他人の人生押し付けられたけど自由に生きます

鳥類

文字の大きさ
上 下
43 / 83
人生の黒歴史は大体学生時代に生産される

私何もしてないのにーーー!

しおりを挟む
「ちょっと! 聞いていらっしゃるの?! 無色のクセに生意気ですわ!」


 …あれ? おかしいな? 私、女性では最高位にいるはずなんだが…?

 何でわし、絡まれとるんでしょうか…?






「さて、ノア。君の属性色を公表するわけにいかない訳だが…学園に行くに当たって、何かしらの色を決めておこうと思う」

 お父さまが入学用の資料らしき物を私に見せる。

「ちなみに行かずに平民化するというのは……あっ、ハイ、冗談でっす!」

 ビシッ!っと敬礼しますよ! 凍死待った無しになりそうなので!

「ここで思いっきり『黒☆』って書きたい欲求がムクムクと…」
「要らんところで冒険しようとすんなアンポンタンが」

 すぱーん! とナイスミドルのツッコミがキマる。負けない。影モモンガを顔面に貼り付けておく。ふっ、もがくがいい。

「戯れてるところ悪いんだが話を続けるよ? で、どうする?」
「青以外の選択肢が無い気がするんですが」

 お父さまのスルースキルがツライ。そしてナイスミドルは私の頭にモモンガちゃんを乗せるんじゃありません。

「私が一応緑も持ってるからね。そちらでも良いが…」
「でも結局どれを持っていても発動できない設定ですからね。割とどーでも良いと言うか…もういっそ『色』を持ってない事にしたら良いのでは?」

 私の言葉に二人の眉が下がる。

「うーん…それなんだけどね…。『無色』も…それはそれでマズイというか…」


 『無色』と言うのは、その名の通り属性色を持たないことを言う。
 基本的に貴族は親や先祖から色を受け継ぐ。しかし、『色持ち』だからと言って、必ずその属性魔法が使えるかと言うと、そうでも無かったりするそうだ。

「あぁ、身体強化特化ナイスミドルさんみたいな」
「バカヤロウ使えるわ! …多少は…!」

 魔力も色も持っていても『発動・行使』出来ない貴族は割といるらしい。

「ただ、ここ数十年は戦も起きてないからね。特に発動できないからって問題になる事は無いんだよ。ただし…」

 『無色』の場合は違うーーー

「考えてごらん。『魔法』は『貴族』が『属性色』を受け継ぎ行使できる特別な力だ。魔力があれど、『色を受け継がず魔法を使えない』と言うのは…」

「………やっぱ平民になるっていうのは…?」
「「却下っ!!」」


 『平民と同じ』なんだから私が平民化すりゃ万事解決だと思うんだけどなぁ…。






 結局、一応『青』という事にしといたが、特に問われることもなく平和(?)に学生生活を続けて2年。
 割と真面目に勉強しながらひっそりコッソリ大人しく生活を継続していたためか、特に問題もなく過ごせていた。

 ーーーついこの間までは。


 今年、アルノルトが入学した。
 姉ちゃん気合い入れて入学準備手伝った。鬱陶しがられた。何でや。
 お兄さまも気合入れて保護者席に座っとった。在学生な上、ちゃんと保護者おるのに陣取ってる兄に、お父さまが困惑しとった。笑う。
 ちなみに私は入学式を影トカゲちゃんでリアルタイム視聴したった。ドヤァ…。

 アルノルトは魔法師養成科に入ったが、魔法師になりたい訳じゃなく、魔法の研究をしたいだけだ。なので、早々に『魔法研究会』というゼミに突撃した。ちなみに王子もいる。同僚街道まっしぐらである。
 だが、そこは『魔法師を養成する学科』なので、当然の如く、必須科目として実技がある。

 そこで、弟はやらかした。
 言われるままに放った『水球』が、他の人のモノより威力が強過ぎたのである。

 そして、一躍ヒーローとなってしまった。

 そうなると、兄の威厳というモノが問題となる。
 ポーラス家は『青魔法』の第一人者の家系だ。もしや弟の方が当主に相応しいのでは?! と騒ぎ始めた。所属が魔法あんま関係ない『騎士養成科』だしな…。

 おいおい、私何もしてないのに勝手に後継問題勃発しおったぞ…! 解せぬ…!

 で、ここでさらに兄がやらかした。
 騒ぎ立てる魔法師養成科に乗り込んで、そこにいる全員に『水弾』をぶっ放したのだ。
 素晴らしい威力と魔力コントロールに一同平伏した。

 で、後継問題は落ち着いたのだが…




 そのせいで、私に注目が集まってしまったのだーーー
しおりを挟む
感想 165

あなたにおすすめの小説

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。 けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。 そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。 ‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。 「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

処理中です...