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試練の多い人生を歩むらしい

魔法無双ヒャッハーー!してみたかった気もする

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 ヒャッハーーーー! は無理だが、私の魔力はそこそこ多いらしい。
 そして、一般的に自身の魔力を感じ取り、コントロールするための学習を始めるのは…

 ちゃんと意思疎通ができるようになる3歳頃からなんですってよ。






「…まりょく…?」

 思わず首を傾げてしまった。いや、魔力ある世界ってのはもらった知識の中にありますけども。操作方法どころか、魔力感じた事も無いですけども。

「…無意識か…! お前、どんな生活…いや…そうか…」

 ガリガリと後頭部を掻きむしりながら小声でブツブツ言うオッサン。見た目も相まって不機嫌マックスっぽい。怖ーい(棒)
 何はともあれ恵みの食料いただきましょ。何やらお悩み中のオッサンは放置の方向で。
 今日もふっかふかなパンをもぐもぐして幸せに浸っている私の頭上からオッサンの声が降ってくる。

「…あー…その…だな。お前…魔力…魔法って…わかるか?」

 知識として知っているが、ここで実際魔法を見たことは無いので首を横に振る。ちなみにこの世界、魔法あるけど日常生活で使ったりしないのだ。

 実のところ、この世界の『魔力・魔法』の認識は割とクセモノだ。何故なら

 魔力を魔法として発動できるのはこの国の人間だけなのだ。

 この国…プラネタリア王国は国土の約半分を森と山脈に囲まれた小さな国だ。他の隣接している国はほぼムーンライ帝国下にある。
 転生前にもらった知識の中に、『この世界の住人は皆魔力を持っている』と言うのがある。だが、この魔力に『属性』と言う色付けがされ、それを行使できるのは…

 このプラネタリアの血統を持つ貴族のみなのだ。

 だからこそ、この国は国土が小さいにも関わらず、帝国からの侵略を免れているのだ。

 もちろん、この国の貴族でも、魔法無双的な使い方が出来る者は居ないのだが、例え一属性で、そこまで威力が無かろうとも

『魔法という未知の技を使える』というだけで脅威となる。

 何もない所へいきなり火の玉が湧いて出たら、それがどんなに小さな物であっても、理解の埒外なら恐怖の対象となる。
 他国はこの『魔法』について調べようとスパイを送り込んできたりしているが…結局のところ確固たるモノを掴みきれないらしい。
 と言うか、多分プラネタリアの貴族たちだってわかってないと思う。何故なら、属性持ちの人間が他国へ嫁いでそこで子をなしても、その属性は受け継がれないから。

 まぁ何にしても、結局よく分からんし、私にゃ関係ない事だから深く聞いてこなかったんですけどね(笑)

 パンを食べ終わり、服に落ちたパンくずをはたき落としても、まだオッサンはブツブツ言いながらも己の世界に浸っている。言いたいことあるなら早よ言えや、とちょっとイラッとしたが、よく考えれば私は幼児なのである。うっすらと大人だった記憶はあるが、そんなのは見ただけでわかるもんではない。だとすれば…

 乳離れしたばっかの赤子に魔力講義。無理ゲーである。

 どこをどうやっても解決の糸口が見つからない。オッサン、ご愁傷様である。

「~~っ! お前は! 今! 魔力を使ってんだ!」

 …ついにヤケを起こしたらしい。
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