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人生の黒歴史は大体学生時代に生産される
いや、もう学生は結構です
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どどん、と限りなく立派で存在感ありありの門の前に立つ私。ちなみに表情は『無』だ。
「…諦め悪いなぁ、ノアは。ここまで来たんだ。腹括って楽しもうぜ?」
隣で呆れ顔を隠さず迷惑なことを宣う兄の足をこっそり影で固定する。つんのめってコケた。ザマミロ。しばかれた。理不尽。
ほらご覧なさい、周りの皆さんが三度見しましたわよ。淑女に手をあげるから!
「違うよ。無口無表情スーパークールで通ってるレイノルトの珍しい表情や言動が見られたからだよ」
マジで? 『クール(笑)』とか、無いわー。
と言うか…
「…おはようございます、殿下。ついでに今後二度と話しかけないで頂けますか」
本当、いきなり湧くな、この男。
しかしここで妥協は許されない。
お外で権力者と親交あるとか面倒事案件以外の何モノでも無いわ。
盛大につきたいため息を、理性を総動員してかみ殺し、私は門の中へ足を進めたーーー
「…ノア? コレはどういうことかな?」
お部屋が冷凍庫になりました☆
とかのんきに言ってる場合じゃないわ! 寒い寒い寒い!
「おおおお父さまっ…? ささっ…寒くて死んでしまいます!」
歯をガチガチいわせてる私を見てため息と共に冷気を収めてくださったお父さま。
私の目の前に置かれた、数枚の紙。見たことある…と言うか、私が頼んで集めてもらったモノだ。
「この用紙…求人募集で、どれも、住み込みで働けるところのモノだね…?」
これ以上無いほどにこやかーなお父さまだが…背後にブリザードが見えるっ…! っつーかさっき実際浴びたけど…!
「こここここれはですねぇっ…その…あの…えーっと…」
私は助けを求めて…
兄を見る。目を逸らされた。
弟を見る。めっちゃ不貞腐れとる。
ナイスミドルを見る。欠伸してやがる。
セバスチャンさんを見る。超笑顔。
援軍は来ない…
「あー…その…ですね。やはり、生活するにはお金が必要なので…?」
もうすぐ、お兄さまが『学園』に入学する。
そこは、貴族子息・子女であればほぼ例外なく通う。
内容としてはいわゆる『社交』の予行演習…と言うか同じ年代の横のつながりを作る事と、分野別の高等教育、というところだ。
基礎部分はそれまでに家庭で修めているので、『家族以外の他人』が居なければ出来ない部分を履修していくことが主な目的だ。
ちなみに兄は『領主教育系』の学部では無く『騎士養成系』へ進学する。
マジかよ公爵家次期当主…。
ま…まぁ、兄の進路はともかく、早い話が学園に通い、卒業するのが、『プラネタリアの貴族として生きていく』ために、必要な『箔付け』である、ということだ。
で、ここで話が『求人広告』に戻る訳だが…
ここへ転生してくる前、教えてもらったことを私はちゃんと覚えている。
『魔法を行使出来るのは貴族だけ』だということをーーー
裏を返してみれば、『魔力』や『属性』と言ったモノが重要視されるのは『貴族のみ』ということだ。
とどのつまり…
平民に『黒』の差別意識は存在しないのだーーー
そりゃぁ、『何か不吉らしいっすね』くらいの認識はあるだろうが、要は『無関心』なのだ。大っぴらに使わなければ無問題。
つまり…私の平穏がそこにあるかもしれない。
『貴族』として学園に行く前にフェードアウトすれば…。
「…と、いう訳で…平民になろうかな☆って」
「…諦め悪いなぁ、ノアは。ここまで来たんだ。腹括って楽しもうぜ?」
隣で呆れ顔を隠さず迷惑なことを宣う兄の足をこっそり影で固定する。つんのめってコケた。ザマミロ。しばかれた。理不尽。
ほらご覧なさい、周りの皆さんが三度見しましたわよ。淑女に手をあげるから!
「違うよ。無口無表情スーパークールで通ってるレイノルトの珍しい表情や言動が見られたからだよ」
マジで? 『クール(笑)』とか、無いわー。
と言うか…
「…おはようございます、殿下。ついでに今後二度と話しかけないで頂けますか」
本当、いきなり湧くな、この男。
しかしここで妥協は許されない。
お外で権力者と親交あるとか面倒事案件以外の何モノでも無いわ。
盛大につきたいため息を、理性を総動員してかみ殺し、私は門の中へ足を進めたーーー
「…ノア? コレはどういうことかな?」
お部屋が冷凍庫になりました☆
とかのんきに言ってる場合じゃないわ! 寒い寒い寒い!
「おおおお父さまっ…? ささっ…寒くて死んでしまいます!」
歯をガチガチいわせてる私を見てため息と共に冷気を収めてくださったお父さま。
私の目の前に置かれた、数枚の紙。見たことある…と言うか、私が頼んで集めてもらったモノだ。
「この用紙…求人募集で、どれも、住み込みで働けるところのモノだね…?」
これ以上無いほどにこやかーなお父さまだが…背後にブリザードが見えるっ…! っつーかさっき実際浴びたけど…!
「こここここれはですねぇっ…その…あの…えーっと…」
私は助けを求めて…
兄を見る。目を逸らされた。
弟を見る。めっちゃ不貞腐れとる。
ナイスミドルを見る。欠伸してやがる。
セバスチャンさんを見る。超笑顔。
援軍は来ない…
「あー…その…ですね。やはり、生活するにはお金が必要なので…?」
もうすぐ、お兄さまが『学園』に入学する。
そこは、貴族子息・子女であればほぼ例外なく通う。
内容としてはいわゆる『社交』の予行演習…と言うか同じ年代の横のつながりを作る事と、分野別の高等教育、というところだ。
基礎部分はそれまでに家庭で修めているので、『家族以外の他人』が居なければ出来ない部分を履修していくことが主な目的だ。
ちなみに兄は『領主教育系』の学部では無く『騎士養成系』へ進学する。
マジかよ公爵家次期当主…。
ま…まぁ、兄の進路はともかく、早い話が学園に通い、卒業するのが、『プラネタリアの貴族として生きていく』ために、必要な『箔付け』である、ということだ。
で、ここで話が『求人広告』に戻る訳だが…
ここへ転生してくる前、教えてもらったことを私はちゃんと覚えている。
『魔法を行使出来るのは貴族だけ』だということをーーー
裏を返してみれば、『魔力』や『属性』と言ったモノが重要視されるのは『貴族のみ』ということだ。
とどのつまり…
平民に『黒』の差別意識は存在しないのだーーー
そりゃぁ、『何か不吉らしいっすね』くらいの認識はあるだろうが、要は『無関心』なのだ。大っぴらに使わなければ無問題。
つまり…私の平穏がそこにあるかもしれない。
『貴族』として学園に行く前にフェードアウトすれば…。
「…と、いう訳で…平民になろうかな☆って」
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