上 下
1 / 83
試練の多い人生を歩むらしい

新しい人生始まりました

しおりを挟む
「娘なんて必要ないわ。でもまぁ…そのうち役に立つかもしれないし、適当に育てておいて」

 (…コレが母親かぁ…。そりゃそのうちグレるわな)

 乳母らしきおばあちゃんに抱っこされて、やたらと広い屋敷の趣味悪い派手派手扉を開けた先、キラキラを通り越してギラギラした金髪のオバサンが私に向かって言い捨てた。
 乳母のおばあちゃんは何とかとりなそうとしてくれてるようだけど、別に良いんだよねー。こんなオバサンに面倒見てもらいたくないし。だってそのうち虐待してきそうじゃない?あの扇子とかでしばかれたりしたら嫌じゃん?
 それなら今のままがいいもんねー。

「あぁ…申し訳ありませんお嬢さま…。私の力が及ばないばかりに」

 おばあちゃんはがっくりと肩を落として来た道を辿る。
 派手派手デカ御殿(私命名)から出てしばらくすると私が育てられてる屋敷が見えてきた。

「…こんな…離宮の隅の狭苦しい所で…。公爵家の姫ともあろうお方が…!」

 と、おばあちゃんが泣き出しちゃったけど…いやいやいやいや、十分デカイっすからね? 6部屋以上あったら私の感覚だと豪邸ですからね? めっちゃ十分じゃね?

 とりあえずギラギラオバサンのせいで目が疲れたし、お昼寝しちゃおーっと。

 うとうとしながら、私は自分がここに生まれる事になった経緯を思い出していたーーー







「…えーっと…ここは…どこだ…?」

 どこもかしこも白いけど、まるで役所の待合室のような場所に私は立っていた。
 周りには沢山の人が居るが、受付番号表なのか、よくわからないが色とりどりのカードを持っている。そのうち受付窓口へと進み、別のどこかへと行っている。
 さて、どうするべきかな…総合案内的な所は無いかな…とキョロキョロしていると、後ろから声をかけられた。

「あの、初ご臨終の方ですか?」
「へぇっ?! はぃっ、あの…た…多分…?」

 …初ご臨終…え、ご臨終…した気はする。うん、夫と子どもに看取られたわ、そう言えば。しかし初ご臨終て何…?
 私が密かにパニックになっていると、声をかけてくれた黒いスーツのお兄ちゃんがタブレット端末を操作しながら話してくれるに、

 ここは『転生管理課』というところで、死んだ魂が戻ってくるところらしい。
 で、魂って何回も転生するんだってさ。輪廻転生ってホントだったんだね。
 それぞれの人生(人以外の場合もあるらしい)をどう生きたかによって、その魂の格が決まり、それぞれの魂の質に応じた転生回数を経たのちに『浄化』されるらしい。浄化された魂は全く別の魂となって、またどこかの世界へおくられる事もあるし、永遠の楽園じゃ無いけど、穏やかなところで揺蕩ったりしてるそうだ。

 で、私はどうも浄化後初のご臨終で、映えある一度目の人生を終えて戻って来た…と、言う事らしい。

「このカードを持って、二番の窓口へ行ってください」

 タブレットが一瞬強い光を出したかと思うと、目の前に白っぽいカードが浮かんでいたので、恐る恐る手に取り、お兄ちゃんにお礼を言って二番の窓口へと足を進めた。

「あ、初ご臨終の方ですかー。カードお預かりしますねー」

 しばらくお待ちください、と言われたので窓口の前で大人しく待っていると、何だか受付内が慌ただしいようだ。忙しいのかなー、とのんびり待っていると「この緑の線に沿って行って、18番と書いてある扉へ入ってください」と言われてカードを返された。
 指示に従って白い廊下を進むと、それぞれ番号が書かれた扉が左右に並んでいる。
 私と同じようにカードを握って扉へと入っていく人を横目に18番と書かれた扉の前に立った。

「…そのまま入っていいのかな…?」

 チラッと右を見ると、少し離れたところの扉をノックも無しに開けて迷いなく入っていく人が見える。
 このままここにいても仕方ないし…と、一度深呼吸をして扉を開いた。
しおりを挟む
感想 165

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります

京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。 なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。 今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。 しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。 今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。 とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。

目覚めれば異世界!ところ変われば!

秋吉美寿
ファンタジー
体育会系、武闘派女子高生の美羽は空手、柔道、弓道の有段者!女子からは頼られ男子たちからは男扱い!そんなたくましくもちょっぴり残念な彼女もじつはキラキラふわふわなお姫様に憧れる隠れ乙女だった。 ある日体調不良から歩道橋の階段を上から下までまっさかさま! 目覚めると自分はふわふわキラキラな憧れのお姫様…なにこれ!なんて素敵な夢かしら!と思っていたが何やらどうも夢ではないようで…。 公爵家の一人娘ルミアーナそれが目覚めた異なる世界でのもう一人の自分。 命を狙われてたり鬼将軍に恋をしたり、王太子に襲われそうになったり、この世界でもやっぱり大人しくなんてしてられそうにありません。 身体を鍛えて自分の身は自分で守ります!

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです

ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。 女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。 前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る! そんな変わった公爵令嬢の物語。 アルファポリスOnly 2019/4/21 完結しました。 沢山のお気に入り、本当に感謝します。 7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。 2021年9月。 ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。 10月、再び完結に戻します。 御声援御愛読ありがとうございました。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

【完結】神様に嫌われた神官でしたが、高位神に愛されました

土広真丘
ファンタジー
神と交信する力を持つ者が生まれる国、ミレニアム帝国。 神官としての力が弱いアマーリエは、両親から疎まれていた。 追い討ちをかけるように神にも拒絶され、両親は妹のみを溺愛し、妹の婚約者には無能と罵倒される日々。 居場所も立場もない中、アマーリエが出会ったのは、紅蓮の炎を操る青年だった。 小説家になろう、カクヨムでも公開していますが、一部内容が異なります。

最後のカードは、

豆狸
ファンタジー
『離縁』『真実の愛』『仮面の歌姫』『最愛の母(故人)』『裏切り』──私が手に入れた人生のカードは、いつの間にか『復讐』という役を形作っていました。

処理中です...