他人の人生押し付けられたけど自由に生きます

鳥類

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やらかしながら進むのが人生だ

《終わりよければ…いいのかな…》

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  《クライン視点》

「ノアさまー! どこっすかー?! ノアさまってばー!」

 魔法・魔力研究所内に新たに設立された機関である『特殊魔法研究所』内を、研究員用のローブを翻しながら走る。

「全くあの人は! どこに隠れたんだか…。何処っすか姐御ーーー!」

「『姐御』言うなーー!!」

 びょいん、と開け放たれていた廊下の窓から…探し人が飛び込んできた。

「あっ、影紐使ってるって事は、また屋上で寝てたんすね?! 後、降りて来るときは『降下』じゃなく階段使ってください!」
「…どんどんおかん化が進むねぇ、チベスナくんは…」

 はいはいうるさいうるさーい、と言いながら自分の研究室へと走っていくノアさま。すでに隠す事なく俺のことはあだ名で呼んでいる。…と言うか、恐らく本名は忘れている。

「あっ、探してた内容言ってない!」

 俺は慌てて彼女の後を追ったーーー






 5年前…学園で、俺は、己が『黒持ち』である事に絶望して、アメリア・ルデバランの『浄化の炎』と言う言葉に縋り、ノアさまを危険に晒した。
 言い訳をさせてもらえるなら、まさかあれ程あの女がおかしいとは思っていなかった。
 …まぁ、後から何を言っても言い逃れ出来ない失態だろう。彼女が自力で切り抜けたと言えど、公爵家の御令嬢の身を危険に晒したのだから。
 当然の如く酷い処遇が待っているだろう…と思っていたら…

 翌日には俺は、公爵家預かりの侍従と言う事になっていた。

 アメリア・ルデバランが暴走し、ノアさまがとんでもない魔法を使い、果ては『黒の魔法使い』とか言い出し…情報過多過ぎて放心している内にレイノルトさまに首根っこを掴まれて公爵さまの前に引き摺っていかれた。
 そこで、自分が『黒』を発現している事や、実家に恐らくまだ籍はあるが、戻る事は出来ない事など色々聞かれ、終わったと思ったら執事に連れられて侍従服に着替えさせられ、今から侍従としての教育を受けてもらう、ときたもんだ。

 本当に何が何やらわからない…。

 実家から完全に抹消され、学園もいつの間にか辞めさせられていたが、特に何も思わなかった。

 そして…ノアさまの専属侍従となった。


 ちゃんと学園を卒業していないので、社交会には出られないが、ノアさまにつくために、トーレさまの養子にはいり、ノアさまの卒業に合わせて設立された『特殊魔法研究所』に、研究員としても入所する事となった。


 俺は…ここで…『黒魔法』…いや、『黒影』の研究に日々を費やしている。






 学園在学中に『新魔法開発・強化』が出来る『魔法指導者』として名を馳せていたノアさまだから、卒業後に魔法・魔力研究所に所属するのは何らおかしい事ではなかった。…が。

 この『特殊魔法研究所』、蓋を開けてみれば『黒魔法研究者』の巣窟だった。

 で、だ。その内実は…

 俺やトーレさまを使って、出来る『黒魔法』を研究する機関…だった…。

 正直、ノアさまの『黒魔法』は完全に別格…と言うか、もう別魔法だと思う。
 なので、ノアさまが俺とトーレさまでも『使えそうな技』を色々考えて、それを実験・検証し…

 『属性魔法研究発表』の場で、お披露目させたのだ。

 …あの時は、正直死んだかと思った…。

 『絶対に使えない』、『呪いだ』と思われていた蔑みの対象である『黒魔法』が、想像とは全く異なる、場合によっては使い勝手の良い魔法だといきなり言われたのだ。

 そりゃ荒れる。

 賛否両論あったと思うが、否定派の方が多かっただろうし、何よりこの日の研究結果でテッペン取れると思っていただろう過激派が攻撃魔法を放つという、正に会場は阿鼻叫喚の様相を呈した。
 その時…

 その魔法が…掻き消えた。

 ノアさまより一年早く卒業され、研究所へ入所、ノアさまの入所と同時に『特殊魔法研究所』に移籍してきた…

 シリス殿下の手によってーーー


 この日の研究発表会が『伝説』となったのは…言うまでもない。






「ノアさま! 旦那さまから『お家にちゃんと帰ってきなさい!』って伝言です!」
「うん? この前帰ったよ」
「いや、研究室ここに寝泊まりせずにちゃんと毎日帰りなさいよ!」
「えぇ…遅刻しちゃうもん」
「ちゃんと起きなさい!」
「わかったよママー」
「誰がママか!!」



 俺は…今、とても幸せだーーー
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