他人の人生押し付けられたけど自由に生きます

鳥類

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やらかしながら進むのが人生だ

《世界の中心・後編》

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 「ポーラス公爵家長女、ノアと申します。よろしくお願いいたします」

 ステラ学園の淑女科に入った。貴族なら誰しも入らなきゃならないから仕方なく入学したけど、淑女科なら楽に過ごせるかな、と思ってたら…

 綺麗な礼、あの時とは違う、明らかに手入れの行き届いた髪や肌…私より華奢な…でも伸びた背筋のせいか決して小さく見えない身体…そして…

 『公爵家の令嬢』

 私が…なるハズだった。
 『お父さま』が迎えに来るハズだった。
 あの時、あの家にあいつは居なかったのに…私が子爵家に戻されてしまっていたから、きっと『お父さま』は仕方なくあの子を連れて行ったに違いない。
 もしかしたら、あいつが何かしたのかも…。ずっと母さまに迷惑かけてたし…。

 もしそうだとしたら、本物の疫病神だわ!



 学園生活は特に可もなく不可もないけど…あいつは成績も普通だし…むしろちょっと孤立気味。私にはたくさんお友達が出来た。

 でも、気に食わないのは…シリス殿下があいつを気に入ってる事。

 私が話しかけてもほとんど会話にならないのに…あいつには殿下から話しかけるし。それに…ポーラス公爵令息…ううん、『お兄さま』がすごくあいつに甘い。行き帰りはいつも一緒だし、昼食も一緒。たまにシリス殿下も一緒。

 気に食わない!

 本来私が享受すべきものを平然と受け取ってるあいつを少しでも追い詰めてやろうと、『噂』を流した。といっても、『私』の『辛い記憶』を、ほんの少しにおわせただけ。周りが勝手に広めるんだから、私は何もしていない。

 どんどん孤立していくのをいい気味だと思っていたら、『お父さま』が学園に苦情を言いにきた。

 どうして! どうして見捨てないの!
 何の役にも立ってないだろうに!

 なのに、いつの間にかあいつは『新魔法開発が出来る魔法師』としてちやほやされてる。
 意味がわからない!


 魔法師養成科のを訪ねた時、何となくだけど、魔法の使い方が浮かんだ。
 そもそも、田舎にいた時周りは平民ばっかりだったから属性調べたりしなかったし、子爵家に戻った時も、侯爵家に養子に行った後も、学園では淑女科に行く事が決まってたから、魔法の勉強とか面倒くさくて全然しなかった。
 それなのに魔法の使い方がわかるなんて、やっぱり私って天才じゃない?!
 それに、今まで見たこともない魔法まで使えちゃうなんて、まさに『選ばれた人間』って感じ!

 私が、望むように、世界は動くの。
 私が、『楽に』生きられるように、この世は出来てるの。

 だって、私は『特別』なんだもん。


 何もかも、私に都合がいいように物事が進んでいく。
 うるさい母親はどこかへ行ったし、何をするにしても『手伝ってくれるお友達』もたくさん出来た。身分が欲しいと思っていたら、侯爵家の養子になった。魔法だって『前代未聞の魔法師』って呼ばれるくらい誰もなし得なかった功績をたくさん作った。
 この世は私の都合がいいように回っていってるのに…

 何故か…あいつが絡むことだけがうまく行かない。
 どうして…?
 あいつがいたら、私の望みが叶わない。

 そんなの…許せるわけがない。

 私が楽しく生きるためにはあいつは絶対邪魔になる。
 どうしたらいいか…? そんなの決まってる。


 あいつが私の前から消えちゃえばいいんだわ。


 この前、白魔法じゃ無いかってすごく騒がれた私の魔法。
 何となくスパークする感じ…?ってイメージしたら出来ただけなのよねー。
 でも予想以上に騒がれて、もしや私って王族の血を引いてるの?ってちょっと浮かれたのに、違ってガッカリしたけど…これからする事にはちょうどいい。

 あいつは『無色』の『無能』だもの。
 私の魔法でちょっと『焦がして』やれば、今後社交会に出てくる事も無くなる。
 顔がベストだけど、腕や足でも構わない。『痕』が残れば良いんだもの。

 あ、でも、真っ黒く焦がして…『呪い』だって言いふらせば…縁起が悪くて家から放逐されるかも…!

 あぁ、それがいいわ! 何て素敵なアイディア!

 何だったら私を呪って失敗した『呪い返し』でそうなったって事にしたら完璧じゃ無い?!
 忌まれる『黒』が禁忌の『呪い』を発動させたってなったらタダで済むわけないものね!


 さぁ…私の『素晴らしい人生』から、退場してちょうだい、疫病神さんーーー


ーーーー

 人の話は聞かない・都合よく改変する・自分が中心、と言う典型的残念思考です。イレギュラーに弱い。
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