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一寸先は闇
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俺は一体何を見せられているんだろうか?
目の前で、うふふ、きゃっきゃと戯れている男子生徒2人。
まるで俺に見せつけるかのようにイチャイチャとする男子生徒2人。
その片割れは数日前まで俺の恋人だった男。
「邪魔なんだが…」
目の前で甘い世界を作り出してる2人に言えば
「君がいなくなればいい」
「邪魔しないで」
なんて言われる。
目の前でイチャラブしてるこの2人を誰か捨ててくれないだろうか?
「入るぞ」
そんな言葉と共に扉が開いて入ってきた男の眉間に皺が寄る。
「悪いな、仕事か?」
この際、イチャラブしてる2人は捨てておこう。
「あ…あぁ。あいつらはバカか?」
引きつった笑みを浮かべ俺の持ってきた書類を差し出す。
「多分、そんな類だ」
その書類を受け取り確認する。
「この間の事件の報告書か」
内容を見て溜め息交じりに呟けば
「あぁ、あそこのバカどものな」
ハッキリと言われた。それに反論する言葉がない。
この間の事件とは、数か月前に転校生がやって来て、色々と問題を起こした。その時、俺は恋人である男に裏切られ、傷つけられた。誰も信じられなくなった俺を助けてくれたのは他でもない敵だと思っていた男だった。
転校生に恋をし、俺を傷付けふった男。
泣いて、泣いて、涙が枯れるまで泣いて、傷付き、憔悴し、入院一歩手前までいった俺を助け出したのは悪魔。
傷付いた俺を慰めるわけじゃなく、反対に闘争心を燃やさせた男。憎いと思わせた男。それは悪魔。この学園一の悪魔。
まぁ、そのおかげで、普通に戻ることができたし、今では何の支障もなく生活できるようにもなったし、元恋人を見てもバカかこいつと言えるようにまでなった。
「なぁ、俺が思ってることを聞いてくれるか?」
貰った書類を処理して目の前の男に声をかければ
「なんだよ」
言えと促してくる。
「アレの何処がよかったんだと思う?」
2人の世界に入り込んでいるバカイチャカップルを指さし聞いてみた。
「知らねぇよ。俺がわかるか。お前の気持ちなんぞ俺が知るわけがねぇ。あのバカにでも惹かれる何かがあったんだろ?」
仮にも元恋人だろうがと呆れられた。
「どっかの誰かさんのおかげでアレには全く興味がねぇ。ってかウザい。消してくれねぇかなぁって思ってる」
正直邪魔でしかないのだ。この部屋でイチャつくなと思う。仕事もしないんだから…。
「あいつらを追い出せねぇならお前が逃げればいいだろ?」
お前ならもっと違う場所へ逃げれるだろう?と言われた。
「なぁ、俺がお前に興味があるって言ったらどうする?」
ふとそんなことを聞いてみた。
「やめとけ、悪魔にゃ惚れるな。苦労するのはお前だ」
くつりと笑う男のそれはまさに悪魔。俺を助け出した悪魔。
「一寸先は闇かぁ」
ポツリ呟いた俺に
「まぁ、お前の自由だ。俺は止めねぇよ」
ぽふりと頭を撫でて出ていった。
「あのタラシめ…」
自分のことを悪魔だというが、さりげなく優しさを置いていく。
ごく自然に撫でて行ったり、弱ってるい俺を見捨てずに傍に置いたりと…。
あいつはタラシだ。絶対に違いない。
元恋人をウザいと思えるようになったのも、邪魔だと思えるようになったのも、興味がなくなったのも全部あの男のせいなんだ。
悪魔な反面と優しい反面を俺に置いていくから…
先のことなんてわからない。
でも、
きっと俺はあいつに恋をする。
悪魔のあいつに…。
Fin
目の前で、うふふ、きゃっきゃと戯れている男子生徒2人。
まるで俺に見せつけるかのようにイチャイチャとする男子生徒2人。
その片割れは数日前まで俺の恋人だった男。
「邪魔なんだが…」
目の前で甘い世界を作り出してる2人に言えば
「君がいなくなればいい」
「邪魔しないで」
なんて言われる。
目の前でイチャラブしてるこの2人を誰か捨ててくれないだろうか?
「入るぞ」
そんな言葉と共に扉が開いて入ってきた男の眉間に皺が寄る。
「悪いな、仕事か?」
この際、イチャラブしてる2人は捨てておこう。
「あ…あぁ。あいつらはバカか?」
引きつった笑みを浮かべ俺の持ってきた書類を差し出す。
「多分、そんな類だ」
その書類を受け取り確認する。
「この間の事件の報告書か」
内容を見て溜め息交じりに呟けば
「あぁ、あそこのバカどものな」
ハッキリと言われた。それに反論する言葉がない。
この間の事件とは、数か月前に転校生がやって来て、色々と問題を起こした。その時、俺は恋人である男に裏切られ、傷つけられた。誰も信じられなくなった俺を助けてくれたのは他でもない敵だと思っていた男だった。
転校生に恋をし、俺を傷付けふった男。
泣いて、泣いて、涙が枯れるまで泣いて、傷付き、憔悴し、入院一歩手前までいった俺を助け出したのは悪魔。
傷付いた俺を慰めるわけじゃなく、反対に闘争心を燃やさせた男。憎いと思わせた男。それは悪魔。この学園一の悪魔。
まぁ、そのおかげで、普通に戻ることができたし、今では何の支障もなく生活できるようにもなったし、元恋人を見てもバカかこいつと言えるようにまでなった。
「なぁ、俺が思ってることを聞いてくれるか?」
貰った書類を処理して目の前の男に声をかければ
「なんだよ」
言えと促してくる。
「アレの何処がよかったんだと思う?」
2人の世界に入り込んでいるバカイチャカップルを指さし聞いてみた。
「知らねぇよ。俺がわかるか。お前の気持ちなんぞ俺が知るわけがねぇ。あのバカにでも惹かれる何かがあったんだろ?」
仮にも元恋人だろうがと呆れられた。
「どっかの誰かさんのおかげでアレには全く興味がねぇ。ってかウザい。消してくれねぇかなぁって思ってる」
正直邪魔でしかないのだ。この部屋でイチャつくなと思う。仕事もしないんだから…。
「あいつらを追い出せねぇならお前が逃げればいいだろ?」
お前ならもっと違う場所へ逃げれるだろう?と言われた。
「なぁ、俺がお前に興味があるって言ったらどうする?」
ふとそんなことを聞いてみた。
「やめとけ、悪魔にゃ惚れるな。苦労するのはお前だ」
くつりと笑う男のそれはまさに悪魔。俺を助け出した悪魔。
「一寸先は闇かぁ」
ポツリ呟いた俺に
「まぁ、お前の自由だ。俺は止めねぇよ」
ぽふりと頭を撫でて出ていった。
「あのタラシめ…」
自分のことを悪魔だというが、さりげなく優しさを置いていく。
ごく自然に撫でて行ったり、弱ってるい俺を見捨てずに傍に置いたりと…。
あいつはタラシだ。絶対に違いない。
元恋人をウザいと思えるようになったのも、邪魔だと思えるようになったのも、興味がなくなったのも全部あの男のせいなんだ。
悪魔な反面と優しい反面を俺に置いていくから…
先のことなんてわからない。
でも、
きっと俺はあいつに恋をする。
悪魔のあいつに…。
Fin
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