他人の人生押し付けられたけど自由に生きます

鳥類

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試練の多い人生を歩むらしい

言質取ったぜ!

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「はじめましてこうしゃくさま。ほんじつはおじかんいただきかんしゃいたします」

 ゲイルに促されて初お目見えの公爵閣下にご挨拶。
 確か貴族令嬢はカーテシー?ってのをするんだった気がするけども、そんな教育は受けておりませんので普通に頭下げます。細けぇことは気にすんな。

 幼児の身体に礼は割と辛いので早々に顔を上げれば、困惑を前面に押し出した表情で固まっている美形がいたーーー






「…お前は…! いらない子なんかじゃねぇ…!」

 何気に涙声のナイスミドルの胸に埋まる私。うぉぉギブギブそれ以上力入れたら私と弟の口から出てはならないモノが出ちゃうから! ストップ! ヘルプ!
 タップしても緩まなかった腕は、アルノルトのギャン泣きで外れた。よくやった弟よ。

「でも、オバさ…おかあさんは、むすめはいらないっていったよ」
「お前もうオバさんで統一しろよ」

 あの女自分の娘にそんな事言いやがったのか…と怒気を滲ませるナイスミドル。言われた本人は特に気にしてなかったりするんだ。何かごめん(笑)
 でも、私のために怒ってくれるのはちょっと嬉しい。

「それでね、これからのことなんだけど、アルノルトつれてきちゃったでしょ? さわがれるのもめんどうだし、わたしがおせわしますってみとめさせてほしいの」

 あ、後ここにちゃんと私たち用の食料運んできてください。
 毎度離宮に調達に行くの面倒くさいんで。

 よろしく☆って敬礼しながらウィンクしてあげたのに、ため息つきながら

「…自分で頼め…」

 って言われちゃったよ。何でよ。面倒事押し付けようと思ったのに。
 でもまぁ公爵さまに会わせてもらえるのはありがたい。しっかり言質取らねばね、今後のためにも。
 よーし、と気合を入れ直していると、ふと思い出した。そうだそうだ、聞いておかなきゃいけない事があったんだったわ。

「そうそう、わすれるところだった。ねぇ、あなたのおなまえはなんていうの?」
「ものっすげぇ今更な質問だな。まぁいい。俺はゲイルだ。ゲイル・カシオーぺ」
「おぉ、なんかしっくりきますな」

 ナイスミドルは名前もナイスな感じだわ。

「そう言うお前は? 人に聞いたんだからお前も名乗れよ」

「ないよ。だってなまえなんてもらってないもん」

 またベアハッグくらった。解せぬ。






「お前が…ダニエラの娘か」

 誰だよダニエラ。ババァの名前か? 知らねぇわ。とりあえず何となく頷いておく。と、頭をしばかれた。くそ、なんでバレたし。ナイスミドルの分際で。

「…ゲイル…?」

 ほら見ろ公爵さまが戸惑っていらっしゃるだろうが。

「気にするな。この程度ではコイツはへこたれん」

 マジかお友達かよ。実は結構偉い人なんですかゲイルさん? ちょっと対応変えなきゃいけませんかね?

「ゲイルさま。今は一応公式の場と言って良いはずです」
「すみませんでした」

 はっや! 変わり身はっや! そして執事さんすごっ! 尊敬します! セバスチャンって呼んで良いですか?!

「…えぇと…ダニエラさんっていうのが、りきゅうのおくさまのことですか…? もしそうなら、はい、わたしたちがあのひとのこどもです」

 今日も今日とて影バンドでアルノルトをおんぶしてますよ。幼児on幼児。

「それで、きょうはおねがいがあってきました」
「…何だろうか…」

 戸惑いつつもちゃんとお返事くれる公爵さま優しい。

「あのおやしきで、わたしとアルノルトがくらせるように、しょくりょうのきょうきゅうと、アルノルトのきょういくをよろしくおねがいします。ついでに、わたしがじりきでいきていけるようになるまで、えんじょときょういくのきかいをください」

 食料はもちろん大事だけど、この国で自活していくには知識が要る。教育大事。知識なしで放り出されちゃたまらんからね。

「…あー…その…うーん…。まぁ…了解した」

 よっし、言質取ったぜ!
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