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人生山あり谷あり砂丘あり
ぐっばいまざー
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「えんやこーらやっと どっこいじゃんじゃんこーらやー」
サクッ…サクッ…と鍬の音がリズミカル。中々腰が入ってきましたな。農業従事者としてのスキルアップ、喜ばしい。
「うーーん…今度は何を植えるべきか…」
ここ最近、育てられる野菜の種類も増えてきた。食卓に彩りが増し、おかげでアルノルトも野菜好きに育っている。
「~~っ! むっ…無視するなぁぁぁぁっ!!」
…よし、大根にするかぁ。
公爵さま改め、お父さまと面会して、正式にポーラス公爵家の子どもとして引き取られることになった。
驚いたのは、出生を届けていた私はともかく、アルノルトも次男としてすんなり引き受けられた事だ。
今回の事に関わっている一部お偉方には、私たちがお父さまの血を引いていない事はきちんと伝えられ、余程のことがない限り後継としての権利は有さないよう手続きがなされた。
そして…
「どうして?! この子はあなたの子よ!…この子こそ後継ぎとして相応しいわ!」
バカだバカだと思っていたクソババァは…本格的に残念バカだった☆
お父さまは、私たちを引き取る手続きをちょっぱやで済ませると、それと共に離縁の申し付けをするためにアルノルトを抱いて離宮へと足を運んだ。
ちなみにヤツが住み始めて初めての離宮訪問だそうです☆
アルとお父さまを見たオバさんは、満面の笑顔を浮かべ、使用人の皆さんに荷造りを命じた。どうも本邸へ迎えられると思ったらしいよ。うーん、残念っ!
ところが現実は無情、離縁、そして自国への強制送還通達だ。
オバさんはもちろん、周りにいた執事氏や侍女さんたちも全員ぽかーーんとした。あぁいう顔は大体同じ感じになるんだな(笑)
私たちがお父さまの子では無い事…要はオバさんの不貞による離縁であると突きつけ、早急に出て行くよう伝えたところで…さっきの発言だ。
「いや、しこまれてないのになにいってんだこのオバさん」
思わず口をついて出た。マッハでナイスミドルにしばかれた。何でや。お父さまの顔も引き攣っている。笑う。
「何ですって?! 何なのこの無礼な子どもは!」
いや、お前の娘だよ。っつーか本気で私の存在忘れてんのかい。記憶力鳥以下か。
またも喚きだしたオバさんは、相変わらずアルノルトは公爵家の血を引いていると繰り返す。まぁ、確かに『公爵家』の血は引いてるがな。
いい加減黙れよ。お父さまは呆れ返ってるし、隣のナイスミドルが殺気を放ち始めたから。
「ご覧なさい、アルノルトの瞳は旦那さまと同じ、薄氷色! 紫青の瞳のあの子より相応しいに決まってるわ!」
うぉっ! お父さまからリアル冷気が噴き出した!
