他人の人生押し付けられたけど自由に生きます

鳥類

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人生山あり谷あり砂丘あり

《君が見せてくれる世界》

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  《レイノルト視点》


 今日も今日とて無茶苦茶な畑仕事を終えた俺たちは、ノアの部屋で寛いでいる。何故ノアの部屋かと言うと…こいつの部屋にはおやつが常備されてるから。
 チビの頃から収穫した作物を持ち込んでいるせいで、うちの料理人は全員ノアを可愛がっている。顔を見ればおやつを渡すくらいに。
 今日もフィナンシェを大量にもらっていた。

「うぅ~~ん…」

 そしてその当人は先程から何故かずっと唸っている。

「便秘?」
「便秘か?」
「便秘ですか?」

 アルノルトだけかと思ったら、ゲイル師匠ともハモった。
 うぉっ! 鞭とんできた! あっぶね!
 俺と師匠は避けたがアルノルトは巻き巻きされている。

「「いってぇ!!」」

 油断していたら俺たちもしばかれた。くそ、今日も惨敗だ。未だ床をピシピシしている鞭から距離を取る。

「淑女に向かって何たる言い草ですか」

 ジト目で俺たちを見るノア。

「お前だって父上に言ってたろう?」

 淑女(笑)じゃんか。もう一発しばかれた。何でだ。

「で? 何で唸ってたんだ?」

 師匠が軌道修正した。ついでに菓子も貪り食べている。
 ノアはさりげなく菓子の乗った皿を自分の方へ寄せながら口を開いた。

「今日、研究棟へおじいちゃんズその3さまのご機嫌伺いに行ったのです」

 待て、ツッコミが追いつかない。
 勝手に出かけたのもだが、『おじいちゃんズその3』も気になる。何番まで居るんだ? 後、ご機嫌伺いって…?

「トーレ殿は具合が悪いのか?」

 えっ?! 師匠アレで誰かわかるの?! すごっ!

「いえ、ご病気とかじゃなく…階段から落ちて腰を強打されたらしく…」
「あぁ~…年取ってからの怪我は長引くしなぁ…。年齢的にも気をつけてもらわないとな…」

 確かに年寄りに階段は辛いよなぁ…

「いやいや、先日私の作った影物質が、独立した状態でどの程度保つか、という研究で、耳かき作って預けたんですけど…どうも研究棟を訪れた殿下に見せびらかして…追いかけっこしてるうちに落ちたらしいです」

 だからツッコミが追いつかない!

「で、面会の許可を得るため事務局へ行った際にですね、お名前を告げた時、私の背後にいらした方が…」

 ーーー…黒持ち何ぞに何故会いに行く? 穢らわしい。其方も呪われてしまうぞ?

「と、ご丁寧に宣いくさりやがりましたの」

 言葉遣いがヤバい。

「穢らわしい~? 私なんぞマジモンの黒の魔法使いですが何か? 呪いはできんけど、今てめぇをしばき回す事は出来るんやぞ? って危うく口をついて出るところでしたわー」

 ちなみにちょろっと影は動きました。危ない危ない☆じゃ無いんだよお前本当短気だな!

「で、ですね。私、自分の色が一般的にとんでも無く忌避されるモノなんだと…改めて気付かされたんですよ」

 ここでは…誰も私を嫌わないから忘れてたんですよねーーー

 優しい世界に浸りすぎでした…と、悲しげな笑顔を浮かべるノアに…何と言葉をかければ良いのかわからなかった。



 最初の頃、使用人たちも料理人も、顔には出さなかったがノアを恐れていた。いつ、呪われてしまうのか。いつ、危害を加えられるのか…と怯える毎日。

 それは…幼い頃の俺も同じだったーーー

 だが…楽しそうに畑仕事をする姿や、影を操ってアルの世話や、率先して手伝いをする姿、それ以上に…

 幼児でありながら…周りに気を遣わせないよう立ち回るその姿に…皆、己の間違いを自覚したのだーーー



「ま、別に良いんですけどね。私は私なりに我が道を爆走するんで!」

「いや、ちょっとは自重しろ」



 いつか、何の憂いもなく、ノアがノアらしく生きられる世界がきっと来る…と言うか…

 きっと君は、自分で切り開くだろう。

 その日が来るまで、ずっと見ていたいなぁーーー
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