリスの腹部目掛け魔力脚で蹴る。

 アイリスも体制を崩したまま片足の膝に魔力を集め、魔力脚を使う。

 お互いの足がぶつかり、お互い吹き飛ぶ。5mほどの距離を離し二人は着地する。

 ダメージは五分五分。

 二人の視線は交わり微笑みあう。

 これ楽しいかもしれないな。

「行くよ!お兄ちゃん!!」
「あぁ、来い。お兄ちゃんが受け止めてやる」

 アイリスは捨て身を使い攻撃力を上げ突っ込んでくる。そのまま早斬りと乱れ切りをしてくる。

「うぉっ。」

 僕の体目掛け大剣が振り回され、僕は剣を斜めに当てながら受け流す。

「お兄ちゃん!!受け止めてくれるんじゃないの!?」
「ごめん。これは無理」

 確実に真っ二つになってしまう。だか捨て身を使ったアイリスの攻撃は全て受け流せず、だんだんダメージを受けてしまう。

 僕は威圧を使う。するとアイリスの剣が一瞬遅れる。

 すかさず僕も捨て身を使い、乱れ切りと疾風切りを使って反撃する。

「わっわっわっ」

 アイリスは剣を盾代わりにするが僕のスピードには追い付けない。少しづつダメージを与えていく。

 お互い残りHPは4割ほど。

(お兄ちゃん!!大好き!!)

 突然頭の中にアイリス声が響き僕の動きが一瞬止まってしまう。念話スキルだ。

 こんな使い方するなんて。

「隙ありだよ!!お兄ちゃん!!」

 アイリスは早斬りで兜割りをしてくる。

「なんてね」
「えっ!?」

 僕はアイリスが、とどめだと思い大振りになったところで素早く一刀両断で斬る。

「WIN」

 僕の頭上に文字が出る。

「ああああ!!お兄ちゃん!!ずるい!!」
「はっはっは!!妹の考えることなんかお兄ちゃんお見通しさ!!」
「ぶ~~~」

 あっぶねぇ~~。何とかお兄ちゃんの威厳を保てた。

 あそこでアイリスが油断して大振りにならなかったら負けていた。お兄ちゃんピンチだったんだよ?ほんとはね。

 だがそんな素振りは見せない。堂々としている。お兄ちゃんの威厳の為に。

 内心は汗だくだが。

「ふひゃひゃひゃ!!実にいい試合だった!なぁ解説のエリーゼ殿」
「ん。パワーとスピード。興味深いテーマの試合だった」

 二人はいつの間にかテーブルとイスを持ち出し、解説者気取っている。

 なんか腹立つなあの二人。

「二人ともお疲れ様、いい試合だったわ」
「ほんとに。それでこそ「カンパニー」の点取り屋の二人だわ」

 特に二人の反省点もなく、アランの「精進せい」の一言で終わった。なんだそりゃ?

 だがやってみてわかったこともある。

 アイリスの一撃はやはりとても重い。

 だがその分隙がある。当たり前だが。

 パーティメンバとしてそのフォローをするのが 今後の僕の課題となるだろう。


 次は、僕VSクリスとなった。

 ぼくに休みはないようだ。

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