25 / 31
どうやら私のせいだったらしい
しおりを挟む
「そういや、あの壁のキラキラ、精霊たちが結晶化したモノって言ってたよね? じゃぁ、アレ使えば私もその『精霊魔法』とやらが使えるの?」
『使えるだろうな』
おっ、盛り上がって参りましたよ!
「そもそも、『精霊魔法』って何なのさ?」
『うーむ…実際のところ…説明が難しいが…そなたら『ヒト族』が使う魔法と見た目に変わらんモノもあるし、その精霊の特性にちなんだモノの場合もある』
実のところ、精霊氏たちは『魔素を貯める器官』を持たないため、いわゆる『体内魔力』を使った『魔法』がどういう仕組みなのかわからないそうだ。
『元々の『魔法』と言うのは、『魔素』を『特定の呪文』で『望む現象』に変化させるモノなのだ。火が欲しいのなら、火を望む呪いを唱えることで一定量の魔素を火に変える、というカタチだな。これは魔素の濃度が関係してくるから、同じ呪文でも魔素が濃いこの森で実行するのと、魔素が薄い街で実行するのとで強弱が出る。その代わり、唱える者による強弱はほぼ無い』
この『世界』が出来た頃から使われてるヤツか。
『しかし、『ヒト族』が使う『魔法』は…『魔素』を体内に取り入れ、特殊な『器官』に貯め、貯められた『魔素』は『魔力』という似て非なるモノへ変わる。そして、それを使って『望む現象』を起こしておるようだが…これに関しては呪文を唱える者もおったし、唱えぬ者もおったし、同じような『現象』にも関わらず、呪文が違ったりで…判断がつかぬ』
すごく…嫌な予感がします…。
微妙に特定の病を患っておられる駄女神の被害者の影を感じてしまうのですが…気のせいであって欲しいです…。
『この『ヒト族』の『魔法』に関しては、個々人の魔力量で強弱が決まるようだ。同種の魔法でも、注ぎ込む魔力量でも強さが変わる。後、我らの結晶と同じように、何かしらの力を魔石などに込めたり、特殊な陣を描き込むことで物質を強化したりも出来るようだったな』
いわゆる『付与魔法』ってヤツかな?
これまた元の世界のファンタジー知識を感じるモノだなー。
『そなたは今、かなりな『魔力』を感じるから、我らの力を頼るより、自身の魔力を使った方がいいのではないか?』
「うーん、特に魔法で何かしたい事がある訳じゃ無いからね」
ワタシ フツウノコデスカラネ(棒)
火種に困らず、水に困らず、清潔を保てるようになった今、これ以上の魔法は正直要らぬ。
極大魔法には憧れないんですよ、(元)アラサーは!
それに…魔法で碌な目に遭ってないからな。
主に召喚とか召喚とか召喚とか。
『それで、我らの魔法を使ってみるのか?』
「うーーん…ちょっと興味はあるけど…やっぱいいや。いくらもう『生きて』はいないんだとしても…結晶を使うってことは、その『精霊』を消費する事でしょ? それは、何か…嫌だ」
『…そなたなら、真っ当な『精霊使い』となれたであろうな…』
『精霊眼』の持ち主というのは、本来『精霊の部分が強いヒト』なのだそうな。だから『精霊が視える』。
『我らを狩ることに血道をあげた『ヒト族』どもは…恐らく本来の『精霊眼』持ちの力を忘れたのであろうな』
精霊の部分が強いということは、精霊と同調しやすいということらしい。
『つまりな、精霊の力を効率よく『現象』として発動できるのだ。それも結晶無しで』
「なるほど。『視える』からわざわざ結晶を持たなくても、精霊に頼めるってことか」
『そうだ。ただな、我らは気まぐれな者が多くてな。余程しっかりした信頼関係を築いておらなんだら、『精霊使い』の思うた通りの『現象』を起こさぬこともしばしばだったようだな』
我は『人間』と馴れ合うことは無かったから詳しくは無いがな、と付け加えられたが…『精霊使い』としての『力』が忘れ去られた…というか、捨て去られて『結晶』を求める理由がわかった気がする。
色んな属性的なモノはあるんだろうけど、少なくともその『結晶』は気まぐれに魔法を出さなかったりはしないだろうからな…。
精霊たちが…自分で自分の首を絞めた部分がある事は否めないけど…狩り尽くすことを正当化は出来ないと思う。
何より、結晶を求めた理由は…異種族の駆逐のためだろうからな。
まぁ、私自身がこの『世界』で『ヒト族』と、あの『女神』を擁護したく無いっていうのが大枠しめてますけどね!
