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ハッピーハッピー
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ハッピーハッピーバースディ
今日は大好きなあの人の誕生日。盛大にお祝いしなきゃ。
『悪い、今夜は急な残業で遅くなるから先に寝ててくれ…』
お昼の休憩中に俺の携帯にかかってきた電話の内容がこれだった。
「あっ…そうなんだ、うん。わかった」
俺は大人しく返事をする。仕方ないよ。真人さんは俺と違って社会人で仕事してるんだもん。
『悪い、じゃぁ切るからな』
真人さんは本当にそう言って電話を切った。聞こえてくるのは無機質な機械音。
「こんのバカやろ~!!!!」
俺は自分の携帯に向かって叫んでいた。クラスにいたやつらが何事かと俺を見る。
「あ…あははは」
俺は笑って誤魔化した。折角、誕生日のお祝いをしようと思ってたのに…。
「俺の計画台無しだし…」
誰に言うわけでもなく一人呟いた。
結局、午後の授業なんてまともに聞かずに終わった。
「孝介、お前は一人で何を怒ってんだ?」
帰り際、俺に声をかけてきたのは親友の比呂。俺の恋人のこととかも知ってるやつ。
「今日さ…誕生日なんだ…なのに残業だって…」
つい愚痴ってしまう。仕事だから仕方がないのはわかってるんだけどさ…
「そっか、楽しみにしてたもんな。お祝いするんだって…」
事情を知ってるから比呂も残念だねと言ってくれる。
「ん、わかってるんだ。頭ではわかってるんだけどさ…」
ポツリポツリと言えば俺の頭を比呂が撫なでてきた。
「じゃぁさ、驚かせてやれば?どうせ明日は休みだから寝坊してもいいんだし」
そしてそう提案してきた。
「そっか。その手があったか。ありがとう比呂!!」
俺はその提案に飛びついた。比呂は俺の頭を撫で
「よしよし。機嫌は直ったな。お前が機嫌悪いとみんなが怯えるからな」
そんなことをにこやかな顔で言ってくる。ヒド!!
「どういう意味ですか?」
俺は比呂を睨みつけてみる。
「美人が怒ると怖いってね。ほら帰るぞ」
比呂は俺を引っ張り歩き出す。比呂に連れられながら
「比呂は?あの人はいいの?」
俺は比呂に聞いてみた。
「実は俺も同じ。今日は残業だって。今日の神様は意地悪なのかね」
比呂は立ち止まり俺を見て溜め息をつく。
「ありゃ…ほんと意地悪な神様だ。帰ろっか比呂」
俺も小さく溜息をつき帰るために歩き始めた。
道中、二人して色々と文句の言い合いをしながら帰った。
「おし!準備してやる!!」
誰もいない部屋に帰ってから俺は誕生日用の準備を始めた。明日は休みだから遅くまで起きてても平気だし。俺は心の中で呟き準備を進めた。
真人さんのために準備した料理はとっくに冷めちゃった。時計の針は23時。今日…お祝いしたかったのになぁ。
ボケ~っと時計を見てたらガチャンって鍵の開く音がした。俺は速攻で玄関に行き
「おかえり!!」
声をかけた。真人さんは驚いた顔で俺を見てる。
「ただいま…ってか何時だと思ってるんだ。先に寝てろって言っただろ」
やっぱりな言葉を言われるけど
「明日は休みだからいいんだよ。それよりこっちに来て…」
俺は真人さんの腕を引っ張りキッチンに連れてくる。
「なんだこれ?」
状況がわからない真人さんが呟く。
「いいから座って」
俺は真人さんを強引に椅子に座らせ時計を見て時間を確認する。うん、まだ大丈夫。
「誕生日おめでとう!!」
ポケットに中に隠してあったクラッカーを取り出し鳴らす。意味が分からないのか真人さんが不思議そうな顔をしてる。
「今日ってあともう少ししか時間がないけど真人さんの誕生日でしょ?」
俺が説明をすると、あぁとばかりにポンと手を叩く。
「最近ずっと忙しかったから忘れてた。ありがとう」
真人さんはカレンダーを確認してる。俺はポケットからプレゼントを取り出し
「あのね、これね俺からの誕生日プレゼント」
真人さんに差し出す。それを受け取り
「開けてもいいか」
って聞いてくるから俺は頷いた。
喜んでもらえるかな?
