他人の人生押し付けられたけど自由に生きます

鳥類

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やらかしながら進むのが人生だ

どうも、黒の魔法使いです☆

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 シュッと軽い音を立てながら奴の周りを囲むように黒い棒が幾本も地面から突き出る。

「…えっ、何…?!」

 慌てふためくアメリアだが、多少もがいたところで私の影は外れはしない。
 瞬く間に奴は拘束された上、檻に入ったような状態になった。

「…ねぇ。何で、私に突っかかって来るの? 私からはあんたに何もしてないじゃない。チビの頃、あんたから叩かれても、ご飯獲られても、私からは何もしてない」
「…何もしてない? してるわよ! 私のモノになるハズだったモノを奪ったじゃ無い!」
「それ、元々あんたのモノじゃないよ。私のモノだし、私が享受すべきモノだよ。どうしてそんな勘違いするの」
「…違う! 違うわ! 私のモノよ!」

 頭を激しく振るアメリア。
 …これ、もしや魂と器に何かしらの繋がりが…あるのか…?


 そもそも『私』の身体人生試練も、元はアメリアが辿るべきハズのモノだったハズ。
 私は二回目の人生だが、彼女はこれまで何度も繰り返してきている。その魂と記録媒体カードに何らかの繋がりがあったとしても…おかしくは無い。
 まぁ、その辺りは完全専門外だし、考えたところでわかるハズも無い話だ。だけど…


 『アメリアお前』が『ノア』から『奪って良いモノ』なんて…何一つ無いんだわ。


「皆、出ておいで」

 私の足元から、大量の犬や猫、鳥がわらわらと出現する。あ、モモンガとかハムスター的な小さい子は大きい子の上にいます。

「よーしよし、いい子達だねー」

 そもそも、魂とか記録媒体カードとか身体とか、今この世界に存在してる以上どうする事も出来ないモノだ。
 私があいつに絡まれる事も、もしかしたら何らかの『試練』の一つとして組み込まれたモノなのかもしれない。だとしたらクソ程悪趣味だとは思うけど。
 大体、私は最初からハードモードなのに、報告書を見てもめちゃくちゃイージーモードだったあいつに…キツイ人生押し付けてきたあいつに…


 いちゃもんつけられる筋合いは、無い。


「さあ、皆、あのお姉ちゃんと遊んでおいで☆」


 『何ちゃってふれあい動物園』開催ですよ!






「きゃあぁぁあぁあぁぁぁ! 何?! 何で!? 何でぬるっと…! えっ、犬…猫?! ぎゃぁ気持ち悪いぃぃぃぃ!!!」

 檻の中で影動物うちの子達に群がられるアメリア。すでに姿が見えないほど埋もれている。

「うふふ視覚と感触の違いを楽しめるように基本的にモフモフな子達を集めてみました」

 どうだ、名付けて『モフモフのハズなのに感触が爬虫類地獄』!

「え…えげつねぇ…」
「さすがに…あれ程だと小指の先ほど同情しますね…」
「アルくんの同情心が極小な件について」

 僕も腹立ってますしねぇ、と言いつつ自分の腕をさするアルくん。

「あー、しかしそろそろ帰りたいな」
「えぇ、消火活動で結構魔力消費しましたし、疲れました」
「ん? じゃぁ仕上げいっとく?」

 えいしょ、と軽い掛け声をかけ…

「ぎゃぁあっ!…えっ? なっ、いやっ、ぎぃやあぁぁぁぁぁ!!!」

 全ての動物を…一匹の大蛇へと変え…アメリアを飲み込ませた。

「…だからえげつなすぎ…」
「でも静かになったし、私もスッキリしたよ☆」

 影大蛇を消せば、気絶したアメリアが倒れている。

「とりあえずあいつどうします?」
「うーん…どうすっかな…」

 奴をどうするか相談を始めた兄弟を横目に、私は結局へたり込んだところからそのまま全く動けなくなっていたチベスナくんの所へと足を進める。
 わぁ見本のような見事な放心状態。

「…おーい、チ…クラインく…」
「…姐御」

 ギギギ…と音がしそうな程ぎこちなく私の方へ向く視線。

「あ…姐御…さっきの…え…あの…嘘…く…黒い…」

 まともに喋れないのに『姐御』は言えるんかい。まずそこを直せよ。
 ま、いっか。




「やぁどうも、黒の魔法使いでっす☆」
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