61 / 83
やらかしながら進むのが人生だ
あちらがダメならこちらがあるさ
しおりを挟む
「下手に出てるようで、淘汰してるんですよねぇ」
嫌そうな顔を隠さないアルノルトはそう吐き捨てた。
「相手のことを表立って悪く言う事は無いが、落とす方向へうまく誘導はしてるしな」
ステーラ学園の学生は誰しも、貴族階級として生きているため、そう言った駆け引きめいた事にも慣れている者の方が多い。
だが、今回の場合に関しては『前代未聞の偉業を成し遂げた魔法師』が『直々に指導してくれた』にも関わらず出来なかった上に、『その特別な魔法師に謝罪させた』と言う事になる。
これが、『誰も出来なかった』ならアメリアの指導力の問題に出来るが、出来た人間がいる以上、責を負うのは出来なかった方になってしまう。
「僕としては良い悪いは別として、貴族という立場の者は己の実力以上のモノを求められるのは仕方ない部分はあると思ってますし、『出来ない事』を責められる事があるのも当然だと思ってます」
それなりの『地位』があれば『義務』も付随するもんねぇ。
「ですが、それを差し引いてもあいつのやり方は気に食わない」
アルくん激オコです。
「姉さまはルークさんを覚えてるでしょう?」
…誰?
でも何か自信満々に言われたからきっと知ってるハズ。頷いとけ。
「おい、今こいつ『誰?』って顔したぞ」
何でそう言うこと言うのクソお兄ちゃんめ! ほら! 可哀想な子を見る目で見られたでしょ! アルくん姉ちゃん傷つくよ!
「身体強化を会得するのに苦労した人ですよ。最終的には火を灯せるようになった彼です」
「あぁ、チャッ◯マン氏の事かぁ」
…すごく…残念なモノを見る目で見られています…。いや、指先に灯った感じがチャッカ◯ンだったんですよ…!
ちなみに他にも跳躍が美しいガゼルくんや、半眼で、余り表情が変わらないチベスナくん、何となく騎士より武士!って感じがするブシドーくんとかいますよ!
「サッパリ理解できないあだ名ですが、恐らくその方だと思います。彼は魔力コントロールも身体強化も他の方より時間がかかりましたよね?」
「そうだね。まず魔力を上手く感じとれてなかったみたいだったねぇ」
「他の方と同じ説明で出来ない事が判明した後、姉さまはどうしました?」
「うん? 違う言い方…と言うか、別の方法試したよ?」
大人数を一度に相手にする場合、単一の方法を教えて、それでわからない場合は個人で頑張るしか無い。いわゆる学校のような所は範囲と授業時間数が決まっているため、こうするしか無い部分があるのは理解できるので、これが悪いとは思わない。
だが、個別で対応できるとしたら、教える側はその人に合った方法を探す努力をすべきだろう。
「そう。それです」
…どれ?
「『今の説明でわからない』なら『別の説明をする』事ですよ」
…うん?
「あの女は、『私のせいですよね』なんて殊勝な事を口にするくせに、出来なかった相手に決してそれ以上の労力を割かないんです」
アルノルト曰く、出来た者にはまた別の技を教えたりするが、出来なかった者が、何故出来なかったのかという事や、他のやり方を提案する事をしないそうだ。
「姉さまが以前言ってた『技を使うにはイメージ力が重要』と言うのがよく分かりました。あいつの説明でイメージ出来た者は発動できるのですが、理解できなかった場合は発動出来ないんです。姉さまは分かりづらかったかな、と思った時、その事象を他の例えにしたり、別の物を用いてイメージしやすくしてくれたでしょう?」
そうだっけ?
「以前俺に『竜巻』起こさせようとした時、『風が渦巻く』って言われてもイメージ出来なかったら、バケツに水汲んできて渦巻き作ってくれたりしただろ。まぁ、魔力足りなくて結局できなかったがな」
そう言うことだ、と笑いながら言うナイスミドル。
「実際、魔法師養成科でも魔力量でゴリ押ししてる人も多いから、あの女の周りに侍ってる奴らはいわゆる『エリート』と言われる人間です。まるで、優秀な人間だけがヒトである、とでも言いたそうなこんなやり方…」
胸くそ悪いですーーー
……禿同!!