「お前…これ…高かったんじゃないのか???」
中身を見て真人さんが聞いてくる。ブランド物の時計。15万円した。
「大丈夫。真人さんの時計がすごくボロボロになっちゃてるから壊れる前にと思って買ったんだ」
今してる時計をすごく大事にしてるのを知ってる。お爺さんから貰ったものなんだって。
だから俺はそれが壊れないようにってバイトしてお金貯めてたんだ。
「ありがとう。嬉しいよ」
本当に嬉しそうに言ってくれる。よかった喜んでもらえて。
「コウ、コウからは何もくれないのか?」
なんて意地悪な言葉が飛んできた。
「そ…それは…ご飯を食べてからね?」
なんて顔を真っ赤にしながら言ってみるけど俺はもう真人さんに捕まってた。
「飯よりもコウのがいい」
なんて言われてしまう。
「じゃ…じゃぁ…味見する?」
なんて聞いてみるけど真人さんは俺を抱き上げキッチンからリビングに移動してソファの上に寝かせ
「味見だけじゃ足りない」
そっとキスをしてくれる。俺は真人さんの首に腕を回す。
「じゃ…じゃぁ…残さず食べてね?」
恥ずかしいけど最後まで食べてほしいしね。
「勿論、勿体ないから残しません。いただきます」
真人さんはもう一度、俺にキスをしてきた。優しいキス…
この後俺は真人さんに美味しく食べられちゃいました。次の日が休みで本当に良かった…。
ハッピーハッピー
ハッピーバースディ
大好きなあの人の誕生日。
Fin
今日は大好きなあの人の誕生日。盛大にお祝いしなきゃ。
『悪い、今夜は急な残業で遅くなるから先に寝ててくれ…』
お昼の休憩中に俺の携帯にかかってきた電話の内容がこれだった。
「あっ…そうなんだ、うん。わかった」
俺は大人しく返事をする。仕方ないよ。真人さんは俺と違って社会人で仕事してるんだもん。
『悪い、じゃぁ切るからな』
真人さんは本当にそう言って電話を切った。聞こえてくるのは無機質な機械音。
「こんのバカやろ~!!!!」
俺は自分の携帯に向かって叫んでいた。クラスにいたやつらが何事かと俺を見る。
「あ…あははは」
俺は笑って誤魔化した。折角、誕生日のお祝いをしようと思ってたのに…。
「俺の計画台無しだし…」
誰に言うわけでもなく一人呟いた。
結局、午後の授業なんてまともに聞かずに終わった。
「孝介、お前は一人で何を怒ってんだ?」
帰り際、俺に声をかけてきたのは親友の比呂。俺の恋人のこととかも知ってるやつ。
「今日さ…誕生日なんだ…なのに残業だって…」
つい愚痴ってしまう。仕事だから仕方がないのはわかってるんだけどさ…
「そっか、楽しみにしてたもんな。お祝いするんだって…」
事情を知ってるから比呂も残念だねと言ってくれる。
「ん、わかってるんだ。頭ではわかってるんだけどさ…」
ポツリポツリと言えば俺の頭を比呂が撫なでてきた。
「じゃぁさ、驚かせてやれば?どうせ明日は休みだから寝坊してもいいんだし」
そしてそう提案してきた。
「そっか。その手があったか。ありがとう比呂!!」
俺はその提案に飛びついた。比呂は俺の頭を撫で
「よしよし。機嫌は直ったな。お前が機嫌悪いとみんなが怯えるからな」
そんなことをにこやかな顔で言ってくる。ヒド!!
