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人生の黒歴史は大体学生時代に生産される

滂沱、という言葉を使うの初めてです

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 いつか、ここを出ることになるだろうーーー

 初めてお父さまに面会し、アルノルトだけでなく、私も『娘』として受け入れてくださり…

 居場所ができた。

 『この世界』は、私にとって『厳しい世界』だ。
 そんな中で『私』が受け入れられた場所。
 『モデルケース』のまま進んだのでは決して得られなかった場所だ。

 だけど…私が『黒持ち』である以上…『居てはいけない』場所でもある。
 いずれ私の存在は隠し通せなくなるだろう。そうすれば、無用なトラブルを引き寄せてしまう。

 そうなる前に、『貴族籍』を捨てよう。

 大事な『家族』の負担にならないようにーーー






「ノ゛ア゛はっ…! やっばりわだじのごとは『パパ』だとみどめでぐれでながっだんだあぁぁぁーーーっ!!」


 …今まで生きてきて…多分前世合わせても…

 『滂沱』って表現、使った事なかったなー…

 目の前で号泣するお父さま…前後左右に助けてくれる人無し…。むしろ、全方向から非難の視線が刺さる。
 えぇ…どうしてこうなった…。

 私は…途方に暮れたーーー






 『王立ステーラ学園』
 プラネタリアの貴族社会への足掛かりとも言える場所である。

 …何故…私はここにいるんだろうなーーー

 遠い目をしながら廊下を歩く。
 理由は簡単だ。

 ーーー泣き落としに勝てなかったからだーーー






「お…お父さま…? えぇと…その…お父さまにはこれ以上無いほど良くしていただいて感謝しかありませんよ…?」

 別にここが嫌なわけじゃないんやでー。むしろ過分なほどで有り難みしか感じてないんやでー…と伝えてみる。

 うわっ、泣き声酷くなった。何でや。

「あの…魔法師系の学科に行かなくても…もし何らかの拍子に『黒バレ』しちゃったりしたら…色んな意味でヤバヤバじゃないですか」

 よくわからんがモデルケースでは確か学園入って属性バレするんだよな。んで、クソババァの不貞もバレて二重の意味でやべぇ事になったハズだ。いや、もうクソババァはエターナルグッバイ☆してるが、対外的に私の属性バレはしていない点はモデルケース通りだ。

 だったら、私が学園行かなきゃ公爵家安泰じゃん?

 まだ社交界デビューもしてないし、誰とも婚約とかしてないから、今フェードアウトしたところでポーラス家が非難されることは無いし。

 後、私的にも、今更学生生活とかしたくない。

 何か、前世で学生時代の思い出って黒いモノしかなかった気がするんだ。あれ、もしかして特定の年齢頃にかかると言われる病を患ってたのかな、前世の私。知らんけど。

 そもそも『学校』とかいうほぼ同年代の集団に入るってだけで、クソのような試練が来そうでマジ怖い。
 今の時点でモデルケースから大幅に外れ、公爵家ここの人たちともめちゃんこいい関係が築けてるのに、降りかかる試練という名の『いちゃもん』で、私だけでなく周りまで傷つけられるのだけは許せない。

「私のせいで…お父さまやお兄さま…ここの人たちみんなが…貶められるのは嫌なんです」

 だから…市井へ降ることを許してくださいーーー



「あ、でも許されるならたまに連絡だけはしても…ってうえぇぇぇぇえっ?!!」

 下げていた頭を上げた私の目に映ったのは…


 『滂沱の涙を流す』公爵家の面々の姿だったーーー
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