「…早急に荷物をまとめ、ここから出て行け。あぁ、国から連れてきた使用人たちも連れて行けよ」
わぁすごぉい魔法だわークソババァの足元凍ってるぅ。他人さまの魔法が行使されるの初めて見たわーテンションあがるー。
魔法にビビりながらも果敢(?)にアルノルトを推すオバさん。根性だけは認めなくも無いが、室内温度は下がる一方だ。そろそろやめろ。寒い。
そして初めて見る『魔法らしい魔法』にワクテカしてる私に可哀想なモノを見る目を向けるナイスミドル。何でや。
「二度は言わない。期日は今週中まで。週が変わってもまだ居座るようなら騎士団を動かす」
お父さまは、氷より冷たい視線をオバさんたちに浴びせると、アルノルトをあやしながら踵を返した。私はナイスミドルに手を引かれて後に続く。
その背をクソババァの罵声が追いかけてくるが、誰も相手にしない。そりゃそうだ。面倒くさいもんな。
モデルケースから大幅に早まった、今世の『母』との決別。
彼女は、一度も私を『娘』と呼ばなかったーーー
サクッ…サクッ…と鍬の音がリズミカル。中々腰が入ってきましたな。農業従事者としてのスキルアップ、喜ばしい。
「うーーん…今度は何を植えるべきか…」
ここ最近、育てられる野菜の種類も増えてきた。食卓に彩りが増し、おかげでアルノルトも野菜好きに育っている。
「~~っ! むっ…無視するなぁぁぁぁっ!!」
…よし、大根にするかぁ。
公爵さま改め、お父さまと面会して、正式にポーラス公爵家の子どもとして引き取られることになった。
驚いたのは、出生を届けていた私はともかく、アルノルトも次男としてすんなり引き受けられた事だ。
今回の事に関わっている一部お偉方には、私たちがお父さまの血を引いていない事はきちんと伝えられ、余程のことがない限り後継としての権利は有さないよう手続きがなされた。
そして…
「どうして?! この子はあなたの子よ!…この子こそ後継ぎとして相応しいわ!」
バカだバカだと思っていたクソババァは…本格的に残念バカだった☆
お父さまは、私たちを引き取る手続きをちょっぱやで済ませると、それと共に離縁の申し付けをするためにアルノルトを抱いて離宮へと足を運んだ。
ちなみにヤツが住み始めて初めての離宮訪問だそうです☆
アルとお父さまを見たオバさんは、満面の笑顔を浮かべ、使用人の皆さんに荷造りを命じた。どうも本邸へ迎えられると思ったらしいよ。うーん、残念っ!
ところが現実は無情、離縁、そして自国への強制送還通達だ。
オバさんはもちろん、周りにいた執事氏や侍女さんたちも全員ぽかーーんとした。あぁいう顔は大体同じ感じになるんだな(笑)
私たちがお父さまの子では無い事…要はオバさんの不貞による離縁であると突きつけ、早急に出て行くよう伝えたところで…さっきの発言だ。
「いや、しこまれてないのになにいってんだこのオバさん」
思わず口をついて出た。マッハでナイスミドルにしばかれた。何でや。お父さまの顔も引き攣っている。笑う。
「何ですって?! 何なのこの無礼な子どもは!」
いや、お前の娘だよ。っつーか本気で私の存在忘れてんのかい。記憶力鳥以下か。
またも喚きだしたオバさんは、相変わらずアルノルトは公爵家の血を引いていると繰り返す。まぁ、確かに『公爵家』の血は引いてるがな。
いい加減黙れよ。お父さまは呆れ返ってるし、隣のナイスミドルが殺気を放ち始めたから。
「ご覧なさい、アルノルトの瞳は旦那さまと同じ、薄氷色! 紫青の瞳のあの子より相応しいに決まってるわ!」
うぉっ! お父さまからリアル冷気が噴き出した!
「…早急に荷物をまとめ、ここから出て行け。あぁ、国から連れてきた使用人たちも連れて行けよ」
わぁすごぉい魔法だわークソババァの足元凍ってるぅ。他人さまの魔法が行使されるの初めて見たわーテンションあがるー。
魔法にビビりながらも果敢(?)にアルノルトを推すオバさん。根性だけは認めなくも無いが、室内温度は下がる一方だ。そろそろやめろ。寒い。
そして初めて見る『魔法らしい魔法』にワクテカしてる私に可哀想なモノを見る目を向けるナイスミドル。何でや。
「二度は言わない。期日は今週中まで。週が変わってもまだ居座るようなら騎士団を動かす」
お父さまは、氷より冷たい視線をオバさんたちに浴びせると、アルノルトをあやしながら踵を返した。私はナイスミドルに手を引かれて後に続く。
その背をクソババァの罵声が追いかけてくるが、誰も相手にしない。そりゃそうだ。面倒くさいもんな。
モデルケースから大幅に早まった、今世の『母』との決別。
彼女は、一度も私を『娘』と呼ばなかったーーー
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