「どういう意味ですか?」
俺は比呂を睨みつけてみる。
「美人が怒ると怖いってね。ほら帰るぞ」
比呂は俺を引っ張り歩き出す。比呂に連れられながら
「比呂は?あの人はいいの?」
俺は比呂に聞いてみた。
「実は俺も同じ。今日は残業だって。今日の神様は意地悪なのかね」
比呂は立ち止まり俺を見て溜め息をつく。
「ありゃ…ほんと意地悪な神様だ。帰ろっか比呂」
俺も小さく溜息をつき帰るために歩き始めた。
道中、二人して色々と文句の言い合いをしながら帰った。
「おし!準備してやる!!」
誰もいない部屋に帰ってから俺は誕生日用の準備を始めた。明日は休みだから遅くまで起きてても平気だし。俺は心の中で呟き準備を進めた。
真人さんのために準備した料理はとっくに冷めちゃった。時計の針は23時。今日…お祝いしたかったのになぁ。
ボケ~っと時計を見てたらガチャンって鍵の開く音がした。俺は速攻で玄関に行き
「おかえり!!」
声をかけた。真人さんは驚いた顔で俺を見てる。
「ただいま…ってか何時だと思ってるんだ。先に寝てろって言っただろ」
やっぱりな言葉を言われるけど
「明日は休みだからいいんだよ。それよりこっちに来て…」
俺は真人さんの腕を引っ張りキッチンに連れてくる。
「なんだこれ?」
状況がわからない真人さんが呟く。
「いいから座って」
俺は真人さんを強引に椅子に座らせ時計を見て時間を確認する。うん、まだ大丈夫。
「誕生日おめでとう!!」
ポケットに中に隠してあったクラッカーを取り出し鳴らす。意味が分からないのか真人さんが不思議そうな顔をしてる。
「今日ってあともう少ししか時間がないけど真人さんの誕生日でしょ?」
俺が説明をすると、あぁとばかりにポンと手を叩く。
「最近ずっと忙しかったから忘れてた。ありがとう」
真人さんはカレンダーを確認してる。俺はポケットからプレゼントを取り出し
「あのね、これね俺からの誕生日プレゼント」
真人さんに差し出す。それを受け取り
「開けてもいいか」
って聞いてくるから俺は頷いた。
喜んでもらえるかな?
「お前…これ…高かったんじゃないのか???」
中身を見て真人さんが聞いてくる。ブランド物の時計。15万円した。
「大丈夫。真人さんの時計がすごくボロボロになっちゃてるから壊れる前にと思って買ったんだ」
今してる時計をすごく大事にしてるのを知ってる。お爺さんから貰ったものなんだって。
だから俺はそれが壊れないようにってバイトしてお金貯めてたんだ。
「ありがとう。嬉しいよ」
本当に嬉しそうに言ってくれる。よかった喜んでもらえて。
「コウ、コウからは何もくれないのか?」
なんて意地悪な言葉が飛んできた。
「そ…それは…ご飯を食べてからね?」
なんて顔を真っ赤にしながら言ってみるけど俺はもう真人さんに捕まってた。
「飯よりもコウのがいい」
なんて言われてしまう。
「じゃ…じゃぁ…味見する?」
なんて聞いてみるけど真人さんは俺を抱き上げキッチンからリビングに移動してソファの上に寝かせ
「味見だけじゃ足りない」
そっとキスをしてくれる。俺は真人さんの首に腕を回す。
「じゃ…じゃぁ…残さず食べてね?」
恥ずかしいけど最後まで食べてほしいしね。
「勿論、勿体ないから残しません。いただきます」
真人さんはもう一度、俺にキスをしてきた。優しいキス…
この後俺は真人さんに美味しく食べられちゃいました。次の日が休みで本当に良かった…。
ハッピーハッピー
ハッピーバースディ
大好きなあの人の誕生日。
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