「うりゃっ!!」
釣った魚のエラと尻尾の付け根に短剣を刺してシメる。そしてワタも処理。
《精霊付きってわかってるのに何の遠慮もなく魚捌く姐さんマジパネェ》
「道具は使ってこそやぞ」
『ちっとは遠慮しろ! 生臭いわあぁぁ!!』
《あっ、出てきた》
闇夜の邂逅を済ませてからこっち、例の短剣は『しゃべる短剣』にグレードアップした。
何気にうるさいから正直元のままがよかったと思う。
「っつーかさぁ、しゃべれるんなら最初からコンタクト取ってよ」
『ヒト嫌い』極めてるのはわかるけどさ。
『いや、そなたが初めて洞窟へ来た頃にはしゃべる事はおろか、この幽けき姿すら現すことは出来なんだ』
「は?」
短剣からエクトプラズムのようににょいんと出てくる白いナニカという、シュールな見た目より驚いた。
何でも、元神である大樹に同調していた時は、それなりに私の様子を見たりとかは出来ていたらしいが(お腹壊す実の恨みは忘れない)、引き抜かれてからは意識もそこまでハッキリしていなかったそうだ。
『しかし、そなたがここから一度消える前…魔獣に喰い殺されそうになったであろう? あの時、そなたからとんでもない『力』が放出されたのだ。そして、それを浴びた我は、それまで以上の力を得た』
あー…腕生やした時か…。
『消えて戻ってきた後、気配も能力も桁外れになった上、ドラゴンを引き連れてきおって…様子を伺っておったのよ』
どうやら、平穏が訪れたと思ったら、厄介度MAXレベル(オマケ付き)になって戻ってきたことにビビり、とりあえず様子見してたが、ここを荒らす風でもないし大樹を傷つけることもなかったので、お話ししてみる気になったらしい。
ついでに、あの日を選んだのは一番魔素が多く、かつ安定している日だったからだってさ。
「ま、特にどうこうしたりしないよ。拠点として使わせてはもらうけどさ。後、そのうち人里へは行くと思うけど、結晶持ち出して売ろうとかも思ってないしね」
ここは…元神と精霊たちの棲家であり、霊廟なのだからーーー
『だから! 生臭いんじゃあぁぁぁ!!』
「いや、道具として正しい使い方だから」
《パネェッス》
『使えるだろうな』
おっ、盛り上がって参りましたよ!
「そもそも、『精霊魔法』って何なのさ?」
『うーむ…実際のところ…説明が難しいが…そなたら『ヒト族』が使う魔法と見た目に変わらんモノもあるし、その精霊の特性にちなんだモノの場合もある』
実のところ、精霊氏たちは『魔素を貯める器官』を持たないため、いわゆる『体内魔力』を使った『魔法』がどういう仕組みなのかわからないそうだ。
『元々の『魔法』と言うのは、『魔素』を『特定の呪文』で『望む現象』に変化させるモノなのだ。火が欲しいのなら、火を望む呪いを唱えることで一定量の魔素を火に変える、というカタチだな。これは魔素の濃度が関係してくるから、同じ呪文でも魔素が濃いこの森で実行するのと、魔素が薄い街で実行するのとで強弱が出る。その代わり、唱える者による強弱はほぼ無い』
この『世界』が出来た頃から使われてるヤツか。
『しかし、『ヒト族』が使う『魔法』は…『魔素』を体内に取り入れ、特殊な『器官』に貯め、貯められた『魔素』は『魔力』という似て非なるモノへ変わる。そして、それを使って『望む現象』を起こしておるようだが…これに関しては呪文を唱える者もおったし、唱えぬ者もおったし、同じような『現象』にも関わらず、呪文が違ったりで…判断がつかぬ』
すごく…嫌な予感がします…。
微妙に特定の病を患っておられる駄女神の被害者の影を感じてしまうのですが…気のせいであって欲しいです…。
『この『ヒト族』の『魔法』に関しては、個々人の魔力量で強弱が決まるようだ。同種の魔法でも、注ぎ込む魔力量でも強さが変わる。後、我らの結晶と同じように、何かしらの力を魔石などに込めたり、特殊な陣を描き込むことで物質を強化したりも出来るようだったな』
いわゆる『付与魔法』ってヤツかな?
