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どうやら私のせいだったらしい

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「そういや、あの壁のキラキラ、精霊たちが結晶化したモノって言ってたよね? じゃぁ、アレ使えば私もその『精霊魔法』とやらが使えるの?」
『使えるだろうな』

 おっ、盛り上がって参りましたよ!

「そもそも、『精霊魔法』って何なのさ?」
『うーむ…実際のところ…説明が難しいが…そなたら『ヒト族』が使う魔法と見た目に変わらんモノもあるし、その精霊の特性にちなんだモノの場合もある』

 実のところ、精霊氏たちは『魔素を貯める器官』を持たないため、いわゆる『体内魔力』を使った『魔法』がどういう仕組みなのかわからないそうだ。

『元々の『魔法』と言うのは、『魔素』を『特定の呪文コトバ』で『望む現象』に変化させるモノなのだ。火が欲しいのなら、火を望む呪いを唱えることで一定量の魔素を火に変える、というカタチだな。これは魔素の濃度が関係してくるから、同じ呪文でも魔素が濃いこの森で実行するのと、魔素が薄い街で実行するのとで強弱が出る。その代わり、唱える者による強弱はほぼ無い』

 この『世界』が出来た頃から使われてるヤツか。

『しかし、『ヒト族』が使う『魔法』は…『魔素』を体内に取り入れ、特殊な『器官』に貯め、貯められた『魔素』は『魔力』という似て非なるモノへ変わる。そして、それを使って『望む現象』を起こしておるようだが…これに関しては呪文を唱える者もおったし、唱えぬ者もおったし、同じような『現象』にも関わらず、呪文が違ったりで…判断がつかぬ』

 すごく…嫌な予感がします…。
 微妙に特定の病厨二病を患っておられる駄女神の被害者被召喚者の影を感じてしまうのですが…気のせいであって欲しいです…。

『この『ヒト族』の『魔法』に関しては、個々人の魔力量で強弱が決まるようだ。同種の魔法でも、注ぎ込む魔力量でも強さが変わる。後、我らの結晶と同じように、何かしらの力を魔石などに込めたり、特殊な陣を描き込むことで物質を強化したりも出来るようだったな』

 いわゆる『付与魔法』ってヤツかな?
 これまた元の世界のファンタジー知識を感じるモノだなー。

『そなたは今、かなりな『魔力』を感じるから、我らの力を頼るより、自身の魔力を使った方がいいのではないか?』
「うーん、特に魔法で何かしたい事がある訳じゃ無いからね」

 ワタシ フツウノコデスカラネ(棒)

 火種に困らず、水に困らず、清潔を保てるようになった今、これ以上の魔法は正直要らぬ。

 極大魔法には憧れないんですよ、(元)アラサーは!

 それに…魔法で碌な目に遭ってないからな。
 主に召喚とか召喚とか召喚とか。


『それで、我らの魔法を使ってみるのか?』

「うーーん…ちょっと興味はあるけど…やっぱいいや。いくらもう『生きて』はいないんだとしても…結晶を使うってことは、その『精霊』を消費する事でしょ? それは、何か…嫌だ」


『…そなたなら、真っ当な『精霊使い』となれたであろうな…』



 『精霊眼』の持ち主というのは、本来『精霊の部分が強いヒト』なのだそうな。だから『精霊が視える』。

『我らを狩ることに血道をあげた『ヒト族』どもは…恐らく本来の『精霊眼』持ちの力を忘れたのであろうな』

 精霊の部分が強いということは、精霊と同調しやすいということらしい。

『つまりな、精霊の力を効率よく『現象』として発動できるのだ。それも結晶無しで』
「なるほど。『視える』からわざわざ結晶を持たなくても、精霊本人に頼めるってことか」
『そうだ。ただな、我らは気まぐれな者が多くてな。余程しっかりした信頼関係を築いておらなんだら、『精霊使い』の思うた通りの『現象』を起こさぬこともしばしばだったようだな』

 我は『人間』と馴れ合うことは無かったから詳しくは無いがな、と付け加えられたが…『精霊使い』としての『力』が忘れ去られた…というか、捨て去られて『結晶』を求める理由がわかった気がする。
 色んな属性的なモノはあるんだろうけど、少なくともその『結晶』は気まぐれに魔法を出さなかったりはしないだろうからな…。

 精霊たちが…自分で自分の首を絞めた部分がある事は否めないけど…狩り尽くすことを正当化は出来ないと思う。
 何より、結晶を求めた理由は…異種族の駆逐のためだろうからな。


 まぁ、私自身がこの『世界』で『ヒト族』と、あの『女神』を擁護したく無いっていうのが大枠しめてますけどね!






「うりゃっ!!」

 釣った魚のエラと尻尾の付け根に短剣を刺してシメる。そしてワタも処理。

《精霊付きってわかってるのに何の遠慮もなく魚捌く姐さんマジパネェ》
「道具は使ってこそやぞ」
『ちっとは遠慮しろ! 生臭いわあぁぁ!!』
《あっ、出てきた》

 闇夜の邂逅を済ませてからこっち、例の短剣は『しゃべる短剣』にグレードアップした。
 何気にうるさいから正直元のままがよかったと思う。

「っつーかさぁ、しゃべれるんなら最初からコンタクト取ってよ」

 『ヒト嫌い』極めてるのはわかるけどさ。

『いや、そなたが初めて洞窟へ来た頃にはしゃべる事はおろか、この幽けき姿すら現すことは出来なんだ』

「は?」

 短剣からエクトプラズムのようににょいんと出てくる白いナニカという、シュールな見た目より驚いた。



 何でも、元神である大樹に同調していた時は、それなりに私の様子を見たりとかは出来ていたらしいが(お腹壊す実の恨みは忘れない)、引き抜かれてからは意識もそこまでハッキリしていなかったそうだ。

『しかし、そなたがここから一度消える前…魔獣に喰い殺されそうになったであろう? あの時、そなたからとんでもない『力』が放出されたのだ。そして、それを浴びた我は、それまで以上の力を得た』

 あー…腕生やした時か…。

『消えて戻ってきた後、気配も能力も桁外れになった上、ドラゴンとんでもないモンを引き連れてきおって…様子を伺っておったのよ』

 どうやら、平穏が訪れたと思ったら、厄介度MAXレベル(オマケ付き)になって戻ってきたことにビビり、とりあえず様子見してたが、ここを荒らす風でもないし大樹を傷つけることもなかったので、お話ししてみる気になったらしい。
 ついでに、あの日を選んだのは一番魔素が多く、かつ安定している日だったからだってさ。

「ま、特にどうこうしたりしないよ。拠点として使わせてはもらうけどさ。後、そのうち人里へは行くと思うけど、結晶持ち出して売ろうとかも思ってないしね」


 ここは…元神と精霊たちの棲家であり、霊廟眠る場所なのだからーーー





『だから! 生臭いんじゃあぁぁぁ!!』
「いや、道具として正しい使い方だから」
《パネェッス》
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