他人の人生押し付けられたけど自由に生きます

鳥類

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やらかしながら進むのが人生だ

あちらがダメならこちらがあるさ

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「下手に出てるようで、淘汰してるんですよねぇ」

 嫌そうな顔を隠さないアルノルトはそう吐き捨てた。

「相手のことを表立って悪く言う事は無いが、落とす方向へうまく誘導はしてるしな」

 ステーラ学園の学生は誰しも、貴族階級として生きているため、そう言った駆け引きめいた事にも慣れている者の方が多い。
 だが、今回の場合に関しては『前代未聞の偉業を成し遂げた魔法師』が『直々に指導してくれた』にも関わらず出来なかった上に、『その特別な魔法師に謝罪させた』と言う事になる。
 これが、『誰も出来なかった』ならアメリアの指導力の問題に出来るが、出来た人間がいる以上、責を負うのは出来なかった方になってしまう。

「僕としては良い悪いは別として、貴族という立場の者は己の実力以上のモノを求められるのは仕方ない部分はあると思ってますし、『出来ない事』を責められる事があるのも当然だと思ってます」

 それなりの『地位』があれば『義務』も付随するもんねぇ。

「ですが、それを差し引いてもあいつのやり方は気に食わない」

 アルくん激オコです。

「姉さまはルークさんを覚えてるでしょう?」

 …誰?
 でも何か自信満々に言われたからきっと知ってるハズ。頷いとけ。

「おい、今こいつ『誰?』って顔したぞ」

 何でそう言うこと言うのクソお兄ちゃんめ! ほら! 可哀想な子を見る目で見られたでしょ! アルくん姉ちゃん傷つくよ!

「身体強化を会得するのに苦労した人ですよ。最終的には火を灯せるようになった彼です」

「あぁ、チャッ◯マン氏の事かぁ」

 …すごく…残念なモノを見る目で見られています…。いや、指先に灯った感じがチャッカ◯ンだったんですよ…!
 ちなみに他にも跳躍が美しいガゼルくんや、半眼で、余り表情が変わらないチベスナくん、何となく騎士より武士!って感じがするブシドーくんとかいますよ!

「サッパリ理解できないあだ名ですが、恐らくその方だと思います。彼は魔力コントロールも身体強化も他の方より時間がかかりましたよね?」
「そうだね。まず魔力を上手く感じとれてなかったみたいだったねぇ」
「他の方と同じ説明で出来ない事が判明した後、姉さまはどうしました?」
「うん? 違う言い方…と言うか、別の方法試したよ?」

 大人数を一度に相手にする場合、単一の方法を教えて、それでわからない場合は個人で頑張るしか無い。いわゆる学校のような所は範囲と授業時間数が決まっているため、こうするしか無い部分があるのは理解できるので、これが悪いとは思わない。
 だが、個別で対応できるとしたら、教える側はその人に合った方法を探す努力をすべきだろう。

「そう。それです」

 …どれ?

「『今の説明でわからない』なら『別の説明をする』事ですよ」

 …うん?

「あの女は、『私のせいですよね』なんて殊勝な事を口にするくせに、出来なかった相手に決してそれ以上の労力を割かないんです」

 アルノルト曰く、出来た者にはまた別の技を教えたりするが、出来なかった者が、何故出来なかったのかという事や、他のやり方を提案する事をしないそうだ。

「姉さまが以前言ってた『技を使うにはイメージ力が重要』と言うのがよく分かりました。あいつの説明でイメージ出来た者は発動できるのですが、理解できなかった場合は発動出来ないんです。姉さまは分かりづらかったかな、と思った時、その事象を他の例えにしたり、別の物を用いてイメージしやすくしてくれたでしょう?」

 そうだっけ?

「以前俺に『竜巻』起こさせようとした時、『風が渦巻く』って言われてもイメージ出来なかったら、バケツに水汲んできて渦巻き作ってくれたりしただろ。まぁ、魔力足りなくて結局できなかったがな」

 そう言うことだ、と笑いながら言うナイスミドル。

「実際、魔法師養成科うちでも魔力量でゴリ押ししてる人も多いから、あの女の周りに侍ってる奴らはいわゆる『エリート』と言われる人間です。まるで、優秀な人間だけがヒトである、とでも言いたそうなこんなやり方…」

 胸くそ悪いですーーー



 ……禿同!!
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