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やらかしながら進むのが人生だ
サービス(S)の必需品は鞭だよね
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「はい、せいれーつ!」
「サーイエッサー!」
ザッ!と音を立てて私の前に並ぶ制服の少年たち。皆姿勢いいね。
私は黒い乗馬鞭を手のひらに当ててパシリパシリと音を立てながら彼らの前をゆっくりと歩く。
「さて、そろそろ効果が現れてきたと思いますけど、どうですか? そこの貴方」
鞭の先を一人の少年に向ける。
「はっ! 昨日、今まで越えることの出来なかった高さの柵を飛ぶことが出来ました!」
「よろしい。この調子でまずはやり易い部分から攻めていきましょう。では貴方は?」
「はっ! 自分はまだまだ発動出来ませんが、コントロールのコツがわかってきた気がします!」
「よろしい。小さな事からコツコツと、が大切です。このままいきましょう」
各個人ごとの成果に満足しながら今日の訓練を終える事を告げる。
「「「あざっした! またお願いします、姐御!」」」
…だからどうしてこうなった…。
最近コレしか言ってない気がするね!
パパン&兄弟のモンペーズによる学園蹂躙劇のせいで、私は何故か『新魔法開発と魔法強化』の資質がある、と誤解(?)され、日々魔法師養成科の面々に追い回されるようになった。
余りのしつこさに面倒くさくなって承諾する旨を伝えようと思っていた。
だがここで、以前教わることなく魔法を発動したアメリアも同様の能力があるのでは、と言われ、魔法師養成科はアメリアの取り込みにも乗り出しており、アメリア自身、すでに魔法師養成科の学生と交流があったらしく、乗り気だと言う話を小耳に挟んだ私は、あちらの要請を断固拒否する事を決めた。
絶っっっ対あいつには関わらんぞ。二度と!
そう決意を固め、毅然とした態度で断った。ついでにもうすでに一人講師役を確保してるんなら私いらんやん? という主張もしておいた。
後々、アメリアがコッソリ(?)と友人に、『やっぱり私がノアさまに嫌われてるから…講師としてお招きできなかったんですね…すみません』と、宣っていたとかなんとか…。
嫌ってるさ思いっきりな! むしろ嫌わない訳がない。キサマのせいで未だに私は『性格最悪暴力女』と思われとるからな! 性格に関しては否定はせんが、お前よりゃ万倍良いわ。
と、言うわけで突撃隣の魔法使い☆から解放されたと思ったら…
「「「お願いしますお願いします俺たちにお慈悲をーーー!!」」」
…今度は騎士養成科の学生連中に連日突撃されるハメになったのだーーー
魔法師と騎士の間に優劣はない。
プラネタリア王国軍では、戦場で魔法師が隙を作り騎士が直接攻撃を仕掛ける戦略が取られる場合が多いため、協力関係にある二つの立場に差が現れることは無い…建前上は。
だが、現実問題、貴族しか行使できない『魔法』を使える『魔法師』と、腕っ節さえあれば平民でもなれる『騎士』では…声高に言われることは無いが、確かな優劣が存在する。
貴族階級の『騎士』で、弱くとも『属性魔法』を発動できる者や、『身体強化』が使える者が多かった一昔前には昨今ほどの差は無かったようだが、戦場が遠くなった現在、『身体強化』も『属性魔法』もうまく使えない嫡子以外の男子が仕方なく『騎士』への道を進む…と言う、ある種の『掃き溜め』状態になっているせいで、余計に魔法師との差が開いてしまっているようだ。
「おぉ…めちゃくちゃ『躾』が行き届いてるな…」
「『躾』ゆーなクソお兄ちゃんめ」
「令嬢とは…」
言葉遣いくらい悪くなるわい。
騎士の卵どもは魔法師よりガタイがいい分非常に暑苦しい。危うく『影』で皆ポイポイしそうになっているところへ救世主登場! と、思いきや…ヤツらに泣き落とされて説得されおった。そして…あれよあれよと言う間に…講師役を引き受けるハメになってしまったのだった。
おのれ意志薄弱のクソお兄ちゃんめ…
「しょうがないだろー。騎士養成科は立場弱いんだから。力つけられるならつけてやりたいじゃん」
…断れんような言い方すんな。ちくしょう、結局私もお人好しだ。
「サーイエッサー!」
ザッ!と音を立てて私の前に並ぶ制服の少年たち。皆姿勢いいね。
私は黒い乗馬鞭を手のひらに当ててパシリパシリと音を立てながら彼らの前をゆっくりと歩く。
「さて、そろそろ効果が現れてきたと思いますけど、どうですか? そこの貴方」
鞭の先を一人の少年に向ける。
「はっ! 昨日、今まで越えることの出来なかった高さの柵を飛ぶことが出来ました!」
「よろしい。この調子でまずはやり易い部分から攻めていきましょう。では貴方は?」
「はっ! 自分はまだまだ発動出来ませんが、コントロールのコツがわかってきた気がします!」
「よろしい。小さな事からコツコツと、が大切です。このままいきましょう」
各個人ごとの成果に満足しながら今日の訓練を終える事を告げる。
「「「あざっした! またお願いします、姐御!」」」
…だからどうしてこうなった…。
最近コレしか言ってない気がするね!
