上 下
18 / 215

初戦闘

しおりを挟む
 目を開くと初めの広場に立っていた。

「お姉ちゃん、来たよ」

 エリーゼとエリザベスは先に来ていた。

「お待たせ、じゃあいこうか」
「待って、先にポータルに登録しちゃおうよ」

 転移ポータルは触れると登録できる。

ーーーーーーーー
「始りの街フェラール」を転移ポータルに登録されました。

現在他の場所の登録が確認できないため、転移できません。
ーーーーーーーー

 無事登録し、歩き出す。目的地は東門を抜けた始まりの草原だ。

 僕らは情報が多すぎて頭がいっぱいになってしまったため、気分転換にモンスターを倒すことに決めていた。まぁ気分転換にモンスターを倒すのもどうかと思うが……。

「おう。流れ人か?町を出るときは身分証を提示してくれ」
「ギルドカードでいいですか?」
「ああ、大丈夫だ。夜になったら門が締まり街に入れなくなる。日が沈み始めたら無理せず戻れよ。夜になるとモンスターは強くなる」

 僕らは忠告に感謝し草原に向かって歩き出す。そこにはちらほらと様々な種族の人々が戦っていた。恐らくプレイヤーだろう。

「どうする?狩場かぶりたくないからもう少し奥に行く?」
「そうしましょう。あと今のうちにパーティ組みましょう」

 パーティは8人まで組めモンスターを倒した際、皆経験値が入る。

 そしてパーティを組むと皆のHPゲージがでて表示される。慣れないと視野の隅にみんなの名前とHPが表示された。なんとも不思議な感覚だ。他の人の邪魔をしないように奥に進むと森にたどり着く。

「どうしよっか。このまま森に入っちちゃう?」
「さんせーい!!称号持ちのこのアイリス様がみんなを守ってあげるよ!!」

 えっへんと胸を張るアイリス。何度も言うがうちの妹は天使だ。

「あっ。そういえば、僕も称号もらってたんだった」

「「「「ええぇええーー!?」」」」

「お兄ちゃんいつもらったの」
「ん。気になる」
「まぁ、ウィルのことだからきっと忘れてたんでしょ?」
「ありえるわね」
「ごめんごめん。実は……」

 僕はフィリアとのことを話した。

「そう、そんなことをしてたのね」
「ん。ウィルらしい」
「おにーちゃんずるい!!アイリスもゲームしてみたかった」

 君は別のゲームをしていたでしょ?

「まぁ言い忘れてたのもあったけど、まさか称号をもらうとは思わなかったし」
「まぁそうでしょうね。ウィルだから手に入れられた称号ね」

 称号持ちが二人となったため森に入ることになった。

 僕とアイリスが前衛、エリザベスとクリスが中衛、エリーゼが後衛だ。

「ッ。危ない!!」

 突然視界の端に黒い影が飛び込んできてアイリスを押し倒すように倒れる。タタンと音をたて、きれいにオオカミが僕らの頭上を飛び越え着地する。

 僕は無意識に目に魔力を集め「鑑定」とつぶやく

 フォレストウルフ LV6

 オオカミの頭の上に字が浮かび思わず「おおっ」とつぶやく。

「お兄ちゃんありがと!」
「兄として当然だよ」

 僕はフォレストウルフから視線を離さず立ち上がる。

 ヒュッっと鋭い音が耳元をかすめ別の場所に飛んでいく。

 「外した!」

 姉さんの言葉の後、その視線の先にもう一匹のフォレストウルフがいた。

どうやら時間差で攻撃してくるつもりだったようだ。姉さんが気が付かなかったら危なかった。

「二手に!!」

 アイリスが叫び始めに現れたウルフのほうに剣を構え向かっていく。度胸あるな、と思いながら僕はもう一方のウルフに向かって駆け出す。「身体強化」をし、剣を大げさに薙ぎ払う。オオカミは大きく横に飛ぶ。

「ウォーターボール!」

 ウルフは着地する前に飛んできた水の塊にぶつかり転げ落ちる。HPゲージは2割ほど減っていた。僕はすかさず切りかかり首を落とすように振り下ろす。剣は当たりウルフの頭上にクリティカルの文字が浮かびウルフは青い霧になり消えていった。

「えっっ?」

 あっけなく終わる戦闘に思わず変な声が出る。

「そこっっ」」

 声のほうを見ると矢を飛びかわすウルフをアイリスが大剣で真っ二つにしていた。

 可愛そうに。あれは痛い。

ーーーーーーー
フォレストウルフ×2を倒しました。
経験値 800を会得
フォレストウルフの肉を手に入れた

レベルアップ

LV3になりました。
【身体強化LV2】【観察LV2】

【見習い戦士LV2になりました】

SP4を手に入れた。
ーーーーーーーー

 色々出てきた。どっから手を付けようか。

「お疲れー!!初勝利だね!!お姉ちゃんナイスアシスト!!」

 アイリスとクリスがハイタッチする。

「ウィルもお疲れ。タイミングはあれでよかったかしら?」
「エリザベス、おつかれ。タイミングばっちりだよ。よくわかったね?」
「ふふっ。保育園からの付き合いなのよ?ウィルの考えなんて手に取るようにわかるわ」

 それなんてチート魔法ですか?

 僕らはSPを割り振りアイテムの確認をした。

・フォレストウルフの皮×2、肉×2

 一匹に対して一つずつみたいだ。体の大きさも関係しているのかもしれない。

「ん?」

 アイリスの奥の草が他より多く魔力を発しているな。近づいてみると【薬草】と表示された。

「なになに?どうしたの?」
「あっ!やくそうだー!よく見つけたね!」

「みんなで薬草を採取しながら進みましょう」
「そうだね!称号持ちの私たちにかなう敵はこの森にはいないとみた!!」
「そうね。まだわからないけどもう少し進んでも大丈夫なじゃないかしら」
「ん。私何もしてない」

 一人何もできなかったエリーゼを慰めながら進む。


ーーフォレストウルフが現れた。
ーーフォレストウルフをたおした

ーーフォレストウルフ×3が現れた
ーーフォレストウルフ×3を倒した

ーー薬草を8手に入れた
ーー解毒草を×2手に入れた

ーーミニベアーが現れた
ーーフォレストキャットが現れた

ーーエリーゼはフォレストキャット魅了された
ーーエリザベスはエリーゼに魅了された
ーークリスは混乱してる
ーーウィルが苦戦している
ーーアイリスは3人に攻撃した
ーー三人は正常に戻った

ーーミニベアーを倒した
ーーフォレストキャットを倒した

ーーアイリスの説教が始まった
ーーウィルはクリスのクマが好きなことにおどろいた

ーーミニベアーがあらわれ…………


「はぁお疲れ大分レベル上がったね!!」
「そうね、初日にしては十分なんじゃないかしら」
「確かにね。そろそろいい時間だし街に戻らない?」
「何もできなかった……」

何度も猫に魅了されていたエリーゼは不満そうだ。

とりあえずモンスターに「ニャーって言ってごらん?」って言いながら近づくのやめてほしい……。
心臓に悪いから……。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

鑑定能力で恩を返す

KBT
ファンタジー
 どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。 彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。 そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。  この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。  帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。  そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。  そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

処理中です...