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試練の多い人生を歩むらしい
私と弟と黒魔法とナイスミドル
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「…つまり…何だ…。その子はその…離宮から連れてきたって事か…?」
「うん。すんごいないて、なきやまないからだーれもめんどうみなくなってたからつれてきたの」
ミルクを飲ませた後にゲップをさせ、またも影バンドを使っておんぶする。身体強化をかけて揺すりつつ歩けば、ご機嫌にきゃっきゃと声を上げる弟のお尻をぽんぽんしてやる。
ナイスミドルは頭を抱えたかと思えばガリガリ掻きむしったり、忙しい。だからハゲるよ?
「…もはやどこからツッコめばいいのかすらわからねぇ…!」
ご苦労さまです?
「…とりあえず…まずは魔法について聞かせてくれ…」
一気に老け込んだ気がするナイスミドルが、絞り出すように言葉を発した。属性についてまではわかってたもんね。比較的とっつきやすそうな(?)ところから攻めていこうとするその姿勢、嫌いじゃないぜ。
「うーんとね、くろのまりょくがてのひらからモヤモヤーってでてきたから、かげにえいっ!ってしたらね、うごかせたの」
「…まっっっったく理解できねぇ!」
うがーーーっ!っと叫ぶナイスミドル。仕方ないなぁ、実演してやろう。
「あのね、こんなかんじ」
私は手のひらから黒いモヤを出すと、ナイスミドルの足元へ行き、そこにできている影へと触れた。そして、よいしょ、とばかりにその影を掴んで引っ張れば、黒いゴムバンドのようにびよーーん、と伸びた。
「~~~っ?!?!」
思わずと言った風情で足を床から持ち上げるナイスミドル。だが影はそこに残ったままだ。何故なら私の管理下に置かれた影は、すでに別の存在になっているからだ。
「あのね、『くろ』のまほうは、『かげ』のまほうなんだよ」
「…な…なるほど…?」
目を白黒させたまま、無理やり納得したナイスミドル。その心意気、嫌いじゃないぜ。
「理解できたかどうかと言われたら、多分理解できてないと思うが、とりあえず魔法については了解した。と、言う事で次の問題だ」
そう言うと彼は私の背中に視線を送った。
「このこはアルノルトっていうんだって。りきゅうのオバさ…じゃなかった、おくさまのこども」
「お前今思いっきり『オバさん』っつっただろ」
ちょっとした言い間違いはスルーでお願いします。
「やっぱりか…。って事は…」
「うん。わたしのおとうとだよ」
私の言葉にナイスミドルは驚愕の表情を浮かべてこちらへと顔を向けた。
あれ、知らないと思ってたのかな? まぁそうかも。マリアンヌの私への扱いを見てれば高貴な生まれだなんて考えもしないだろうし、この人も私を『お嬢さま』として扱ったこと無いもんな。
「あのひとが、わたしのおかあさんなんでしょ?」
一回しか会った事ないけどな。
「そして…わたしは、いらないこなんだよね?」
アルノルトは、私が拉致ってくるまではちゃんと離宮にいた。育児放棄されてたのは同じだけど。
でも、ちゃんと名前を呼ばれ、『公爵家の子ども』として扱われていた。
男の子だったから。後継ぎ候補として使い道があるから。
反吐が出る理由だけど、存在意義を持ってるんだ。
まぁそんな事はどうでもいいから、何はともあれ公爵さまに会わせてくれないかなぁ。私が自力で生きていけるようになるまで養います、って言質取りたいだけなんだけど。あ、後、弟をちゃんと養育する約束もな。あのババァには任せておけん。
それに、『公爵令嬢』とかマジ面倒くさそうだから遠慮したいのが本音なんだよねー。モデルケースにもあったけど、勝手に婚約者とか決められたくないし。
どうせ一種類、しかも表に出せない属性しか無いわけだから、下手に血を繋がない方が平和じゃない? そもそも、モデルケースの方は何で結婚させようと思ったんだろな? 厄介払いか?