これまた元の世界のファンタジー知識を感じるモノだなー。
『そなたは今、かなりな『魔力』を感じるから、我らの力を頼るより、自身の魔力を使った方がいいのではないか?』
「うーん、特に魔法で何かしたい事がある訳じゃ無いからね」
ワタシ フツウノコデスカラネ(棒)
火種に困らず、水に困らず、清潔を保てるようになった今、これ以上の魔法は正直要らぬ。
極大魔法には憧れないんですよ、(元)アラサーは!
それに…魔法で碌な目に遭ってないからな。
主に召喚とか召喚とか召喚とか。
『それで、我らの魔法を使ってみるのか?』
「うーーん…ちょっと興味はあるけど…やっぱいいや。いくらもう『生きて』はいないんだとしても…結晶を使うってことは、その『精霊』を消費する事でしょ? それは、何か…嫌だ」
『…そなたなら、真っ当な『精霊使い』となれたであろうな…』
『精霊眼』の持ち主というのは、本来『精霊の部分が強いヒト』なのだそうな。だから『精霊が視える』。
『我らを狩ることに血道をあげた『ヒト族』どもは…恐らく本来の『精霊眼』持ちの力を忘れたのであろうな』
精霊の部分が強いということは、精霊と同調しやすいということらしい。
『つまりな、精霊の力を効率よく『現象』として発動できるのだ。それも結晶無しで』
「なるほど。『視える』からわざわざ結晶を持たなくても、精霊に頼めるってことか」
『そうだ。ただな、我らは気まぐれな者が多くてな。余程しっかりした信頼関係を築いておらなんだら、『精霊使い』の思うた通りの『現象』を起こさぬこともしばしばだったようだな』
我は『人間』と馴れ合うことは無かったから詳しくは無いがな、と付け加えられたが…『精霊使い』としての『力』が忘れ去られた…というか、捨て去られて『結晶』を求める理由がわかった気がする。
色んな属性的なモノはあるんだろうけど、少なくともその『結晶』は気まぐれに魔法を出さなかったりはしないだろうからな…。
精霊たちが…自分で自分の首を絞めた部分がある事は否めないけど…狩り尽くすことを正当化は出来ないと思う。
何より、結晶を求めた理由は…異種族の駆逐のためだろうからな。
まぁ、私自身がこの『世界』で『ヒト族』と、あの『女神』を擁護したく無いっていうのが大枠しめてますけどね!
「うりゃっ!!」
釣った魚のエラと尻尾の付け根に短剣を刺してシメる。そしてワタも処理。
《精霊付きってわかってるのに何の遠慮もなく魚捌く姐さんマジパネェ》
「道具は使ってこそやぞ」
『ちっとは遠慮しろ! 生臭いわあぁぁ!!』
《あっ、出てきた》
闇夜の邂逅を済ませてからこっち、例の短剣は『しゃべる短剣』にグレードアップした。
何気にうるさいから正直元のままがよかったと思う。
「っつーかさぁ、しゃべれるんなら最初からコンタクト取ってよ」
『ヒト嫌い』極めてるのはわかるけどさ。
『いや、そなたが初めて洞窟へ来た頃にはしゃべる事はおろか、この幽けき姿すら現すことは出来なんだ』
「は?」
短剣からエクトプラズムのようににょいんと出てくる白いナニカという、シュールな見た目より驚いた。
何でも、元神である大樹に同調していた時は、それなりに私の様子を見たりとかは出来ていたらしいが(お腹壊す実の恨みは忘れない)、引き抜かれてからは意識もそこまでハッキリしていなかったそうだ。
『しかし、そなたがここから一度消える前…魔獣に喰い殺されそうになったであろう? あの時、そなたからとんでもない『力』が放出されたのだ。そして、それを浴びた我は、それまで以上の力を得た』
あー…腕生やした時か…。
『消えて戻ってきた後、気配も能力も桁外れになった上、ドラゴンを引き連れてきおって…様子を伺っておったのよ』
どうやら、平穏が訪れたと思ったら、厄介度MAXレベル(オマケ付き)になって戻ってきたことにビビり、とりあえず様子見してたが、ここを荒らす風でもないし大樹を傷つけることもなかったので、お話ししてみる気になったらしい。
ついでに、あの日を選んだのは一番魔素が多く、かつ安定している日だったからだってさ。
「ま、特にどうこうしたりしないよ。拠点として使わせてはもらうけどさ。後、そのうち人里へは行くと思うけど、結晶持ち出して売ろうとかも思ってないしね」
ここは…元神と精霊たちの棲家であり、霊廟なのだからーーー
『だから! 生臭いんじゃあぁぁぁ!!』
「いや、道具として正しい使い方だから」
《パネェッス》
21
お気に入りに追加
227
あなたにおすすめの小説
【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる