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やらかしながら進むのが人生だ
『白』で思い浮かぶモノ…
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「色々…本当に色々試したんだ…! ノアが『影』に魔力を通したと聞いたから、そこら辺の物とかに片っ端から魔力を通してみたり、太陽光に向けて見たり…」
何一つ反応無かった…! と頭を抱える王子。面倒くさい。
「白…白ねぇ…」
うーん…『白』でパッと思い浮かぶモノ…パンツ?(違)
ほぼどんな人生だったか覚えてないけど、前世の私、あんまり漫画とか読まなかったし、ゲームもほとんどやった事なかった気がする。
「でも…そうですねぇ…。例えば『治癒』とか『結界』とかって言うのはどうなんです?」
「治癒…結界…」
顔を上げた王子が何かブツブツ言ってる。怖い。
「結界…結界と言われても…どう言ったモノか…よくわからない…。でも…治癒なら…そうだ、ちょっと小さく切ってみたりすれば…」
キョロキョロと何か探し始める王子。
「いやいや、王族が小さくとも怪我したとかなったらうちがヤバいから殿下は絶対やめろ」
慌てて止める兄。そりゃそうだわ。
でも小さい傷で試すのはいい案かも。ペティナイフとかないかな…とキョロキョロする私の横にスッ…といらっしゃったセバスチャンさんの手元に…小さいナイフが!
…今、袖口から出ましたよね…? もしかしてA☆N☆KI…
にこ…(セバスチャンさん)
にこ…(私)
はい、お口チャックですね、了解です!
ふぅ、やべぇ領域に足を踏み入れるところだったわ…。危ねぇ危ねぇ。
さてさて、コレでちょいと指先でも切ればえぇんやろけど…痛いのはちょっとなぁ…うーん…
にこ…(私)
にこ…(ナイスミドル)
「…ちょいとそこのゲイルさ…」
「こんな時だけ名前呼んでんじゃねぇぞチビ助ぇ!」
チッ…無駄に察しがよくなりおってからに…。
しゃーねぇ、ここは私が頑張るかー。
「うりゃっ!」
「「「って、何でいきなり刺すかなあぁぁぁっ?!」」」
おぉ、見事なシャウトですな、兄・弟・ナイスミドル。そしてセバスチャンさんの笑顔が黒い…怖っ!
「はい、どーぞ頑張って」
「…えっと…この子本当どうしたらいいの…?」
頭を抱える王子。いや、ちっさい傷だけどそれなりに痛いから早よしてよ。せっかく練習台になったげてるんだからさぁ。
「…ダメだ…! 治らない…!」
泣きそうな顔をしながら魔力を傷に当てる王子。時間が経って血は止まってしまったけど、傷が治る事はない。
再び頭を抱えた王子は放っといて、細い影バンドを出して傷を覆う。
「………。…まぁ、いきなり『出来た!』ってなったら、こんな長い間使い手が現れないって事態にはならんでしょーよ」
「まぁ…それは…そうなんだが…」
「…ですが…何となくですが、『白魔法』の実態がわかった気がします」
「「「えっ?!!」」」
室内にいた全員が一気に私の方へ顔を向ける。わぁ割と怖い(笑)
影バンドの何ちゃって絆創膏をチラと見やってから、私は手のひらに影ヤモリを出し、それを殿下の手のひらに乗せた。「うぇっ?!」とか聞こえたけど気にしない。
「さて殿下。その影ヤモリちゃんに魔力を通してください。その際に『元に戻れ』と…元の…『魔力』の状態に戻るように…形が消えるようにイメージしながら」
ぽかん、とした顔をした王子が、ハッと意識を取り戻して魔力を顕現させる。
うまくイメージ出来ないのだろう。無駄に力を放出し続けている彼は辛そうだ。
しかし…
「…えっ…!? あっ…? で…でき…た…?」
王子の手の上にいた黒いヤモリの輪郭がほどけ…消えていった。
誰一人口を開かない。と言うか、呆然として誰も何も言えないと言うのが正しいのだろう。
「…『白魔法』は…『魔法に干渉する力』…。発動した魔法をただの『魔力』に戻す事が…できるようですねぇ」
『魔法使い』から見たら、脅威になり得る力。この国の王家に相応しい『魔法』なのでは? と言う私の言葉は耳に入っているだろうか…?
私以外茫然自失の人たちは放っといて、お茶飲もうっと。おやつもね☆
…やっちまった感あるけど、まぁいっか☆
何一つ反応無かった…! と頭を抱える王子。面倒くさい。
「白…白ねぇ…」
うーん…『白』でパッと思い浮かぶモノ…パンツ?(違)
ほぼどんな人生だったか覚えてないけど、前世の私、あんまり漫画とか読まなかったし、ゲームもほとんどやった事なかった気がする。
「でも…そうですねぇ…。例えば『治癒』とか『結界』とかって言うのはどうなんです?」
「治癒…結界…」
顔を上げた王子が何かブツブツ言ってる。怖い。
「結界…結界と言われても…どう言ったモノか…よくわからない…。でも…治癒なら…そうだ、ちょっと小さく切ってみたりすれば…」
キョロキョロと何か探し始める王子。
「いやいや、王族が小さくとも怪我したとかなったらうちがヤバいから殿下は絶対やめろ」
慌てて止める兄。そりゃそうだわ。
でも小さい傷で試すのはいい案かも。ペティナイフとかないかな…とキョロキョロする私の横にスッ…といらっしゃったセバスチャンさんの手元に…小さいナイフが!
…今、袖口から出ましたよね…? もしかしてA☆N☆KI…
にこ…(セバスチャンさん)
にこ…(私)
はい、お口チャックですね、了解です!
ふぅ、やべぇ領域に足を踏み入れるところだったわ…。危ねぇ危ねぇ。
さてさて、コレでちょいと指先でも切ればえぇんやろけど…痛いのはちょっとなぁ…うーん…
にこ…(私)
にこ…(ナイスミドル)
「…ちょいとそこのゲイルさ…」
「こんな時だけ名前呼んでんじゃねぇぞチビ助ぇ!」
チッ…無駄に察しがよくなりおってからに…。
しゃーねぇ、ここは私が頑張るかー。
「うりゃっ!」
「「「って、何でいきなり刺すかなあぁぁぁっ?!」」」
おぉ、見事なシャウトですな、兄・弟・ナイスミドル。そしてセバスチャンさんの笑顔が黒い…怖っ!
「はい、どーぞ頑張って」
「…えっと…この子本当どうしたらいいの…?」
頭を抱える王子。いや、ちっさい傷だけどそれなりに痛いから早よしてよ。せっかく練習台になったげてるんだからさぁ。
「…ダメだ…! 治らない…!」
泣きそうな顔をしながら魔力を傷に当てる王子。時間が経って血は止まってしまったけど、傷が治る事はない。
再び頭を抱えた王子は放っといて、細い影バンドを出して傷を覆う。
「………。…まぁ、いきなり『出来た!』ってなったら、こんな長い間使い手が現れないって事態にはならんでしょーよ」
「まぁ…それは…そうなんだが…」
「…ですが…何となくですが、『白魔法』の実態がわかった気がします」
「「「えっ?!!」」」
室内にいた全員が一気に私の方へ顔を向ける。わぁ割と怖い(笑)
影バンドの何ちゃって絆創膏をチラと見やってから、私は手のひらに影ヤモリを出し、それを殿下の手のひらに乗せた。「うぇっ?!」とか聞こえたけど気にしない。
「さて殿下。その影ヤモリちゃんに魔力を通してください。その際に『元に戻れ』と…元の…『魔力』の状態に戻るように…形が消えるようにイメージしながら」
ぽかん、とした顔をした王子が、ハッと意識を取り戻して魔力を顕現させる。
うまくイメージ出来ないのだろう。無駄に力を放出し続けている彼は辛そうだ。
しかし…
「…えっ…!? あっ…? で…でき…た…?」
王子の手の上にいた黒いヤモリの輪郭がほどけ…消えていった。
誰一人口を開かない。と言うか、呆然として誰も何も言えないと言うのが正しいのだろう。
「…『白魔法』は…『魔法に干渉する力』…。発動した魔法をただの『魔力』に戻す事が…できるようですねぇ」
『魔法使い』から見たら、脅威になり得る力。この国の王家に相応しい『魔法』なのでは? と言う私の言葉は耳に入っているだろうか…?
私以外茫然自失の人たちは放っといて、お茶飲もうっと。おやつもね☆
…やっちまった感あるけど、まぁいっか☆
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