他人の人生押し付けられたけど自由に生きます

鳥類

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人生の黒歴史は大体学生時代に生産される

処世術って大事じゃん?

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 べしゃっ! ドサドサッ! という派手な音が図書室内に響き、読んでいた資料から目を上げて音源の方へと顔を向けると、そこには金茶の髪をした少女が、床に座り込み涙目で辺りをうかがっているのが見えた。
 彼女は一瞬顔を顰めると、ノロノロと散らばった本を集め始める。

 うん、コケたの恥ずかしいよね。でも痛い方が辛いよなぁ…。

 私は席を立つと近場にある本を拾って彼女の元へと足を進めた。

「あの、お怪我はありませんか?」

 声をかけると顔に喜色を浮かべたが、私の姿を見てまた一瞬顔を顰めた。が、すぐに消えたから気のせいかもしれん。

「えっと、大丈夫です」

 私から本を受け取ると、そう一言だけ告げて、軽くスカートをはたき、そのまま奥の方へと歩いて行ってしまった。追及されたく無いもんね、わかる。

 可愛いけど…どっかで見たような…? と思ったが、特に興味もわかなかったからそのまま自分の席に戻って調べ物の続きに没頭した。



「待たせたな、ノア」

 どのくらい時間が経ったかわからないが、後ろから聞き慣れた声がした。

「お疲れさまです、お兄さま」

 お兄さまの学科はどうしても訓練が長引く事がある。そんな時に私はこうして図書館で調べ物をしたりして待っているわけだが…別々に帰ってもよくね?
 …まぁ、そう言ったら…『パパが迎えに行っちゃうよ?』と迫力のある笑顔で謎の脅しを受けた。解せぬ。ちなみに助けは無かった。

 『平民になります事件(私命名)』からこっち、公爵家の過保護っぷりがスゴイ…。

 たまにお外に連れて行ってくれてた庭師のおじいちゃんすら『今後姫さん連れて出たらわしの寿命がそこで終わるわぃ』と、冗談とも本気ともわからない事を言われてお出かけが不可能になったし、おじいちゃんズに会いに研究棟に行くのも禁止された。おじいちゃんズは文句言いながらうちに来るからあんまり関係ないけど。

 あの後…みんな私のこと心配してくれてるんだなぁ…と、ほっこりした。しかし…

 …嬉しいけど面倒くせぇ…(笑)

 …と、ちょっとくすぐったい気持ちを再確認していると…


「っきゃぁっ…!」
「うぉっ?!」

 ドスッ! とお兄さまの背中に誰かが突入した。

「ごっ…ごめんなさい! お怪我は?!」
「…いや、大丈夫だ。そちらは?」

 おぉ、お兄さまの外面モード(スーパークール)発動! 何度見ても慣れないわー。何なの? 無口無表情とか。無いわー。ただの脳筋だっつーの。

 それにしてもこの子さっきの子だわ。またフラつくとか怪我でもしたかね?

「あのっ…本当に申し訳ありませんでした! お詫びにお茶でも…」
「いや、俺たちはもう帰るから」

 兄、一刀両断かよ。一生懸命誘った女子の気持ち汲んだげて?
 …って、わぁ、すごいね。ほんの一瞬だけどすげぇ目で睨まれましたわー。
 なるほど、女子としての処世術が凄まじいタイプの方でしたかー。いや、別に否定はしないけどな。特に貴族社会ではより良い男をとっ捕まえるためになりふり構ってられない場合もあるだろうし。

「私は構いませんよ、お兄さま。もうしばらくここに居ますので」
「いや、今からノアと帰る」

 即答かよ。

 マッハで私の手を掴んで引っ立てていく兄に半ば引きずられるように図書館を後にした。



 …私カケラも悪く無いのにめっちゃ睨まれたんですけど?!
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