パパン&兄弟のモンペーズによる学園蹂躙劇のせいで、私は何故か『新魔法開発と魔法強化』の資質がある、と誤解(?)され、日々魔法師養成科の面々に追い回されるようになった。
余りのしつこさに面倒くさくなって承諾する旨を伝えようと思っていた。
だがここで、以前教わることなく魔法を発動したアメリアも同様の能力があるのでは、と言われ、魔法師養成科はアメリアの取り込みにも乗り出しており、アメリア自身、すでに魔法師養成科の学生と交流があったらしく、乗り気だと言う話を小耳に挟んだ私は、あちらの要請を断固拒否する事を決めた。
絶っっっ対あいつには関わらんぞ。二度と!
そう決意を固め、毅然とした態度で断った。ついでにもうすでに一人講師役を確保してるんなら私いらんやん? という主張もしておいた。
後々、アメリアがコッソリ(?)と友人に、『やっぱり私がノアさまに嫌われてるから…講師としてお招きできなかったんですね…すみません』と、宣っていたとかなんとか…。
嫌ってるさ思いっきりな! むしろ嫌わない訳がない。キサマのせいで未だに私は『性格最悪暴力女』と思われとるからな! 性格に関しては否定はせんが、お前よりゃ万倍良いわ。
と、言うわけで突撃隣の魔法使い☆から解放されたと思ったら…
「「「お願いしますお願いします俺たちにお慈悲をーーー!!」」」
…今度は騎士養成科の学生連中に連日突撃されるハメになったのだーーー
魔法師と騎士の間に優劣はない。
プラネタリア王国軍では、戦場で魔法師が隙を作り騎士が直接攻撃を仕掛ける戦略が取られる場合が多いため、協力関係にある二つの立場に差が現れることは無い…建前上は。
だが、現実問題、貴族しか行使できない『魔法』を使える『魔法師』と、腕っ節さえあれば平民でもなれる『騎士』では…声高に言われることは無いが、確かな優劣が存在する。
貴族階級の『騎士』で、弱くとも『属性魔法』を発動できる者や、『身体強化』が使える者が多かった一昔前には昨今ほどの差は無かったようだが、戦場が遠くなった現在、『身体強化』も『属性魔法』もうまく使えない嫡子以外の男子が仕方なく『騎士』への道を進む…と言う、ある種の『掃き溜め』状態になっているせいで、余計に魔法師との差が開いてしまっているようだ。
「おぉ…めちゃくちゃ『躾』が行き届いてるな…」
「『躾』ゆーなクソお兄ちゃんめ」
「令嬢とは…」
言葉遣いくらい悪くなるわい。
騎士の卵どもは魔法師よりガタイがいい分非常に暑苦しい。危うく『影』で皆ポイポイしそうになっているところへ救世主登場! と、思いきや…ヤツらに泣き落とされて説得されおった。そして…あれよあれよと言う間に…講師役を引き受けるハメになってしまったのだった。
おのれ意志薄弱のクソお兄ちゃんめ…
「しょうがないだろー。騎士養成科は立場弱いんだから。力つけられるならつけてやりたいじゃん」
…断れんような言い方すんな。ちくしょう、結局私もお人好しだ。
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