…考え事してたら何故かナイスミドルに抱きしめらました。
ぐえっ、ってカエルが潰れたような声が出たけど仕方ないよね。
「うん。すんごいないて、なきやまないからだーれもめんどうみなくなってたからつれてきたの」
ミルクを飲ませた後にゲップをさせ、またも影バンドを使っておんぶする。身体強化をかけて揺すりつつ歩けば、ご機嫌にきゃっきゃと声を上げる弟のお尻をぽんぽんしてやる。
ナイスミドルは頭を抱えたかと思えばガリガリ掻きむしったり、忙しい。だからハゲるよ?
「…もはやどこからツッコめばいいのかすらわからねぇ…!」
ご苦労さまです?
「…とりあえず…まずは魔法について聞かせてくれ…」
一気に老け込んだ気がするナイスミドルが、絞り出すように言葉を発した。属性についてまではわかってたもんね。比較的とっつきやすそうな(?)ところから攻めていこうとするその姿勢、嫌いじゃないぜ。
「うーんとね、くろのまりょくがてのひらからモヤモヤーってでてきたから、かげにえいっ!ってしたらね、うごかせたの」
「…まっっっったく理解できねぇ!」
うがーーーっ!っと叫ぶナイスミドル。仕方ないなぁ、実演してやろう。
「あのね、こんなかんじ」
私は手のひらから黒いモヤを出すと、ナイスミドルの足元へ行き、そこにできている影へと触れた。そして、よいしょ、とばかりにその影を掴んで引っ張れば、黒いゴムバンドのようにびよーーん、と伸びた。
「~~~っ?!?!」
思わずと言った風情で足を床から持ち上げるナイスミドル。だが影はそこに残ったままだ。何故なら私の管理下に置かれた影は、すでに別の存在になっているからだ。
「あのね、『くろ』のまほうは、『かげ』のまほうなんだよ」
「…な…なるほど…?」
目を白黒させたまま、無理やり納得したナイスミドル。その心意気、嫌いじゃないぜ。
「理解できたかどうかと言われたら、多分理解できてないと思うが、とりあえず魔法については了解した。と、言う事で次の問題だ」
そう言うと彼は私の背中に視線を送った。
「このこはアルノルトっていうんだって。りきゅうのオバさ…じゃなかった、おくさまのこども」
「お前今思いっきり『オバさん』っつっただろ」
ちょっとした言い間違いはスルーでお願いします。
「やっぱりか…。って事は…」
「うん。わたしのおとうとだよ」
私の言葉にナイスミドルは驚愕の表情を浮かべてこちらへと顔を向けた。
あれ、知らないと思ってたのかな? まぁそうかも。マリアンヌの私への扱いを見てれば高貴な生まれだなんて考えもしないだろうし、この人も私を『お嬢さま』として扱ったこと無いもんな。
「あのひとが、わたしのおかあさんなんでしょ?」
一回しか会った事ないけどな。
「そして…わたしは、いらないこなんだよね?」
アルノルトは、私が拉致ってくるまではちゃんと離宮にいた。育児放棄されてたのは同じだけど。
でも、ちゃんと名前を呼ばれ、『公爵家の子ども』として扱われていた。
男の子だったから。後継ぎ候補として使い道があるから。
反吐が出る理由だけど、存在意義を持ってるんだ。
まぁそんな事はどうでもいいから、何はともあれ公爵さまに会わせてくれないかなぁ。私が自力で生きていけるようになるまで養います、って言質取りたいだけなんだけど。あ、後、弟をちゃんと養育する約束もな。あのババァには任せておけん。
それに、『公爵令嬢』とかマジ面倒くさそうだから遠慮したいのが本音なんだよねー。モデルケースにもあったけど、勝手に婚約者とか決められたくないし。
どうせ一種類、しかも表に出せない属性しか無いわけだから、下手に血を繋がない方が平和じゃない? そもそも、モデルケースの方は何で結婚させようと思ったんだろな? 厄介払いか?
…考え事してたら何故かナイスミドルに抱きしめらました。
ぐえっ、ってカエルが潰れたような声が出たけど仕方ないよね。
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