他人の人生押し付けられたけど自由に生きます

鳥類

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人生の黒歴史は大体学生時代に生産される

『最悪』を『それなり』に

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「……だ…」

「っノア! 目が覚めたのか?!」

 いきなり耳元で叫ばんでもらえますかね、兄よ。ビビります。
 そして、声が掠れきってて出ないとはどう言う事だ。くそ、「知らなく…ないな、知ってる天井だ」って言いたかったのに。ここに来て初めて何ちゃって転生テンプレ出来ると思ったのに。
 それにしても何で私は寝てたんですかね。昨日お風呂に入った記憶が無……

「ノアーーーっ!!」

 バーーーン!! と、扉が吹っ飛ぶんじゃ無いかと言う勢いで開いたかと思ったら、今度は私が吹っ飛ぶんじゃ無いかと言う勢いでお父さまがタックルしてきた。ぐぇってなってちょっとあの世職員さんが見えた。

「お…お父さま…あの…私どうして…」

 カッスカスの声で何とか疑問を絞り出す。

「ノアがっ…三日も目を覚さないから…! 私は危うく学園を粉砕するところだったよ!」

 わぁバイオレンス☆

 そう言われて思い出した。そうだ、私はクソ女アメリアに会って…


 私は自分の中の酷く醜い救いようの無い闇抑えきれない程の殺人願望に気づいてパニックを起こしたんだーーー



 実際のところ、私はお綺麗な人間じゃ無いので、腹立つ奴が居たら「こんにゃろしばき倒したろか」と普通に考えるし、報復だってする。やられっぱなし? 泣き寝入り? 知らない子ですね。
 むしろある程度の発散は大事だと主張する。

 だって、それは、私の心を守るためでもあるのだから。

 私はここが、『試練の多いクソ人生』だと知っている。だから、次々と面倒事が降りかかってくるって事も。
 それに一々反応して、悲しんで、苦しんで…とかやってた日には身がもたない。闇落ち待った無しである。
 そして、大人だった記憶もある。だから、最初から感情のコントロールも出来たし、衝動をうまく発散させる事も出来た。

 こうして、私は私なりに頑張って来た。

 だって死にたくないし、死んだ後も消えたく無い。
 元々、私の辿る人生じゃ無い、押し付けられた人生だけど、この生を、何とか無難に生き切らなくては私に次は無いのだ。

 理不尽過ぎて気が狂いそうでも、それを飲み込めなくても、私に選択肢は無かったのだから。
 こんな事になった原因や周りを恨んで恨んで騒ぎ立てたとして、現状が変わるわけでも、誰かが救ってくれる訳でも無かったのだから。

 だから…今世での私の生き方が、『最善』じゃなくても、『最悪』じゃ無ければ…私は大丈夫なのだと。
 今世いまを乗り切れば救われるのだと。
 そう自分に言い聞かせて生きて来たのだ。

 『自分の感情』に鈍感になりながらーーー


 でも、あの時…あの女アメリアに会った時…

 私の中の『澱』が一気に膨張して、破裂したーーー


 …多分、誰も気づいていないだろうが、あいつの背後に影の槍が出た。そして…

 そのまま貫ける。あいつの心臓を。一撃でカタをつけられる。今ここでーーー

 私の中の『』が、そう囁いた。そして、『私』もそうすべきだと…思ってしまった。



 ーーー我に返って…怖くなった。
 『私』は『最悪』を回避できないかも知れない、とーーー


 どれだけ頑張っても…いずれ『最悪』の選択をしてしまうのかも知れない…と。
 『人の死』を望み、それを実行できる『力』を持つ私は、その『選択』を思い止まれるだろうか。これから先も、こんな事があるとしたら、『私の心』は耐え切れるだろうか。

 だったら…もう…終わりにしたい。
 もう、消えてもいい。

 だって…もう…疲れちゃったよーーー



 そんな、終わりを願った私の耳に、声が聞こえて来た。

 それは、お父さまの声だった。ゲイルさんの声だった。お兄さまの、アルノルトの、セバスチャンさんの…

 私を、呼んでくれる声。大丈夫だよって、教えてくれる声。私に、ここにいていいんだよ、って教えてくれる声。

 私が…『私』でいいんだよって…教えてくれる声ーーー






 『クソのような人生』押し付けてくれたどこの誰とも知らない最低女に管理義務を怠ったマヌケ職員さんたち。
 ここまででかなりぶん殴りたい気持ちMAXだけど、それでも、努力が報われてる事にも気づいたから。
 モデルケースでは影もカタチも無かった『居場所』が出来たから。

 『クソのような人生』を『それなりの人生』にできるよう、もうちょっと頑張ってみますよ。




 あ、でも、無事に転生管理課そちらへ戻った時には…一発殴らせてくださいね☆



ーーー
溜まりに溜まっていたモノが爆発しました。
間話挟んで次章へうつりますー。
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