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やらかしながら進むのが人生だ

だから魔法は気合いだと…

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「前から言ってますけどね、魔法は気合いなんですよ」
「毎度言ってるが意味がわからん」

 毎度言ってるけどナイスミドルは黙って。

「特に身体強化に関してはイメージ力より気合いの方が重要になります。まぁ…もっと言葉を飾らずに言うとすれば…」

 今の連中騎士、根性足りんのですよ。

 平和な状況下で、己に降りかかる危険が無い生活。使えずとも『色』を持つ貴族である以上、死に物狂いで剣を振る必要もない。

「要は、『火事場の馬鹿力』的なモノを発動する機会が無いんですよ。ある程度のコントロールが出来れば『まぁいっか』で済む生活なので」

 動けなければ飢える。強化しなければ怪我をするかもしれない攻撃を受ける。

 生命を脅かされる毎日の中で、私は知らずに『魔法』を使えるようになった。

「だからってまぁ、使えなきゃ死ぬような状況になれ、とは言いませんけどね、せめて『絶対モノにする』くらいの『気概』と『気合い』は欲しいかな、と」

 説明を続けようとした私の口から出たのは『ぐぇっ』と言う声だけ。

 …皆に抱きつかれてベアハッグ食らってまた死にかけた。






「良いですか? ここです。ここに当てます。」
「はい、姐御!」

 その『姐御』ってやめない?

 黒い乗馬鞭を学生の腕に軽くペシペシする。

「段々強くします。コントロールは出来てますね? 魔力をこの部分に集中するように、その魔力で腕を保護するイメージですよ。籠手を嵌めている感じと思ってください。では行きます」

 少しずつ叩く強さを上げていく。思い切り引っ叩く一歩手前くらいまで耐えられた。

「前回より強度が出ましたね。上手くなってる証拠です。今後は強度より素早く思った所に展開できるようにする方向でいきましょうか。最終目標は全身に一気にできるように、です」

「はい!」

 部分的に硬化と言うか、保護できるようにする練習、部分的に強化して跳ぶとか走るとか重い物持ち上げるとかの練習…と、ちょっとずつやっていったおかげか、ほとんどの学生が身体強化を発動出来るようになった。

 そのせいで、騎士養成科で私は崇め奉られている。めっちゃやめてほしい。『女神』とか宣ったやつは影鞭(長い方)の餌食になった。大丈夫、ちゃんとポケットから出した風に装ったよ!
 それで安心していたら、何と言う事でしょう…いつの間にやら『姐御』と言う呼び方が定着していました…崩れ落ちました。


 ちなみにお兄さまは『アニキ』で、弟は『坊っちゃん』です。ここはどこの『組』デスカ…?



 騎士養成科の学生たちの『身体強化訓練』が割と順調に進んでいく中で、今まで『属性魔法』を発動出来なかったのに出来るようになった人が出てきた。
 最後まで身体強化が出来ず手こずっていた学生だったので、私はほぼつきっきりになっていた。で、コントロールが上手くなり、やっと身体強化出来て喜び勇んでいる彼を見て、つい出来心で

『目を閉じて指先に魔力を集めて。さて、蝋燭の火はどんな感じですか? イメージ出来ました? じゃぁ…着火!』



 私の合図が届いた瞬間、彼の指先に蝋燭のような炎が現れた。
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