他人の人生押し付けられたけど自由に生きます

鳥類

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試練の多い人生を歩むらしい

いっつあふぁんたじー

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 はー、トマト美味しかったー。
 目の前にあるナイスミドルの足に顔を擦り付けて口周りを拭く。何か上の方から叫び声聞こえるけど気のせい気のせい。

「ところでパンはどこですか?」
「まずは俺の服を汚した事を謝れ!」

 ぎゃんぎゃん文句をたれているオッサンをスルーして、近くに置かれたカゴを漁れば、まだほんのりと温かい柔らかパンのお見えです。わんだほー!
 遠慮なくもぐもぐします。

「…ったく…相っ変わらず可愛げのないガキだぜ…」

 ブツブツ言いながらも、ほら喉に詰まるぞちゃんと茶も飲め、と甲斐甲斐しいナイスミドルはいい人だ。
 さらに、良い人なだけでなく…

「もう身体強化は完璧だな。お前の魔力コントロール能力には脱帽だ」

 私の魔法の先生なのである。

 …そう、この世界…魔法があるのだファンタジーだよ






 物陰で料理人から身を隠していたハズの私の身体が急に浮き上がったかと思えば…目の前に見知らぬオッサンの顔があった。がっしりした大柄な体躯に鋭い目つき、腹に響くバリトンボイスに無精髭…普通の幼児は多分泣き喚くんじゃなかろうか。
 でも薄らぼんやりある大人だった私の記憶が『ナイスミドルの称号を!』と叫んでおる。

「…ってぇ!!」

 だがしかし、怪しい人には違いない。誘拐犯怖い。制裁。
 ビッシビッシと小さな手でオッサンの顔をしばく。

「いててて! 何だこの凶暴なチビは!」

 そう言いながらも放り投げることはせず、ちゃんと低い位置で降ろしてくれるイケオジ。ありがとう。
 私は振り返る事なく自分ちに帰った。ちなみにパンはくわえたままだ。アゴ強いやろ。

 そんな事があって、離宮の調理場も危ねぇな…と学習した私は、仕方なく自分ちの調理場から調達することにした。マリアンヌとの攻防は押して知るべし。でもこの頃にはガリガリなくせに一歳児とは思えない程の動きをしてたから勝率は結構高かった。


「…お前…本当何してんだ…?」

 今日も今日とてマリアンヌとの激闘を勝ち抜き手にしたパンをうちの裏庭の隅でかじっているところへ急に現れたナイスミドル。そのセリフそっくりそのまま返したい。
 無言で食べる私を見て、ため息をついて裏庭のさらに奥の方へと消えていった。

 そして、その日から何故か食べ物を持ってきてくれるようになった。

 おかげで私の栄養状態は改善したよ。ありがとう。
 すっかり餌付けされた私の中で、呼び方がオッサンからナイスミドルに格上げされたのは言うまでもない。

 だいぶ打ち解けてきた頃、ナイスミドルは私にこう告げた。

「お前、どこで魔力操作を教わった?」

 …育児放棄真っ只中の幼児に何聞いてますの??






「へぇー、魔法があるんですか」
「えぇ。そちらでは魔法は空想の産物でしたよね」
「はい。私も憧れはありましたね。魔法使えたらいいなぁ…って。まぁ仕事帰りに転移魔法とかあればなー、とか考えたくらいですけど(笑)」

 転生先の器の個体情報として記された『魔力属性』の文字に私のテンションはちょっと上がった。

「魔力自体はあちらの住人は皆持ってますが、属性というのは、魔力の質と言いますか…基本的に血に宿りますので、使えるのは所謂『尊き血』を持つ貴族のみです」

 そして、その属性は親から一種類ないし一種ずつ受け継ぐらしい。なので、一人が使える属性は一つないし二つ。二種類受け継いでも上手く使えるのはどちらかに偏るらしい。
 ごくたまーーーに、三種類持ちもいるらしいけど、二種類の場合と同じなので余り意味無いそうだ。

 全属性でヒャッハーーーっ!! とか無理だって(笑)
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