寄せ集めの短編集

触れた指先

ふと触れた指先は思っていた以上に冷たくて

「つめた」
って呟いていた。


それでも何の反応もなくて、生きてるか？っと思って顔を覗き込めばギロッて睨まれた。


やべっ、怒らした？


「ごめん」
俺はとっさに謝っていた。それでも返事はなくてゴロって寝返りをうってしまう。



はぁ…。これってやっぱり俺はこいつに嫌われてるんだろうな。


好きだと気が付いた時にダメもとで告白してOKをもらって有頂天になってたのかも…。

やっぱり告白なんてしなければよかったのかな…。


俺もゴロっと寝返りをうって背中を向けた。本当は出ていった方がいんだろうけど…


今夜だけはこれで我慢してほしい。明日はこの場所に来ないから…


小さく息を吐き息を殺すように俺は目を閉じた。


「んっ」
真夜中にふと目が覚めた。


なんか苦しいし重い？


寝惚けたまま様子を窺えば俺は抱きしめられていた。


えっ？えぇぇ！！


ビックリして完全に目が覚めた。


どういうこと？？？


一人でなんかぱにくった。心臓がバクついてる。逃げよう。


取り合えず、心臓がもたないから逃げよう。

そう思いながら寝返りを打ったらギュウッて余計に強く抱きしめられた。


えぇぇ！！これって起きてる？


背中に感じるのはあいつの温もりで、耳を掠めるのはあいつの寝息。


ヤバいって…俺寝れない…


「…んっ…けい…んっ…」

っ！！！何この羞恥プレイ！！！


こんなん寝れるわけないじゃん！！


あっ…でもさっき冷たかった手があったかい。ヌクヌクになったんだ。よかった。


結局、俺は朝方まで寝れなくて、ずっと羞恥プレイを受けていた。


もう、ヤダ。勘弁してくれよ。カッコいいと可愛いを常備しないでくれ！！！


これ以上俺を惚れさせないで！！！


心臓がもたないから！！！



Fin