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やらかしながら進むのが人生だ

カツ丼は胃もたれする

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「これがうちが調べた資料だよ」



 あの後、完全に放心状態に陥っていた私を、姿が見えないことを知ったお兄さまが探して回収してくれたらしい。ありがとう、そしてありがとう。気がついたらお家でビックリしたよ。

 茫然自失していた私を心配したモンペーズ(人数増し増し)から尋問という名の質問を受け、渋々アメリアに会って意味のわからない口撃を受けた事を自白した。

 …思わず電気スタンドとカツ丼を探した私は悪くないと思う。そして私に田舎住まいの母はいない(笑)

 後、『公爵家に引き取られるのは私だったハズ』発言で尋問部屋(違)は冷凍庫と化した。私にも被害が及ぶのでやめろください。

 そして一通りの尋問が終わった後、お父さまが上記の台詞とともに差し出してきた物…

『ボルドウェル子爵令嬢・子女報告書』


 調べてたんですね…。
 …というか、何か報告書って感じしないんですけど? どっちかってーと日記みたくなってるんですが、この報告書書いた人大丈夫?

 …ってお兄さまおまえかよ!

 そっと目を逸らす兄の名が小さく報告者欄に書かれた物のその下の紙も同じような感じの内容で、アルノルトの名が刻まれている。もちろん弟も私と目を合わせない。

 報告書とは(半笑)

 あ、でも日付が古い物はちゃんとした物だった。学園内の報告のみ小学生の日記なので、マイブラザーズの仕業のようだ。






 どうやらアメリアは、母親と一緒におとんに離宮から放り出された後は子爵家の持つ領地へ封印(笑)されていたらしい。
 当主であるマリアンヌの父親はまともな人で、娘がやらかすたびに尻拭いしてきたようだが、流石にポーラス家うちを怒らせた事で愛想がつきたようだ。…子爵家が公爵家怒らせたら…そりゃそうなるわな…。
 だが、あの頃まだ幼児だったアメリアまで一緒に放り出すのは忍びない…けど、手元に置いておいてうちに何かされるのも怖い…という事での領地封印。その領地自体中央からかなり離れてて交通の便も悪いど田舎らしい。

「領地にいた頃の話はそこまで深く調べていない。まぁ結構わがまま放題してたようだが、他家の事だし、そもそもうちと関係なかったからね。で、数年してほとぼりが冷めたと思ったんだろう。孫だけタウンハウスへ呼び戻したようだ」

 娘はアレでも孫は可愛かったんだろう、と、パパンの解説が入る。

「だけど、学園で蔓延した噂は結構長いことうちで働いてた事になってるみたいだけど?」

 俺は一度も屋敷内で見たことないけどね、と兄がツッコむ。そりゃそうだ。私が引き取られる頃にはフェードアウトしとったでな。

「それに関しては、うちのセキュリティが強すぎたせいだ。本邸だけでなく、離宮に関しても警備は俺の管轄だからな。下手なヤツを入れることはないし、使用人たちもしっかりしてるから家内の情報を漏らすことはない」

 ナイスミドルさん仕事してたんですね!
 …しばかれた。何故わかったし。

「ボルドウェル元子爵令嬢を雇ったのはダニエラの連れてきた家令だよ。あの頃とにかく離宮に近づきたく無かったからね…ケルヴィンがあいつらを放り出したのも後から知ったよ…」

 パパン…あの頃私と全然関わり無かったもんねー。

「それと、うちには女主人が居ないからね。本来なら軽い茶会程度なら母親が子ども…特に娘を連れて出席して顔繋ぎしたりするんだよ。上手くすればいいところと縁が繋げるからね。でも…」

 うち、女手ないからねぇ、とのんびりいう父。

「まぁ、我が家は今はちょっと疎遠だけど元々王家と繋がりもあるし、私も割と有名だから顔繋ぎは必要ないんだよね。で、ノアの属性の事もあるし、ある程度の情報しか出してなかったんだよ。でも…」

 そのせいで、ノアの為人を知らないヤツらにこれ以上好き勝手言われるのは…業腹だよねーーー




 …あかん、パパン何気にガチギレしとるわ…
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