嫌そうな顔を隠さないアルノルトはそう吐き捨てた。
「相手のことを表立って悪く言う事は無いが、落とす方向へうまく誘導はしてるしな」
ステーラ学園の学生は誰しも、貴族階級として生きているため、そう言った駆け引きめいた事にも慣れている者の方が多い。
だが、今回の場合に関しては『前代未聞の偉業を成し遂げた魔法師』が『直々に指導してくれた』にも関わらず出来なかった上に、『その特別な魔法師に謝罪させた』と言う事になる。
これが、『誰も出来なかった』ならアメリアの指導力の問題に出来るが、出来た人間がいる以上、責を負うのは出来なかった方になってしまう。
「僕としては良い悪いは別として、貴族という立場の者は己の実力以上のモノを求められるのは仕方ない部分はあると思ってますし、『出来ない事』を責められる事があるのも当然だと思ってます」
それなりの『地位』があれば『義務』も付随するもんねぇ。
「ですが、それを差し引いてもあいつのやり方は気に食わない」
アルくん激オコです。
「姉さまはルークさんを覚えてるでしょう?」
…誰?
でも何か自信満々に言われたからきっと知ってるハズ。頷いとけ。
「おい、今こいつ『誰?』って顔したぞ」
何でそう言うこと言うのクソお兄ちゃんめ! ほら! 可哀想な子を見る目で見られたでしょ! アルくん姉ちゃん傷つくよ!
「身体強化を会得するのに苦労した人ですよ。最終的には火を灯せるようになった彼です」
「あぁ、チャッ◯マン氏の事かぁ」
…すごく…残念なモノを見る目で見られています…。いや、指先に灯った感じがチャッカ◯ンだったんですよ…!
ちなみに他にも跳躍が美しいガゼルくんや、半眼で、余り表情が変わらないチベスナくん、何となく騎士より武士!って感じがするブシドーくんとかいますよ!
「サッパリ理解できないあだ名ですが、恐らくその方だと思います。彼は魔力コントロールも身体強化も他の方より時間がかかりましたよね?」
「そうだね。まず魔力を上手く感じとれてなかったみたいだったねぇ」
「他の方と同じ説明で出来ない事が判明した後、姉さまはどうしました?」
「うん? 違う言い方…と言うか、別の方法試したよ?」
大人数を一度に相手にする場合、単一の方法を教えて、それでわからない場合は個人で頑張るしか無い。いわゆる学校のような所は範囲と授業時間数が決まっているため、こうするしか無い部分があるのは理解できるので、これが悪いとは思わない。
だが、個別で対応できるとしたら、教える側はその人に合った方法を探す努力をすべきだろう。
「そう。それです」
…どれ?
「『今の説明でわからない』なら『別の説明をする』事ですよ」
…うん?
「あの女は、『私のせいですよね』なんて殊勝な事を口にするくせに、出来なかった相手に決してそれ以上の労力を割かないんです」
アルノルト曰く、出来た者にはまた別の技を教えたりするが、出来なかった者が、何故出来なかったのかという事や、他のやり方を提案する事をしないそうだ。
「姉さまが以前言ってた『技を使うにはイメージ力が重要』と言うのがよく分かりました。あいつの説明でイメージ出来た者は発動できるのですが、理解できなかった場合は発動出来ないんです。姉さまは分かりづらかったかな、と思った時、その事象を他の例えにしたり、別の物を用いてイメージしやすくしてくれたでしょう?」
そうだっけ?
「以前俺に『竜巻』起こさせようとした時、『風が渦巻く』って言われてもイメージ出来なかったら、バケツに水汲んできて渦巻き作ってくれたりしただろ。まぁ、魔力足りなくて結局できなかったがな」
そう言うことだ、と笑いながら言うナイスミドル。
「実際、魔法師養成科でも魔力量でゴリ押ししてる人も多いから、あの女の周りに侍ってる奴らはいわゆる『エリート』と言われる人間です。まるで、優秀な人間だけがヒトである、とでも言いたそうなこんなやり方…」
胸くそ悪いですーーー
……禿同!!
76
お気に入りに追加
3,225
あなたにおすすめの小説

【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです
ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。
女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。
前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る!
そんな変わった公爵令嬢の物語。
アルファポリスOnly
2019/4/21 完結しました。
沢山のお気に入り、本当に感謝します。
7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。
2021年9月。
ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。
10月、再び完結に戻します。
御声援御愛読ありがとうございました。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。

叶えられた前世の願い
レクフル
ファンタジー
「私が貴女を愛することはない」初めて会った日にリュシアンにそう告げられたシオン。生まれる前からの婚約者であるリュシアンは、前世で支え合うようにして共に生きた人だった。しかしシオンは悪女と名高く、しかもリュシアンが憎む相手の娘として生まれ変わってしまったのだ。想う人を守る為に強くなったリュシアン。想う人を守る為に自らが代わりとなる事を望んだシオン。前世の願いは叶ったのに、思うようにいかない二人の想いはーーー
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる